弁済テキスト

弁済とは、建物の引渡し義務がある場合の「建物を引渡す」、建物を購入した場合の「代金を支払う」、借金をした場合の「借金を返す」等、債務者(原則、第三者も含む)が、債務の内容を実現する行為のことです。要するに、債務を履行することです。そして、債権を消滅させていきます。

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 弁済の提供

 弁済の提供とは

債務者が、弁済を実現させるためには、債権者の協力が必要となる場合があります。この場合、弁済の実現のために、債務者側として、なし得るだけのことをして、後は、債権者側が協力して、弁済が完了したということになります。

弁済の実現のために、債務者側として、なし得るだけのことをすることを弁済の提供といいます。

例えば、債務者には、金銭債務があり、その弁済の実現のために、お金を用意し、お金を返すために債権者の家に持って行ったが、債権者が留守中であった。この場合、債権者が債務者からお金を受け取った時点で、弁済したことになります。

弁済の提供とは、債務者が、お金を用意し、お金を返すために債権者の家まで行くことです。

 

 弁済の提供の効果

債務者は、弁済の提供の時から、債務不履行の責任が生じません。また、担保権も実行されることはありません。

【補足】

  1. 例えば、お金を返す期日に、債務者が、お金を用意し、お金を返すために債権者の家まで行ったが、債権者が留守中であった。この場合、返済期日が過ぎたので、履行遅滞が成立し、債務者は、損害賠償を支払う可能性があるのでは、債務者にとって、あまりにも酷な話です。したがって、債務者は、弁済の提供の時から、債務不履行の責任が生じることはありません。

  2. 弁済の提供によって、債務自体は消滅しません。債権者が、債務者からお金を受領した時に、債務が消滅します。

【例題1】

A所有の建物についてBとの間で売買契約を締結した。Aの所有権移転手続とBの代金支払いは、同時履行の関係です。決済約定日に、Aは所有権移転手続を行い債務の履行の提供をしたが、Bは、代金債務について弁済の提供をしなかったので、Aは、履行を拒否(Aは、所有権移転手続のための書類を渡さないことなど)した。この場合、Aは、契約を解除することができるのか。

【解答・考え方】

Aは、一度、履行の提供をしているが、Bは、弁済の提供をしない。この時点で、Bの履行遅滞が成立します。この場合、Aは、改めて履行の提供をすることなく、契約を解除することができます。Aが契約を解除する場合、Bは、同時履行の抗弁権を主張することができません

【例題2】

A所有の建物についてBとの間で売買契約を締結した。Aの所有権移転手続とBの代金支払いは、同時履行の関係です。決済約定日に、Aは所有権移転手続を行い債務の履行の提供をしたが、Bは、代金債務について弁済の提供をしなかったので、Aは、履行を拒否した。Aは、一度、履行の提供をしているので、これを継続せずに、Bに対して代金の支払いを請求した場合、Bは、同時履行の抗弁権を主張することができるのか。

【解答】

Bは、所有権移転登記を受けるまで代金の支払いを拒むことができます。要するに、Bは、同時履行の抗弁権を主張することができます

弁済の提供の方法

  1. 弁済の提供は、原則、債務の本旨に従って現実に提供する必要があります(現実の提供)。
  2. しかし、債権者が、理由もなくあらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、例外として、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば(口頭の提供)、弁済の提供をしたことになります。
  3. なお、債権者が、受領を拒む意思が非常に固く、翻りそうもない場合、口頭の提供も不要となります。

【補足】

  1. 現実の提供とは、例えば、借金を返す必要のある債務者が、返済期日がきたので債権者に返すためのお金をもって、債権者の家に行って、「お金を支払います」と言った等のことです。必ずしも、実際に、債権者にお金を提示する必要はありません。なお、お金を持参して債権者の家に行ったが、債権者が留守中の場合も現実の提供がなされたものとみなされます。

