相続テキスト

2018年度版フルセット教材は、完売のため、販売を終了させて頂きます。

2018年度版直前答練は、引き続き、販売しております。なお、数に限りがございますので、予めご了承ください。

宅建士試験予想問題

相続とは

相続とは、ある人(被相続人)が死亡して、被相続人の権利義務を特定の者(相続人)に引き継がせることです。相続は、被相続人の死亡によって開始されることになります。

【補足】

被相続人の権利義務を相続人が引き継ぐことになるので、相続人にとって、プラスになる財産(預貯金等)もあればマイナスになる財産(借金等)も当然にあります。

被相続人の権利義務は、原則、相続財産として相続人に引き継がれることになります。ただし、被相続人の一身に属したもの(被相続人のみに帰属する権利義務)は、被相続人の死亡により、相続人に承継されません。

被相続人の一身に属したものとは、例えば、代理人が死亡したときなどは、代理人の地位が相続人に引き継がれません。また、委任契約の委任者、受任者の地位や使用貸借契約の借主の地位についても、相続人に承継されません。

相続人

被相続人の配偶者

被相続人の配偶者は、相続欠格、相続廃除の場合を除き、常に、相続人となります。

【補足】

配偶者とは、法律上の婚姻関係にある者のことをいい、内縁関係の者は、含みません。

被相続人の子供

被相続人の子供は、第一順位の相続人となります。

【補足】

  1. 被相続人の子供には、法律上の婚姻関係にある者との関係で生まれた子供(嫡出子といいます)、法律上の婚姻関係にない者との関係で生まれた子供(非嫡出子といいます。父親が被相続人の場合には、父親によって認知されている必要があります。母親が被相続人の場合には、認知の有無は関係ありません。)、養子、胎児がいます。
  2. 例えば、被相続人には、配偶者、子供、親、兄弟、祖父母がいる場合、配偶者は、常に、相続人となります。そして、第一順位の子供が、配偶者と共に相続人となります。
  3. 例えば、被相続人には、配偶者と子供が3人いる場合、配偶者は、常に、相続人となります。そして、第一順位の子供の3人が、配偶者と共に相続人となります。したがって、相続人の数は、4人です。
  4. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなします

被相続人の直系尊属

被相続人の直系尊属は、第二順位の相続人となります。

【補足】

  1. 被相続人の直系尊属とは、父母、祖父母等のことです。そして、父母と祖父母とでは、親等の近い者が優先して相続人になることができます。よって、親等の近い父母が相続人となります。祖父母は、父母がいる場合には、相続人となることができません。

  2. 第一順位である子供の全員が、死亡している場合・相続欠格や相続廃除により相続権を失った場合・相続放棄をした場合は、被相続人の直系尊属が相続人となります。

  3. 例えば、被相続人には、配偶者、母親、祖父母、兄弟がいる場合、配偶者は、常に、相続人となります。そして、第一順位の子供がいないので、第二順位の母親が配偶者と共に相続人となります。

  4. 例えば、被相続人には、配偶者、祖父母、兄弟がいる場合、配偶者は、常に、相続人となります。そして、第一順位の子供がいないので、第二順位の祖父母が配偶者と共に相続人となります。

被相続人の兄弟姉妹

被相続人の兄弟姉妹は、第三順位の相続人となります。

【補足】

  1. 両親が同じ全血兄弟姉妹だけでなく、片親だけが同じ半血兄弟姉妹も第三順位の相続人となります。

  2. 第一順位、第二順位の者全てが、死亡している場合・相続欠格や相続廃除により相続権を失った場合・相続放棄をした場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

  3. 例えば、被相続人には、配偶者、兄、弟がいる場合、配偶者は、常に、相続人となります。そして、第一順位の子供、第二順位の直系尊属がいないので、兄と弟が配偶者と共に相続人となります。

相続欠格と相続廃除

相続欠格

次に掲げる事由、すなわち、相続の欠格事由に該当した者は、当然に、相続人になることができません。また、その者に遺言があっても遺贈を受けることができません。

  1. 故意に被相続人又は相続について自分と同じ順位、もしくは、上の順位にある者を死亡させ、又は死亡させようとしたために、刑に処せられた者
  2. 被相続人が殺害されたことを知っていながら、告訴や告発をしなかった者
  3. 詐欺や強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をしたり、撤回したり、取り消したり、変更したりすることを妨げた者
  4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせたり、撤回させたり、取り消させたり、変更させたりした者
  5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造したり、変造したり、隠匿したりした者

相続廃除

被相続人が、自分を以前に虐待したり、著しい非行があった者に、相続させたくないときには、あらかじめ、被相続人の請求に基づき家庭裁判所の審判によって推定相続人(いずれ、相続人になる者)から相続権を失わせることを相続廃除といいます。なお、相続廃除の場合の推定相続人とは、遺留分を有する者に限定されます。

 

【補足】

  1. 例えば、被相続人には、配偶者、子供1人、父母、兄弟姉妹がいるが、配偶者は、相続欠格に該当した。この場合、相続人となれるのは、子供だけです。配偶者であっても、相続欠格に該当した場合、相続人にはなりません。なお、相続廃除の審判を受けた場合も、同様に、相続人にはなりません。

