借地権テキスト

この項目は、土地の賃貸借について、借地借家法上の規定を見ていきます。

民法で定められている賃貸借契約は、土地の賃貸借に限定されることなく、動産も含まれての規定となっています。よって、土地の賃貸借について、規定の全部を適用させると、借主にとって不利な部分が生じてきます。

そこで、その不利な部分を修正するための意味として、借地借家法の規定があります。

なお、ある規定について、民法と借地借家法の両法律が規定されている場合、借地借家法の規定を適用することになります。また、ある規定について、民法のみに規定されている場合、そのまま、民法の規定が適用されることになります。借主にとって不利な特約は、原則、無効となります。

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宅建士試験予想問題

借地権とは

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権のことです。

【補足】

  1. 例えば、A所有の土地について、Bが、建物を建てる目的で、地上権設定契約又は賃貸借契約を締結した場合、借地借家法の規定が適用されることになり、Aを借地権設定者、Bを借地権者といい、地上権又は土地の賃借権のことを借地権といいます。

  2. 建物の所有を目的とするものであれば、事業用でも居住用でも、借地借家法の規定が適用されます。しかし、材料を置くために土地を借りるなど、建物の所有を目的としないものについては、借地借家法の規定は適用されません。

  3. また、無償で土地を借りる使用借権には、借地借家法の規定は適用されません。

借地権の存続期間と更新について

当初の存続期間

借地権の当初の存続期間は、建物の種類に関係なく、最低でも30年となります。例えば、当事者間で、存続期間を20年と定めた場合、自動的に30年となり、当事者間で40年と定めた場合、40年となります。

【補足】

民法上の賃借権の存続期間は、20年が上限となります。また、民法上の地上権については、期間の制限はありません。

しかし、借地借家法上の借地権の当初の存続期間は最低でも30年となります。なお、借地権の存続期間を定めず、建物の所有を目的として土地を借りた場合、存続期間は、30年となります。

更新の方法

借地権の存続期間が満了した場合、契約が終了することになります。しかし、次の方法により、契約を更新することができます。

  1. 借地権者と借地権設定者との間の合意により、契約を更新することができます。合意により契約が更新された場合、初めて、更新された後の存続期間は、最低でも20年となります。

    例えば、当事者間で、最初の更新後の存続期間を10年と定めた場合、借地権の存続期間は、自動的に20年となります。また、当事者間で、これより長い期間を定めたときはその期間となるので、40年と定めた場合、借地権の存続期間は、40年となります。

    また、2回目以降の更新後の借地権の存続期間は、最低でも10年となります。

  2. 借地権の存続期間が満了する際に、借地権者が、契約の更新を請求したときは、借りている土地上に建物がある場合に限り、当事者間の合意がなくても、従前の契約と同一の条件(存続期間は除く)で契約を更新したものとみなします。

    ただし、借地権設定者が、遅滞なく、正当事由のある異議を述べたときは、借地権者からの更新請求を拒絶することができ、契約は更新されません。

  3. 借地権の存続期間が満了した後も、借地権者が、継続してその土地を使用しているときも、建物がある場合に限り、当事者間の合意がなくても、従前の契約と同一の条件(存続期間は除く)で契約を更新したものとみなします。ただし、借地権設定者が、遅滞なく、正当事由のある異議を述べたときは、契約は更新されたものとみなされません。

【補足】

  1. 例えば、A所有の土地について、Bが、建物を建てる目的で、土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年としました。

    Bは、Aから借りた借地上に建物を建て、その建物で居住していました。その後、30年が経ち、Bは、その建物で引き続き居住したいので、契約の更新請求をしました。

    この場合、その借地上に建物があるので、借地権の存続期間を除く従前の条件で、契約が更新したとみなされます。Aが、契約が更新されることに反対する場合、Aは、正当事由のある異議を述べる必要があります。正当事由がなければ、契約は更新されたものとみなされます。

  2. 正当事由の有無を判断するための要素として、

    ・借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む)が、土地の使用を必要とする事情(どちらがその土地を必要としているか)

    ・借地に関する従前の経過(例えば、借地権者が、借賃を延滞しているかなど)

    ・土地の利用状況(例えば、借地上の建物の用途など)

    ・借地権設定者が行う借地権者(転借地権者を含む)に対する財産上の給付の申出(例えば、立ち退き料の有無など)などを総合的に考慮していき、正当事由があるかないかを判断していきます。