  2. 金銭債務の弁済の提供と認められるのは、現金を提供することは当然ですが、郵便為替、銀行の自己宛小切手等を提供した場合も含まれます。なお、個人振出の小切手については、原則、金銭債務の弁済の提供と認められません。

弁済の場所

弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在していた場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれする必要があります。

【補足】

  1. 弁済すべき場所は、原則、当事者間で決めていきます。

  2. 特定物とは、例えば、不動産のことです。当事者間で取り決めがない場合、不動産の引渡しについては、債権発生時にその不動産が存在していた場所で行う必要があります。要するに、債権者は、不動産がある場所まで行って、引渡しを受けなければなりません。

  3. また、その他の弁済、例えば、代金支払債務については、債権者の住所地で行う必要があります。要するに、債務者は、債権者の家で代金を支払わなければなりません。

弁済の費用

弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者が負担することになります。

ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって、弁済の費用を増加させたときは、増加させた費用については、債権者の責任であるため、債権者が負担することになります。

【補足】

弁済の費用とは、不動産の所有権移転登記をする義務がある場合の所有権移転登記に要する費用や代金を支払う義務がある場合の振り込み手数料等のことです。

供託

供託(=弁済供託)というのは、供託所に弁済の目的物を保管してもらうことにより、実際に弁済をしたものして取り扱われ、債務が消滅することになります。

債権者が弁済の受領を拒んだとき債権者の所在不明やその他債権者側の事由で弁済を受領することができないとき弁済者が過失なく債権者を確知することができないときには、弁済をすることができる者(債務者に限定されていません)は、債権者のために弁済の目的物を供託し、その債務を免れることができます。

【補足】

債務者が、現実の提供や口頭の提供をしたが、債権者が、債務者の弁済の提供を拒んだ場合、債務者は、供託所に目的物を供託し、債務を消滅させることができます。

代物弁済

代物弁済とは

代物弁済とは、債務者が債権者の承諾を得て、本来の給付内容と違う他の給付を行うことです。例えば、本来、現金で返すところを時計で返すことです。

なお、代物弁済は、要物契約です。

【補足】

代物弁済は、要物契約なので、動産の場合には引渡し、不動産の場合には、引渡し、かつ、所有権移転登記(第三者に対する対抗要件)を行う必要があります。

なお、代物弁済として、債権を譲渡することも認められていますが、この場合、第三者に対する対抗要件を備える必要があります。

効力

代物弁済は、弁済と同じ効力をもち、債権及びその債権に付従する担保権も消滅します。

【補足】

代物弁済によって、債権は消滅しますが、実際に給付が行われた時点で消滅することになります。不動産の場合、原則、所有権移転登記が完了した時点で債権が消滅することになります。

瑕疵担保責任

債務者が、債権者に対して、代物弁済により給付した物に瑕疵があった場合においても、債権は消滅します

ただし、売買の瑕疵担保責任の規定が準用されて、債権者は、契約の解除や損害賠償の請求をすることができる可能性はあります。

 

本来の給付より価値のない不動産による給付

債務者が、債権者の承諾を得て、本来の給付に代えて、本来の給付より価値のない不動産の所有権を移転することもできます。

【補足】

代物弁済は、債権者と債務者の契約によりすることができます。よって、本来の給付と同じ価値の物でなくてもいいのです。しかし、例えば、100万円を返す必要がある債務者が、10億円の土地を引き渡す場合など、代物弁済行為が暴利行為として無効となる可能性はあります。

第三者による弁済

  1. 原則、債務者以外の第三者が、債務者に代わって弁済することができます。第三者が弁済した場合、債務者の債務が消滅します。
  2. その債務の性質上、第三者が弁済することを許さないとき、又は債権者及び債務者の当事者が、第三者が弁済することを認めないという意思表示をしたときは、例外として、第三者が弁済することができません。
  3. 法律上の利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができません。

