無権代理人の責任~民法徹底解説

「民法の問題が難しい?」「民法を理解できない?」といった質問をよくお受けしています。

教材購入者の皆様からの要望をお受けし、宅建士試験で出題される可能性のある民法の条文等(このページでは、無権代理人の責任)を出来る限り簡単に説明します。

宅建士試験の問題の中で一番難しいのは、民法の問題ですので、逆に、民法の問題で高得点を取ることができれば、合格に直結します。

民法の問題が苦手と思っている教材購入者の方は、是非、お読みください。

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無権代理人の責任~民法条文

~民法117条1項~

他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

~民法117条2項~

民法117条1項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。

民法117条の規定は、改正されます。

改正民法は、民法条文規定問題以外は、2018年宅建士試験では出題されませんが、改正民法についても、少しだけ、解説します。

無権代理人の責任~民法解説

ー要件ー

以下の要件を満たしたときに、無権代理人は、相手方に対して履行又は損害賠償(履行利益の損害賠償)の責任を負います。

  1. 無権代理に該当すること
  2. 本人が追認していないこと
  3. 相手方が、無権代理人との契約を取り消していないこと
  4. 相手方が、代理権がないことにつき善意無過失であること
  5. 無権代理人が制限行為能力者に該当しないこと

ー簡単に解説ー

流れに従って簡単に解説します。なお、表見代理については考慮しません。

Aから代理権を授与されていないBは、Aの代理人と偽って、Cとの間で、A所有の建物の売買契約を締結しました。

Bは、代理権を授与されていませんので、Bの行為は、無権代理に該当します。つまり、AC間で売買契約が成立しませんので、例えば、CがAに対して、「建物を引き渡してくれ!」と請求してきたとしても、Aは、建物を引き渡す必要がありません。

Cからすれば、「その建物で生活しようと思っていたのに!生活することができない!!」「その建物で店をだそうと思っていたのに!開店することができない!!」などと思うはず、Cを保護する必要があります。

本人Aが、追認をすれば、AC間で売買契約が成立することになりますが、Aが追認をしませんでした。

なお、Aが追認した場合には、AC間で売買契約が成立することになりますので、無権代理人Bは、相手方Cに対して履行又は損害賠償の責任を負いません。

Cが、Bに代理権がないことを知らなかったのですが、善意のCは、Bとの売買契約を取り消しませんでした。

なお、CがBとの売買契約を取り消した場合、そもそも、Bとの契約自体がなかったことになりますので、無権代理人Bは、相手方Cに対して履行又は損害賠償の責任を負いません。

※Cからすれば、Aの建物を購入したかったんですよね。Cからすれば、「なぜ、契約を取り消さないといけないの!そもそも、Bが勝手なことをしただけなのに!Bが責任をとれ!!」と思うはずです。

※ここは、条文から読みとることができません。

例えば、CがBに代理権がないことを知っていた場合、悪意のCは、Bに対して、「責任をとれ!!」と言えませんよね。そもそも、Bと契約を締結するCも悪いですので、Bは、責任を負いません。

また、CがBに代理権がないことを知らなかったが、知らないことについて過失があった場合、善意有過失のCは、Bに対して、「自分にも落ち度がありましたが、責任をとれ!!」と言えませんよね。この場合、Cは、Bとの契約を取り消すことができますが、Bは、責任を負いません。

つまり、CがBに代理権がないことにつき善意無過失の場合に限り、Bに対して責任を追及することができ、Bは、責任を負います。

※過失は、重過失に限定されているわけではありません。

CがBに代理権がないことにつき善意無過失の場合であったとしても、Bは、責任を負わないときもあります。

例えば、Cが、善意無過失ですが、Bが、未成年者です。ここで、民法102条(代理人は、行為能力者であることを要しない。)を思い出してくださいね、

民法117条2項において、「民法117条1項の規定は、他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。」と規定されています。

つまり、相手方であるCよりも、未成年者である無権代理人Bが保護されます。

ここでもう一度、

以下の要件を満たしたときに、無権代理人は、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負います。

  1. 無権代理に該当すること
  2. 本人(A)が追認していないこと
  3. 相手方(C)が、無権代理人(B)との契約を取り消していないこと
  4. 相手方(C)が、代理権がないことにつき善意無過失であること
  5. 無権代理人(B)が制限行為能力者に該当しないこと

ここで、解説は、終了しますが、この条文に関する重要判例が多くあります。

教材購入者の方は、必ず、教材に掲載している判例を押えてくださいね。なお、教材全てを勉強して頂ければ、重要判例を網羅したことになります。

改正民法117条

~改正民法117条1項~

他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

~改正民法117条2項~

改正民法117条1項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

  1. 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
  2. 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
  3. 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

ー改正民法117条1項解説ー

要件が改正されたということではありませんが、「立証責任は、無権代理人側にある。」ということを明らかにしました。

ー改正民法117条2項解説ー

117条2項の上記2については、いずれ、宅建士試験にも出題される可能性が高いと思います。

現行民法では、相手方が善意無過失の場合に、無権代理人が責任を負います。

しかし、改正民法では、相手方が善意有過失の場合であっても、無権代理人が悪意のときには、無権代理人は、責任を負うことになります。

以前までは、相手方に過失がある場合、表見代理は成立しませんし、無権代理人の責任追及もすることができません。しかし、改正後は、相手方が善意有過失の場合、表見代理は成立しませんが、無権代理人が悪意の場合に限り、無権代理人の責任追及をすることができます。

問題にチャレンジ

【問題】

AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。この場合に関する次の記述は、民法の規定によれば、正しいですか?それとも、誤っていますか?

Bが本件売買契約を追認しない場合、Aは、Cの選択に従い、Cに対して契約履行又は損害賠償の責任を負う。ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことを知っていた場合は責任を負わない。

【解答・解説】

この問題は、宅建士試験の過去問題です。

AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結していますが、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった、つまり、Aの行為は、無権代理に該当します。

民法117条1項において「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。」と規定されています。

よって、問題文ただし書き前の「Bが本件売買契約を追認しない場合、Aは、Cの選択に従い、Cに対して契約履行又は損害賠償の責任を負う。」旨の記述は正しいです。

民法117条2項において、「民法117条1項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。」と規定されています。

よって、問題文ただし書き以降の「ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことを知っていた場合は責任を負わない。」、つまり、「Cが悪意の場合、無権代理人Aは、責任を負わない。」旨の記述は正しいです。

その結果、本問は、正しい記述です

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