  3. 契約が、自動的に更新された場合、借地権の存続期間については、期間の定めのないものになります。
  4. 例えば、A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年としました。借地権の存続期間である30年が経過した後も、Bは、その建物に居住し続けました。つまり、借地権の存続期間の満了後も、A所有の土地を継続して使用していた場合、契約が更新したものとみなします。ただし、借地権設定者が、遅滞なく、正当事由のある異議を述べたときは、契約は更新されたものとみなされません。

借地上の建物が滅失した場合

A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年とした。その契約を締結してから28年後に、その建物が滅失した場合においても、借地権の存続期間が満了するまで借地権は消滅しません。

そこで、居住する建物が滅失してしまったBは、建物を再築しようとします。しかし、後2年で借地権の存続期間が満了するので、Bは、「建物を再築しても、すぐに、その建物を取り壊す必要があるのではないだろうか」と思うでしょう。

契約が更新されるとこの問題は解決することができるのですが、契約が更新されない場合、借地権の存続期間はどうなるのか?という問題について見ていきます。

当初の存続期間中に建物が滅失した場合

借地権の当初の存続期間の満了する前に建物の滅失(借地権者や転借地権者による建物の取壊しを含む)があったので、借地権者や転借地権者が、借地権設定者の承諾を得て、借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を再築したときには、借地権は、承諾があった日又は建物の再築日のいずれか早い日から20年の間、存続することになります。

ただし、借地権の残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間となります。

また、借地権者が、借地権設定者に対して、借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を再築する旨を通知した場合、借地権設定者が、その通知後、2カ月以内に異議を述べなかったときは、建物の再築について借地権設定者の承諾があったものとみなされます。

【補足】

  1. 例えば、A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年とした。契約日から20年目に建物が滅失したので、Bは、借地権の残存期間(10年)を超えて存続すべき建物を再築しようとした。その再築について、借地権設定者Aの承諾がある場合や借地権者Bが再築する旨をAに通知し、Aが、その通知後2カ月以内に異議を述べなかった場合には、借地権は、承諾があった日又は建物の再築日のいずれか早い日から20年の間、存続することになります。
  2. 例えば、A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年とした。契約日から2年目に建物が滅失したので、Bが、借地権の残存期間(28年)を超えて存続すべき建物を再築しようとした。Aの承諾を得た場合、承諾等の日から20年間、借地権は、存続することになりますが、借地権の残存期間(28年)の方が長いので、借地権は、28年間、存続することになります。

  3. 借地権設定者の承諾を得ていない場合、借地権者が通知をしなかった場合、借地権者が通知をしたが借地権設定者が異議を述べた場合においても、借地権者は、建物を再築することができますが、借地権は、更新がされない限り、元々の存続期間となります。

更新された後の存続期間中に建物が滅失した場合

  1. 更新された後の存続期間中に建物の滅失があり、借地権者が建物を再築することについて、借地権設定者の承諾があるときは、上記の「当初の存続期間中に建物が滅失した場合」と同様に存続期間の延長が認められます。
  2. 更新された後の存続期間中に建物の滅失があり、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を再築することについて、やむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の再築を承諾しないとき(借地権設定者が地上権の消滅請求又は土地の賃貸借契約の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除く)は、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。

    【補足】

    1. 上記2の規定は、当初の存続期間中に建物が滅失した場合には、適用されません。

    2. また、裁判をするにあたって、裁判所は、建物の状況、建物の滅失があった場合には滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む)が土地の使用を必要とする事情その他一切の事情を考慮する必要があります。

  3. 借地権設定者の承諾や裁判所の借地権権設定者の承諾に代わる許可なく、借地権者が、残存期間を超えて存続すべき建物を再築した場合、借地権設定者は、地上権の消滅請求又は土地賃貸借契約の解約申し入れをすることができます。解約の申入れをした場合、地上権の消滅請求又は解約の申入れの日から3カ月経過すれば、借地権は消滅します。

    【補足】

    1. 借地権設定者は、無断で建物を再築した借地権者に対して、借地権を消滅させることができます。

    2. この規定は、更新後借地権の存続期間中の場合であり、当初の存続期間中に、建物が滅失しても、その滅失を理由に、借地権設定者は、解約の申入れ等をすることができません

  4. 更新された後の存続期間中に建物が滅失した場合、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約を申し入れることができます。なお、この場合も、申入れ等の日から3カ月経過すれば、借地権は消滅します。