【補足】

  1. 債権者と債務者の合意により、「第三者の弁済を禁止する」と決めることができます。
  2. その債務の性質上、第三者が弁済することを許さないときでもなく、債権者と債務者の合意により、第三者の弁済を禁止すると決めていない場合においても、法律上の利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができません。

    逆に、法律上の利害関係を有する第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができます。

  3. 法律上の利害関係を有する第三者とは、例えば、物上保証人や担保不動産の第三取得者や後順位担保権者や借地上の建物の賃借人等のことです。

    なお、第三者には該当しませんが、債務者と同じく、債務者の債務を弁済する必要のある保証人、連帯保証人、連帯債務者も債務者の意思に反して弁済することができます。

  4. 例えば、債務者Aの借金の担保として、第三者Bの土地に抵当権を設定しました。Aが借金を返済しない限り、抵当権が実行されてその土地が競売にかけられ、Bが、その土地の所有権を失うことになります。

    したがって、債務者の意思に関係なく、Bが、弁済することは当然なことです。なお、親・兄弟・子供だからといって、法律上の利害関係を有することにはなりません。

弁済による代位

第三者等が、債務者の代わりに弁済した場合、債務者に対して求償権を取得します。

求償権とは、例えば、債務者がお金を返す代わりに、第三者等がお金を返した場合、第三者が、債務者に対して、「あなたのために返したお金を下さいと」言える権利のことです。

この求償権を確保するために、債権者が債務者に対して有していた権利が、弁済をした第三者等に移転することを弁済による代位といいます。

【補足】

例えば、AがBに対してお金を貸している。そこで、その債権の担保のため、B所有の土地に抵当権を設定した。その後、第三者CがAに対して、Bが借り入れたお金を弁済した。

この場合、Cは、Bに対して、「あなたの代わりにお金を返したのでお金を下さい」と言えます(Cが求償権を取得します)。

そして、この求償権を確保するために、AがBに対して有していた抵当権が、Cに移転されることになります。

つまり、求償権の担保として抵当権が設定されたということになります。

法定代位と任意代位

  1. 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位することができます(法定代位といいます)。
  2. それに対して、弁済をすることについて正当な利益を有していない者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得ることによって、債権者に代位することができる(任意代位といいます)。

【補足】

  1. 正当な利益を有する者とは、例えば、保証人、連帯保証人、連帯債務者、物上保証人、担保不動産の第三取得者、後順位担保権者等のことです。
  2. 任意代位の場合、債務者その他の第三者に代位したことを対抗するためには、債権者が、債務者に対して確定日付けのある証書による通知をすることや債務者が承諾していること(対抗要件を備えること)が必要となります。

弁済の充当

債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払う場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、その給付額は、費用、利息、元本の順に充当することになります。

【補足】

例えば、Aが、Bに建物を売却し、代金が1,000万円です。その代金に対しての利息30万円、売買契約書を作成するために要した費用10万円だったとします。

そして、Bが100万円を弁済した場合、その100万円がどの債務に充当させるかは、A・B間の合意により決定されることになります。

しかし、このような合意がないときには、先ず、費用に充当され、100万円の内、10万円の費用が弁済されたことになります。次に、利息に充当され90万円(100万円-費用充当分)の内、利息の30万円が弁済されたことになります。

最後に、元本に充当され、60万円が弁済されたことになります。

弁済を充当すべき債務の指定

債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済額がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます。

また、弁済をする者が、上記の指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます。ただし、弁済をする者が、債権者の充当に対して直ちに異議を述べたときは、法定充当されます。

