期限・条件テキスト

宅建販売教材

条件

 条件には、停止条件と解除条件があります。

【補足】

  1. 停止条件とは、条件が成就することにより、法律行為の効力が発生することです。例えば、結婚したら(=条件の成就)、家をあげる(=効力の発生)。
  2. 解除条件とは、条件が成就することにより、現に効力を有しているものが消滅するということです。例えば、結婚して家をもらった人が、離婚したら(=条件の成就)、その家を返す(=効力の消滅)ということです。

条件成就の場合の効果

停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生じることになります。

ただし、停止条件が成就する前においても、停止条件付法律行為自体は有効に成立しているため、解除事由なしに解除をすることはできません。

【例題】

AはB所有の建物を取得できた場合、Aの自己所有の建物をCに売却する契約を締結した。この場合、Cは、いつ、A所有の建物を取得することができるのか。

【解答】

AがB所有の建物を取得した時(=停止条件が成就した時)に、Cが、A所有の建物を取得することができます(=効力の発生)。

条件付法律行為の保護

  • 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間に、その条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができません

【補足】

  1. 条件の成否が未定であるとは、条件がまだ成就していないことです。例えば、結婚したら家を贈与するという契約を締結したが、まだ、結婚をしていないということです。
  2. 条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益とは、上の例で言うと、「結婚したら家をもらえるという」部分にあたります。
  3. 上記の規定では、条件付法律行為の各当事者と記載されていますが、当事者以外の第三者であっても、利益を害することができません。

【例題】

Bが結婚したら、Aは、自己所有の建物をBに売却する契約を締結した。しかし、Bがまだ結婚していなかったので、Aは、Bに内緒でその建物をCに売却した場合、Bは、何も言うことはできないのか。

【解答】

停止条件が付されている売買契約を締結した時点から、Bは、結婚したら建物を取得できるとすごく期待しています(=Bは、期待権を有します)。

民法上、Aは、Bの期待を裏切ってはいけないとしています(=期待権を侵害してはいけないということです)。これが、上記の規定に該当することになります。

そして、Bは、Bの期待を裏切った(=期待権を侵害した)Aに対して、不法行為による損害賠償の請求をすることができます。

  • 条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、譲渡や相続等をすることができます

【補足】

条件が、まだ成就されていなくても、条件付権利義務を譲渡したり条件付権利義務が相続の対象となります。

【例題1】

Aが転勤したら、Bは、Aから家をもらえるとする契約を締結していた。ところが、Aが転勤する前に、Bが死亡した場合、Bの相続人Cは、その家をもらえる権利を相続できるか。

【解答】

Aが転勤する前においても、Bは、期待権を有しています。その期待権は、相続の対象となります。したがって、Cは、その家をもらえる権利を相続できます。

【例題2】

AがB所有の建物を売却することができたときには、Bは、Aに報酬を支払うとしていた。Aは、その建物を売却する前に、Bに対する報酬請求権をDに譲渡することができるか。

【解答】

AがB所有の建物を売却する前においても、Aは期待権(=報酬をもらえること)を有しています。その期待権は、譲渡の対象となります。したがって、Dに譲渡することができます。(=通常の債権譲渡ということになります)

  • 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができます

【例題1】

Aは自己所有の建物を売却したいと思ったが、相手を探すことができなかった。そこで、Bに売却してくれと頼み、もし、売却できたら報酬を支払うという契約を締結した。その後、Bは、その建物を買いたいと言うCを探してきた。そのことを知ったAが、Bに内緒で、直接、Cに売却した。この場合、Aの建物を売却することができなかったBは、Aから報酬を受け取ることができるのか。

【解答・手順】

  1. Bは、報酬をもらえると思って、Cを探してきた。それなのに、Cの存在を知ったAは、Bに報酬を支払いたくないので、Bに内緒で売却することは、Aにとってあまりにも都合がよく、Bにとって、あまりにも、不都合です。
  2. そこで、Bに報酬を支払う必要があるAが(=条件が成就することによって不利益を受ける当事者が)、Bに内緒で直接Cに売却したとき、(=故意にその条件の成就を妨げたとき)は、Bは、(=相手方は)自分が建物を売却したものとみなして報酬を受け取ることができます。(=その条件が成就したものとみなすことができます)
  3. また、Bは、Bの期待を裏切った(=期待権を侵害した)Aに対して、不法行為による損害賠償の請求をすることも可能です。