【補足】

  1. 借地権設定者の承諾や裁判所の借地権設定者の承諾に代わる許可を得なければ、借地権者は、建物を再築することができません。しかし、建物を再築することができなくても、借地権者は、借地権設定者の土地を借りているので、借賃を支払い続ける必要があります。このような借地権者のために、借地権者側からも、借地権を消滅させることができます。

  2. 契約更新後の存続期間中に建物が滅失した場合、借地権者は、建物を再築するか、借地権を消滅させるかを選択することができます。

借地権の対抗要件

Aは自己所有の土地について、建物の所有を目的としたBと借地契約を締結した。その後、Bは、その土地上に建物を建築し、居住していたが、その後、Aが、その土地をCに譲渡した。

対抗要件を備えていないBは、その土地の所有者となったCから「その土地を明渡せ」と言われると、その土地を明渡す必要が生じてきます。土地を明渡すということは、Bは、自分が建築した建物にも居住することができなくなるということになります。そうならないためにも、Bは、対抗要件を備える必要があります。

借地上の建物の登記

借地権者が、借地上に自己名義の登記(自己名義の表示の登記も含む)がある建物を所有している場合、借地権を第三者に対抗することができます。

【補足】

  1. 民法の規定によれば、地上権や土地の賃借権に登記があれば、借地権設定者以外の第三者に対抗できます。

    ただし、この規定では、少し問題が生じてきます。地上権の場合、地主は、登記に協力する義務があるので、登記をすることにより、第三者に対抗できます。しかし、賃借権の場合、地主は、債権である土地の賃借権について、登記に協力する義務がないのです。

    登記に協力する義務のない地主は、価値低下の防止のため、高い確率で登記に協力しません。よって、登記をすることができなくなり、第三者に対抗することができなくなります。

    そこで、借主を保護するために、借地借家法の規定では、借地権者自身の所有物である建物に登記をしておけば、第三者に対抗することができるのです。自分の建物なので、借地権設定者の協力は不要となります。

    よって、借地権自体に登記があれば、第三者に対抗できますが、借地権自体に登記がなくても、借地上の建物に登記があれば第三者に対抗することができます。

  2. 借地権者が、土地を借りて、建物を新築した場合、借地権者は、表示の登記(その建物の構造などを記載)をする必要があります。これは、義務です。表示の登記をして、所有権保存登記(誰が所有者として権利をもっているかなどを記載)をしていきます。これは、義務ではありません。詳しくは、「不動産登記法」の項目に記載しています。第三者に対抗するための登記については、表示に関する登記だけでも、第三者に対抗することができます。

  3. 建物の登記については、自己名義でない限り、第三者に対抗することができません。よって、配偶者や子供名義の登記では、第三者に対抗することができません。

  4. 建物の登記上の所在地番の表示が、錯誤又は遺漏により実際のものと多少相違していても、建物の同一性が種類、構造、床面積等によって認識できる程度の軽微な相違であれば、その登記によって、第三者に対抗することができます。

  5. 例えば、土地の賃借権の登記がない借地権者が、借地権設定者から借りている土地の上に、甲建物と乙建物を所有しており、甲建物については、自己名義の所有権保存登記をしており、乙建物については、登記をしていなかった。この場合、その土地全体についての借地権を第三者に対抗することができます。

建物の登記後に、建物が滅失した場合

借地上の建物に自己名義の登記がなされると、第三者に対抗することができます。しかし、その建物が滅失すると建物にした登記は無効となります。

つまり、第三者に対する対抗要件を失うことになります。このような問題を解決するために、借地借家法の規定では、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を再築する旨を、土地の上の見やすい場所に掲示するときは、滅失のあった日から2年以内に限り、暫定的に登記以外の方法により、借地権を第三者に対抗することができます。

ただし、建物の滅失があった日から2年以内に、建物を再築し、かつ、再築した建物の登記をしなかった場合には、第三者に対する対抗力が、滅失日に遡って、失われることになります。

【補足】

  1. 上記の規定の前提は、借地上の建物に対抗要件を満たす登記がなされていることです。そもそも、借地上の建物に登記がなされていない場合は、第三者に対して対抗力がないので、建物が滅失した場合の規定は適用されません。

  2. 例えば、A所有の土地について、Bが建物を建てる目的で、賃貸借契約を締結しました。Bが有する借地権(土地の賃借権)について、Aの協力を得ることができなかったので、登記をすることができませんでした。