【補足】

債権者Aが、債務者Bに対して代金債権100万円と貸付債権50万円を有しているとします。

債務者Bが80万円しかなく、Aに対して、80万円を弁済しようとしています。Bは、Aに対して同種の給付を目的とする数個の債務(金銭債務)を負担しています。

この場合、80万円をどの債務に充当するかは、原則、弁済をするBが決めることができます。また、Bが決めなかったときには、Aが決めることができます。

ただし、Aが、決めた充当に、Bが直ぐに異議を述べたときは、法定充当されることなります。

法定充当

弁済をする者及び弁済を受領する者が弁済の充当の指定をしないときは、下記に従い、その弁済を充当することになります。

  • 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものを先に充当することになります。

【補足】

債権者Aが、債務者Bに対して代金債権100万円と貸付債権50万円を有しているとします。代金債権が5月1日に支払う必要があり、貸付債権が6月1日に支払う必要がある。そして、5月1日にBが100万円を弁済した。

この場合、100万円は、弁済期が到来している代金債権に充当されます。

  • 複数の債務が、共に弁済期が到来しているもの、又は共に弁済期が到来していないものの場合、債務者のために弁済の利益が多いものを先に充当することになります。

【補足】

  1. 利息が付されている債務と利息が付されていない債務とでは、利息が付されている債務に充当される方が、債務者は、余計な利息を払う必要がなくなり、債務者のために弁済の利益が多くなります。

    よって、複数の債務が、共に弁済期が到来しているもの、又は共に弁済期が到来していないものの場合、利息が付されている債務の方が優先的に充当されることになります。

  2. 抵当権が付されている債務と抵当権が付されていない債務とでは、抵当権が付されている債務に充当される方が、抵当権も消滅するので、債務者のために弁済の利益が多くなります。

    よって、抵当権が付されている債務の方が優先的に充当されることになります。

  • 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものを先に充当することになります。

【補足】

利息が付されている債務と利息が付されている債務とでは、弁済期が先に到来した方、又は先に到来すべき方が優先的に充当されることになります。

  • 上記によっても、決定されないときには各債権額に応じて、充当することになります。

弁済の受領権限のない者に対する弁済

債務者は、原則、弁済の受領権限のある債権者に対して弁済する必要があり、債権者に対して弁済すると債務が消滅します。下記からは、債務者が、債権者と間違えるような人に弁済した場合についての規定です。

債権の準占有者に対する弁済

債権の準占有者に対する弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、弁済の効力を有することになります。

【補足】

  1. 債権の準占有者とは、例えば、銀行に預金通帳と印鑑を持参する者、債権者の代理人と称した者等、実際の債権者ではないが、外観上、債権者のように見える人のことです。
  2. 弁済をした者が、善意無過失の場合に限定されます。
  3. 弁済の効力を有するとは、債権者のように見える人に弁済しても、債務は消滅するということです。
  4. 盗んできた債権証書や、偽造の債権証書の持参人に対して弁済した場合においても、弁済をした者が、善意無過失であれば、弁済をしたものとして取り扱われます。
  5. 債権証書とは、債権が成立したことを証明する書面のことであり、例えば、借用書のことです。債務者は、弁済をした後に債権証書を返してもらえます。要するに、債権証書の返還と弁済は同時履行の関係とはなりません

受取証書の持参人に対する弁済

受取証書の持参人に対する弁済は、弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、弁済の効力を有することになります。

【補足】

  1. 受取証書とは、弁済の受領を証明する書類のことであり、例えば、領収書のことです。債務者が、弁済をしたと同時に受取証書をもらいます。要するに、受取証書と弁済は同時履行の関係となります
  2. 弁済をした者が、善意無過失の場合に限定されます。
  3. 受取証書の持参人に対する弁済とは、例えば、本当の集金人でない者が、集金人として、本物の領収書を持って、債務者の家に来たとします。そして、債務者が、その集金人に対してお金を払うことです。本当の債権者は、その集金人に対して、不当利得として返還請求(お金を返せといえます)をすることができます。
  4. 受取証書は、本物でなければなりません。したがって、偽造の受取証書については上記の規定は適用されません。ただし、「債権の準占有者に対する弁済」の規定は適用される可能性があります。

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また、穴埋め問題を解き終えた後は、一問一答を解きましょう。

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