既成条件

  • 法律行為の時に既に条件が成就していた場合、その条件が停止条件であるときには、その法律行為は無条件となり、その条件が解除条件であるときには、その法律行為は無効となります。

【例題1】

「Aが○○高校に合格したらお金をあげるよ」とBが言い、契約を締結した。しかし、その契約を締結した時には、もう既に、Aは、○○高校に合格していた。この場合、Aは、Bからお金をもらえるのか。

【解答】

契約時には、もう既に、条件が成就(=○○高校に合格)しているので、「○○高校に合格したら」という条件をつける意味がありません。

したがって、「Aが○○高校に合格したら、BがAにお金をあげる」という契約ではなく「BがAにお金をあげる」という契約になり、契約時に、Aが、Bからお金をもらえます。

【例題2】

以前に締結した契約に基づき、AはBから毎月、生活費のためのお金をもらっていた。その後、Bは、「Aが転勤したら、そのお金をあげるのを止める」という契約を新たに締結した。しかし、新たな契約を締結した時には、もう既に、Aは、転勤していた。この場合、Aは、Bからお金をもらえなくなるのか。

【解答・手順】

新たな契約締結時には、もう既に条件が成就(=転勤している)しています。したがって、契約締結時の1日前までは、Bは、Aの生活費のためにお金をあげていたのに、契約を締結したと同時に、Bは、Aにお金をあげるのをやめると、Bは、生活費をどうしたらいいのかと焦るばかりです。

この場合、その新たな契約は、無効となります。

要するに、「転勤したら、そのお金をあげるのを止める」という契約は無効となり、以前に締結した契約は無効とはならず、Aは、Bからお金をもらえます。

  • 法律行為の時に既に条件が成就しないことが確定していた場合、その条件が停止条件であるときには、その法律行為は無効となり、その条件が解除条件であるときには、その法律行為は無条件となります。

【例題1】

「Aが○高校に合格したらお金をあげるよ」とBが言い、契約を締結した。しかし、その契約を締結した時には、もう既に、Aは、○高校が不合格となり、×高校に合格していた。この場合、その契約はどうなるのか。

【解答】

契約時には、もう既に、条件が成就しないことが確定(=○高校に不合格)しています。Aは、○高校に合格することは、一生できません。一生、不可能なことを契約としているので、その契約は、無効となります。

【例題2】

以前に締結した契約に基づき、AはBから毎月、生活費のためのお金をもらっていた。その後、Bは、「Aが転勤したら、そのお金をあげるのを止める」という契約を締結した。しかし、新たな契約を締結した時には、もう既に、Aは、自分の会社が本社のみしかないので、転勤しないことが確定していた。この場合、その契約はどうなるのか。

【解答】

契約時には、もう既に、条件が成就しないことが確定(=転勤しないことが確定)しています。要するに、お金をあげるのを止められることはないということであり、以前に締結した契約に基づき、ずっと、Aは、お金をもらえるということになります。したがって、その契約は、無条件となります。

不法条件

不法な条件を付した法律行為は、無効となります。なお、不法な行為をしないことを条件とするものも、無効となります。

【補足】

例えば、物を盗んできたらお金をあげるという契約は、無効となります。これは、当たり前です。

また、上記の規定では、不法な行為をしないことを条件とする法律行為も無効とされています。

例えば、物を盗まなかったらお金をあげるという契約も無効となります。

不能条件

不能の停止条件を付した法律行為は、無効となります。なお、不能の解除条件を付した法律行為は、無条件となります。

【補足】

  1. 停止条件について⇒例えば、地球一周を5秒で走ることが出来る人がいれば、お金をあげるという契約は、無効です。

    要するに、絶対に不可能な条件が付いている契約は、無効になります。

  2. 解除条件について⇒以前の契約に基づき、Aは、Bから毎月、お金をもらっていた。その後、「地球一周を5秒で走ることが出来る人がいれば、そのお金をあげることを止める」という契約を新たに締結した場合、地球一周を5秒で走ることは不可能なので、お金をあげるのを止められることはありません。

    つまり、その新たな契約は、無条件になり、以前の契約に基づいて、Aは、Bからお金をもらえます。

期限

期限とは

期限とは、法律行為(例えば、契約)の効力が発生するかどうかが、将来、発生することが確実な事実によります。この場合の事実を期限といいます。例えば、3月現在に、4月になったら家を売却すると相手に言いました。4月になることは確実です。このことが条件(=不確実な事実)と異なるところです。