    その後、Bは、建物を新築し、所有権保存登記をしました。この時点で、第三者に対抗することができます。しかし、その建物が滅失したので、滅失の登記をすることとなり、建物に対してした登記は無効となります。

    したがって、Bは、第三者に対して対抗できなくなり、Aが、その土地をCに譲渡した場合、Cは、Bに対して「その土地を明渡せ」と主張することができます。そこで、Bを保護するために、借地借家法の規定では、一定事項を土地の見やすい場所に掲示することにより、暫定的に、滅失があった日から2年以内に限って、第三者に対抗することができるようにしました。

    しかし、2年以内に、建物を再築して、その建物の登記をしない場合、Bを保護する必要もないので、暫定的に与えた対抗力は失うことになります。

借地権の譲渡、土地の転貸

A所有の土地について、Bが建物を建てる目的で借地契約を締結し、建物を建てました。その後、Bは、その建物をCに譲渡したとします。

このままだと、Cは、土地を使える権利である借地権を有しておらず、Aから「自分の土地を勝手に使うな、出て行け」と言われると、何も言い返すことができません。

そこで、Cは、借地権を取得するか、その借地を転借する必要があります。ここで問題となるのが、Aの承諾が必要となるのか、ならないのかです。

借地権が、地上権の場合には、地上権は、物権ですので地主であるAの承諾は不要となります。よって、特に、問題は生じません。

問題が生じてくるのは、借地権が、土地の賃借権の場合です。なぜなら、賃借権の譲渡や借地の転貸には、原則、Aの承諾が必要となるからです。Aの承諾があれば、問題は生じませんが、Aの承諾がなければ、問題が生じます。

下記からは、借地権が賃借権の場合で、建物を譲渡することにより、借地権の譲渡、借地の転貸について、借地権設定者の承諾を得ることができなかった場合の規定を見ていきます。なお、Bが、その建物をCに賃貸する場合には、借地の転貸には該当せず、Aの承諾が不要ですので、下記の規定の適用はありません。

借地権が賃借権の場合の借地権の譲渡、土地の転貸

建物の譲渡前に借地権設定者の承諾がなかった場合

借地権者であるBが、建物を第三者であるCに譲渡しようとする場合で、Cが、借地権を取得しても、借地を転借しても、借地権設定者であるAには不利とならないのに、借地権の譲渡や借地の転貸について、Aが承諾をしないときには、裁判所は、の申立てにより、Aの承諾に代わる許可をすることができます。

その結果、Cは、Aから「自分の土地を勝手に使うな、出て行け」と言われなくなります。

【補足】

  1. この規定は、Bが、Cに対して、建物をこれから譲渡しようとする場合です。

  2. Bが裁判所に申し立てたときは、裁判所の判断によりCに対して、借地権が譲渡等されることになります。譲渡等されて困るAは、自ら、裁判所が定める期間内にその借地権や借地上の建物を買い受ける旨の申立てをして、Cよりも優先的に、買い受けることができます。

建物の譲渡後に借地権設定者の承諾がなかった場合

借地権者であるBが、建物を第三者であるCに譲渡し、その建物をCが取得した。しかし、借地権の譲渡や借地の転貸について、借地権設定者であるAが承諾をしないときには、建物を取得しているCは、Aに対して、「時価で建物を買い取ってくれ」と請求することができます。

【補足】

民法の規定によれば、賃借人が、賃貸人の承諾を得ることなく、第三者に賃借権の譲渡や賃借物を転貸し、第三者が、使用すると、賃貸人は、契約を解除することができます。

契約が解除されると、Cは、せっかく取得した建物を取り壊す必要がでてきます。そこで、借地借家法では、Cは、Aに対して、その建物の買い取りを請求することができます。つまり、Cは、建物買取請求権を行使することができます。

建物競売等の場合の土地の賃借権の譲渡の許可

第三者が賃借権の目的である土地上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利とならないのに、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。

なお、この第三者の申立ては、第三者が、建物の代金を支払った後2カ月以内に限り、することができます。

【補足】

A所有の土地について、Bとの間で借地契約を締結し、Bが、建物を新築し、賃借権を有していたが、Bは、Cからお金を借りるために、その建物に抵当権を設定した。その後、Bが、Cにお金を返済しなかったので、その建物を競売にかけ、Dがその建物を競落した。

この場合、Dは、建物を取得したが、このままでは、土地を使える権利を有しません。そこで、Dは、賃借権を取得したいが、Aが承諾をしないときは、建物の代金支払い後、2カ月以内に裁判所に申立てをすることができます。

建物買取請求権

借地権の存続期間が満了し、契約の更新がない場合、原則、借地権者は、その借地上に建てた建物を取り壊して、借りてきた元の状態にして、借地権設定者に明渡す必要があります。

しかし、建物を使用することができるのに、建物を取り壊すことは、不利益です。そこで、借地借家法では、借地権者は、時価でのその建物の買取りを借地権設定者に請求することができるようにしました。これを建物買取請求権といいます。

なお、特約により、建物買取請求権を排除することはできません。建物買取請求の建物の時価には、借地権そのものの価格は含まれません。ただし、場所的利益は加算されます。

借地権者が、建物買取請求権を行使した場合、借地権者の土地・建物の引渡しと借地権設定者の代金の支払いは、同時履行の関係となります

【補足】

借地権者が、建物買取請求権を行使した場合、借地権者は、借地権設定者から代金の支払いを受けるまで、建物等の引渡しを拒むことができます。

建物買取権を行使すると、借地権者と借地権設定者との間で、売買契約が成立したのと同じになります。

なお、借地権者は、代金の支払いを受けるまでの間、土地や建物の引渡しを拒むことができますが、引渡しを拒んでる間の地代等は、借地権設定者に対して返還する必要があります

建物買取請求権は、建物を取り壊さなければならない借地権者の不利益を保護するためのものであり、借地権者の債務不履行を理由として契約が解除され、契約が終了した場合、借地権者は、建物買取請求権を行使することができません。

転借地権者は、借地権設定者に対して、直接、建物の買取りを請求することができます。

【補足】

  1. 債務不履行に伴う契約解除の場合、建物買取請求権を行使することができません。
  2. 借地権者が、借地権設定者の承諾を受け、土地を第三者に転貸し、建物を譲渡した場合で、借地権者と借地権設定者との契約と借地権設定者と第三者である転借地権者との契約が、共に期間が満了し、更新がないときには、転借地権者は、借地権設定者に対して建物の買取りを請求することができます。

借地条件の変更等

借地条件の変更

建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更や付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により、現に設定している借地権の借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるのに、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができます。

【補足】

当事者が申立てをすることができるので、借地権者のみならず、借地権設定者も申立てをすることができます。

建物の増改築

建物の増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築について当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。

また、裁判所は、その裁判をする場合において、借地権者と借地権設定者との間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができます。

この裁判においては、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければなりません。

【補足】

  1. 建物の増改築を禁止する旨の特約があれば、借地権者が、借地権設定者の承諾を得ずに、増改築をした場合、契約が解除される可能性があります。そこで、借地権者は、借地権設定者の承諾を得ようとするが、借地権設定者の承諾を得ることができない場合に、裁判所に申立てをすることができます。
  2. 裁判所に申立てをすることができるのは、借地権者のみであり、借地権設定者は、含まれません。

地代等の増減額請求権

地代又は土地の借賃(以下、地代等といいます。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときには、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができます

ただし、一定期間、地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う必要があります。

【補足】

  1. 借地権者と借地権設定者との間で、一定期間、地代等を増額しない旨の特約が定められている場合、その特約は、借地権者にとって有利な特約なので、その特約は、有効となり、増額請求をすることができません。

  2. 借地権者と借地権設定者との間で、一定期間、地代等を減額しない旨の特約が定められている場合、その特約は、借地権者にとって不利な特約なので、その特約は、無効となり、減額請求をすることができます。

  3. 地代等の増減額の請求があった場合、借地権者と借地権設定者との間の話合いにより決めることになります。話合いでも決めることができなかった場合、次に、原則、簡易裁判所に調停を申し立てます。調停委員会が、当事者双方から意見を聞きながら、話し合いにより解決をしていきます。それでもまだ、当事者が合意できなかった場合、最後に、裁判を起こしていくことになります。

地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払えばいいのです。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額とその不足額に年1割の割合による支払期後の利息を支払う必要があります。

【補足】

借地権設定者からの地代等の増額請求について、話合いで決まらなかった場合、借地権者は、裁判が確定するまでの間、自分で相当と思う地代等を借地権設定者に支払えばいいのです。

その後、裁判が確定し、借地権者が相当と思って支払っていた地代等が、裁判で確定した地代等の額よりも不足していた場合、借地権者は、借地権設定者に、その不足していた額とその不足額に年1割の割合による支払期後の利息を支払う必要があります。