 

期限の種類

期限には、確定期限と不確定期限があります。

【補足】

  1. 確定期限とは、ある事実が発生する時期が決まっている場合のことをいいます。例えば、3月10日に支払うことが決まっているということです。3月10日がいつ来るかは、わかりますよね。
  2. 不確定期限とは、ある事実が発生することが確実であるが、その時期が決まっていない場合のことをいいます。例えば、もし、自分が死んだ場合には、家をあげるということです。自分が死ぬ日は、わからないですよね。

期限到来の効果

契約に始期を付したときは、その契約の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができません。なお、契約に終期を付したときは、その契約の効力は、期限が到来した時に消滅します。

【補足】

始期とは、契約の効力を発生させるための期限のことで、終期とは、契約の効力を消滅させるための期限ことです。

契約に始期を付したとき⇒Aは、来月の1日から使用できる家を借りる契約を締結した。Aは、来月の1日になるまでは、「使用させてくれ」と言えません。

契約に終期を付したとき⇒Aは、来年の4月1日まで使用できる家を借りる契約を締結した。Aは、来年の4月1日になったら家を返す必要があるということです。

期限の利益について

  • 期限の利益は、債務者のために定めたものと推定されます。

【補足】

  1. 例えば、3ヵ月間、AがBにお金を貸し付ける契約を締結した場合、債務者であるBは、3ヵ月の間は、お金を返還する必要がありません。すなわち、債務の履行が猶予されることになります。これを期限の利益(=契約に期限を付したことによって生じる利益)といいます。
  2. 推定とは、簡単にいうと、一応、判断を下しておくということであり反証(=その判断は間違っているという証明)が立証されれば、その判断は否定されることになります。
  • 期限の利益は、放棄することができます。ただし、その放棄によって、相手方の利益を害することはできません
    債務者と債権者の双方が期限の利益を享受している場合、債務者は、債権者の喪失する利益を填補すれば、期限の利益を放棄することができるので、例えば、銀行は、定期預金の預金者に対して、その返還時期までの間の約定利息を支払うことにより、期限の利益を一方的に放棄することができます。

【補足】

例えば、3ヵ月間、AがBにお金を貸し付け、その貸付に対して、Aは、Bから毎月、利息を受け取る契約を締結した場合、債務者であるBが、その契約締結の10日後に借りていたお金を全額Aに返還した。

要するに、Bは、「期限の利益」を放棄したことになります。

10日後に、返済を受けたAは、3ヵ月分の利息をもらえるはずだったのに、10日分の利息しか受け取れないことになります。

要するに、債権者であるAの利益を害したことになります。この場合、Aは、Bに対して、3ヵ月分の利息を払って下さいと請求することができます。

  • 債務者が、下記の場合には、債務者は、期限の利益を主張することはできません。

1.債務者が破産手続開始の決定を受けた場合

2.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させた場合

3.債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しない場合

【補足】

  1. 債務者が破産手続開始の決定を受けた場合とは、例えば、3ヵ月間、AがBにお金を貸し付ける契約を締結する場合、債務者であるBが、契約締結日から1ヵ月後に破産手続開始の決定を受けた場合(=破産)、Bは、3ヵ月間の猶予を与えられることなく、直ぐに、借りたお金をAに返す必要があります。

    なぜなら、破産手続開始の決定を受けたBがお金を返してくれるか分からないからです。

  2. 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させた場合とは、例えば、3ヵ月間、AがBにお金を貸し付ける際に、B所有の建物にAのために抵当権(簡単に言うと担保)を設定している場合、債務者であるBが、契約締結日から1ヵ月後にその建物を壊したときには、Bは、3ヵ月間の猶予を与えられることなく、直ぐに、借りたお金をAに返す必要があります。

    なお、Aは、抵当権を実行することもできます。

  3. 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しない場合とは、例えば、3ヵ月間、AがBにお金を貸し付ける際に、Aは、Bに「担保を提供してください」と言っていた。しかし、Bが担保の提供を拒んだ場合、Bは、3ヵ月間の猶予を与えられることなく、直ぐに、借りたお金をAに返す必要があります。

    なぜなら、担保がないとお金を回収することができるか分からない債権者であるAの利益を守るためです。

テキストを読み終えた後は、穴埋め問題を解きましょう。

また、穴埋め問題を解き終えた後は、一問一答を解きましょう。

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