地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができます。

ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払いを受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額とその超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を返還する必要があります。

【補足】

借地権者からの地代等の減額請求について、話合いで決まらなかった場合、借地権設定者は、裁判が確定するまでの間、自分で相当と思う地代等を借地権者に請求してもいいのです。

その後、裁判が確定し、借地権設定者が相当と思って請求していた地代等が、裁判で確定した地代等の額よりも超過していた場合、借地権設定者は、借地権者に、その超過していた額とその超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を返還する必要があります。

自己借地権

借地権を設定する場合、他の者と共に有することとなるときに限り、借地権設定者が自らその借地権を有することができます。

また、借地権が借地権設定者に帰した場合も、他の者と共にその借地権を有するときは、その借地権は、消滅しないことになります。

【補足】

自己借地権とは、土地を所有している者が、自分を借地権者として、その土地に設定する借地権のことです。自己借地権は、原則、民法上の混同の規定により認められておらず、その者が、土地について、所有権と所有権以外の権利(土地の賃借権や地上権)を有する場合、所有権以外の権利が消滅することになります。

しかし、混同により問題も生じてきます。例えば、Aは、自分の所有する土地に分譲マンションを建てようと考えていました。Aは、その土地の所有権については、自己名義のままにしておきたかったので、借地権付きの分譲マンションにしようと決めました。

借地権付き分譲マンションなので、借地権を設定しないと、借地権の準共有持分を専有部分と一緒に譲渡することができないことになりますが、混同により、Aは、自分自身に借地権を設定することができません。

Aは、混同の規定に反しないためだけに会社を作り、その会社に借地権を設定し、その会社が、その借地権付き分譲マンションを所有し、その会社が、分譲していくという手続を解消するために、借地借家法上、自己借地権が認められています。

定期借地権

定期借地権は、普通の借地権と異なり、一定期日が到来すると、借地契約は、終了することになり、更新されることはありません。

なお、定期借地権には、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3つの種類があります。

一般定期借地権

存続期間を50年以上として借地権を設定する場合、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続による更新を含む)の規定を適用しないこと、建物が滅失した場合の建物の再築による存続期間の延長の規定を適用しないこと、存続期間満了による借地権者による建物買取請求(借地借家法13条)をしないことを特約で定めることができます。

この特約は、公正証書などの書面によりする必要があります。また、契約期限が到来すると、借地権者は、原則、建物を取壊し、更地として借地権設定者に返す必要があります。

【補足】

  1. 一般定期借地権は、存続期間を50年以上と長く設定し、契約の更新の規定を適用しないことや建物の再築による存続期間の延長の規定を適用しないこと、期間満了時の建物買取請求を認めないとする3つの特約を定めることができ、その3つの特約により、借地権設定者の元に、確実に土地(更地)が返ってくることになります。
  2. この特約は、必ず、書面でしなければなりません。書面とは、例えば、公正証書などのことをいい、公正証書に限定されているのではありません。

事業用定期借地権

事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、必ず、公正証書によってする必要があります。

 

存続期間を30年以上50年未満とした場合

専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的として、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続による更新を含む)の規定を適用しないこと、建物が滅失した場合の建物の再築による存続期間の延長の規定を適用しないこと、存続期間期間満了による借地権者による建物買取請求(借地借家法13条)をしないことを特約で定めることができ、その特約は、有効となります。

また、契約期限が到来すると、借地権者は、原則、建物を取壊し、更地として借地権設定者に返す必要があります。

【補足】

  1. 事業の用に供するための建物の所有を目的として土地を借りる必要があり、居住の用に供するための建物の所有を目的としている場合には、事業用定期借地権を設定することはできません。

  2. 社宅は、居住の用に供するものなので、事業用定期借地権を設定することができません。また、住宅賃貸の事業者が賃貸マンションを建てる場合にも、居住の用に供するものなので、事業用定期借地権を設定することができません。

  3. 存続期間が30年以上50年未満とした場合、特約を定めることにより、上記の規定を排除することができます。

存続期間を10年以上30年未満とした場合

専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的として、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続による更新を含む)の規定建物が滅失した場合の建物の再築による存続期間の延長の規定存続期間期間満了による借地権者による建物買取請求(借地借家法13条)規定等については適用されません。

また、契約期限が到来すると、借地権者は、原則、建物を取壊し、更地として借地権設定者に返す必要があります。

【補足】

存続期間を30年以上50年未満の場合、特約により契約更新の規定等を排除していきましたが、存続期間を10年以上30年未満の場合、特約により排除するまでもなく、契約を締結すると自動的に、上記の規定等は適用されません。

建物譲渡特約付借地権

借地権を設定する際に、借地契約の設定後30年以上経過した日に、借地上の建物の所有権を借地権設定者に相当の対価で譲渡し、借地権を消滅させる旨を特約で定めておき、その一定期日が到来した場合、その特約に従って、借地権は消滅します。

【補足】

この特約は、書面で行う必要がなく、口頭でも問題ありません。

 

上記の特約により、借地権が消滅した後も、その建物の使用を継続している借地権者又は建物の賃借人(借地権者からその建物を借りていた人)が、借地権設定者に請求したときは、一定の場合を除き、その請求時に、その建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない建物の賃貸借が成立することになります。

【補足】

建物譲渡特約付借地権の特徴の1つとして、借地契約は終了しますが、建物の賃貸借を成立させることができます。

借地権が消滅し、その借地権消滅後、借地権者又は借地権が消滅する前に借地権者から建物を賃借していた者が、その建物の使用を継続し、借地権設定者に請求したときは、一定の場合を除き、借地権設定者との間で期間の定めのない建物の賃貸借が成立することになります。

つまり、借地権者等は、借地権が消滅した後も、建物を使用することができるということです。

この規定は、一般的借地権や事業用定期借地権と同じく、一定期日後に、更新されることなく、借地契約は終了します。

一時使用目的の賃貸借

臨時設備の設置(例えば、催し物会場など)その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合の借地権のことを一時使用目的の借地権といいます。

この借地権は、借地借家法の規定の一部しか適用されず、適用されない規定については、民法の規定を適用します。

一時使用目的の借地権でも、「借地上の建物に登記することによる対抗力」・「地代等の増減額請求権」・「借地権の譲渡、土地の転貸の場合の借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可」の規定等については、借地借家法が適用されることになります。

旧借地法

現行の借地借家法の施行日である平成4年8月1日の前に借地契約が締結されていた場合、旧借地法が適用されます。

借地権の存続期間

  1. 旧借地法では、存続期間を借地契約で定めなかったときには、堅固な建物(鉄筋コンクリート造など)の所有を目的とするときは60年、その他の建物(木造など)の所有を目的とするときには30年とされています。

    この期間中に建物が朽廃(建物が老朽し、使用できないようなこと)した場合、借地権は、消滅します。なお、契約により、堅固な建物所有を目的としているのか、堅固な建物以外の建物所有を目的としているのかを定めなかった場合、堅固な建物以外の建物所有を目的としているものとみなされます。

  2. 旧借地法では、借地契約で存続期間を定める場合、堅固な建物の所有を目的とするときは30年以上、その他の建物の所有を目的とするときには20年以上と定めることにより、その定めが有効となり、借地権の存続期間は、その期間となります。

    この期間中に建物が朽廃した場合においても、借地権は、消滅しません。また、借地契約で、この期間より短い期間を定めた場合、存続期間を定めなかったこととなり、堅固な建物が60年、その他の建物が30年となります。

  3. 旧借地法では、借地契約を更新する場合、更新後の存続期間は、最低でも、堅固な建物の所有を目的とするときは30年以上、その他の建物の所有を目的とするときには20年以上とする必要があります。

    この期間よりも短い期間を定めたり、期間自体を定めなかったりした場合、更新後の存続期間は、堅固な建物の所有を目的とするときは更新時から30年、その他の建物の所有を目的とするときには更新時から20年となります。

    なお、この期間中に、建物が朽廃した場合、借地権は、消滅します。また、この期間よりも長い期間を当事者で定めた場合、その定めは、有効となり、更新後の存続期間は、その定めた期間によります。なお、この期間中に、建物が朽廃した場合、借地権は、消滅しません

建物の登記後に、建物が滅失した場合

上記の借地権の対抗要件に記載している、登記をしている建物が滅失した場合の掲示による対抗力が認められるという規定は、現行の借地借家法の施行前に建物が滅失した場合には、適用されません。この規定は、滅失時を基準にしていきます。

 

テキストを読み終えた後は、穴埋め問題を解きましょう。

また、穴埋め問題を解き終えた後は、一問一答を解きましょう。

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