  2. 例えば、被相続人には、配偶者、子供1人、父母、兄弟姉妹がいるが、子供が、相続欠格に該当した。この場合、相続人となれるのは、配偶者と父母になります。第一順位の子供が、相続欠格に該当しているので相続人になることができず、第二順位の父母が、配偶者と共に相続人になることができます。

代襲相続

相続人となるはずの者(子供と兄弟姉妹)が、相続開始以前に死亡した場合、相続欠格に該当した場合、相続廃除の審判を受けた場合、その者の相続権が失ったときに、その者の子供が、その者の代わりに相続人となることができます。これを代襲相続といい、代襲相続により相続人となった者のことを代襲相続人といいます。

なお、代襲相続については、子供と兄弟姉妹によって、取扱いが異なります。

また、死亡、相続欠格、相続廃除は、代襲相続の原因となりますが、相続放棄は、代襲相続の原因となりません。(例えば、相続を放棄した子供の子供(被相続人から見れば、孫)は、代襲相続人になることができません。)

被相続人の子供が死亡していた場合

例えば、相続開始以前に被相続人の子供が死亡していた場合、その子供の子供(被相続人から見れば、孫)が代襲相続人となりますが、その孫も死亡していた場合には、孫の子供(被相続人から見れば、ひ孫)が代襲相続人となり、ひ孫も死亡していた場合には、ひ孫の子供というように、ずっと、下の世代にいきます

【補足】

  1. 養子の子供は、代襲相続人になれる場合と、なれない場合とがあります。養子の子供が、養子縁組前に生まれている場合には、代襲相続人になることができず、養子縁組後に生まれている場合には、代襲相続人になることができます。

  2. 例えば、被相続人には、配偶者とAとBの2人の子供がいており、Aには、2人の子供がいます。Aが、相続開始以前に死亡した場合、Aの2人の子供が代襲相続人となります。

被相続人の兄弟姉妹が死亡していた場合

例えば、相続開始以前に被相続人の兄弟姉妹が死亡していた場合、その兄弟姉妹の子供(被相続人から見れば、甥や姪)が代襲相続人となります。子供の場合と異なり、甥や姪が死亡していても、甥や姪の子供は代襲相続人になることはできません。

【補足】

半血兄弟姉妹の子供も代襲相続人になることができます。なお、甥や姪の子供は代襲相続人になることはできません。

同時死亡の推定

複数人の者が、死亡したが、どちらが先に死亡したかが判明しない場合には、同時に死亡したものと推定されることになります。これを同時死亡の推定といいます。例えば、親と子供が同時に死亡したと推定されることにより、親の相続に関して、孫が、代襲相続人になるということになります。

 

相続分

相続分には、法定相続分と指定相続分とがあります。

法定相続分

法定相続分とは、民法に規定されている相続分のことです。相続人となる人との組み合わせによって、相続分が異なります。

相続分とは、複数の相続人間で、被相続人の遺産を分け合うことができない場合等に、被相続人の遺産に対して、自分が主張することができる基準となる取り分の割合のことです。

なお、必ずしも、法定相続分により、被相続人の遺産を分け合う必要はありません。

 

相続人が、配偶者と子供の場合

相続人が、配偶者と子供の場合、配偶者の相続分が、2分の1で、子供の相続分が2分の1となります。

【補足】

  1. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と3人の子供であるA、B、Cがいる場合、60万円(120万円×2分の1)が配偶者のものになり、60万円(120万円×2分の1)が子供のものになります。しかし、子供がA、B、Cの3人います。そこで、子供の持分である60万円を3人で均等に分け合います。よって、A、B、Cは、それぞれ、20万円(60万円×3分の1)が自分のものになります。
  2. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と3人の子供であるA、B、Cがいたが、Cは、相続開始以前に死亡しており、Cには、子供であるDとEがいる場合、60万円(120万円×2分の1)が配偶者のものになり、60万円(120万円×2分の1)が子供のものになります。ここまでは、上記と同じです。ここで問題が生じるのが、Cが相続開始以前に死亡し、相続権がないということです。この場合、DとEは代襲相続することができ、代襲相続する場合、Cに相続権があると仮定して計算します。子供の持分である60万円を3人(A、B、C)で均等に分け合い、A、B、Cは、それぞれ、20万円(60万円×3分の1)が自分のものになります。AとBについては、問題はありませんが、Cは、死亡しており、DとEが代襲相続しますので、Cの持分である20万円をDとEが均等に分け合います。よって、配偶者は、60万円、AとBは20万円、DとEは10万円が自分のものになります。
  3. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と子供であるA(非嫡出子)、B(嫡出子)、C(嫡出子)がいる場合、60万円(120万円×2分の1)が配偶者のものになり、60万円(120万円×2分の1)が子供のものになります。そこで、問題となってくるのが、Aが非嫡出子であるということです。以前まで、非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1でした。しかし、民法が改正され、嫡出子の相続分と非嫡出子の相続分は同じとなりました。したがって、子供の持分である60万円を3人で均等に分け合います。よって、A、B、Cは、それぞれ、20万円(60万円×3分の1)が自分のものになります。
  4. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と3人の子供であるA、B、Cがいたが、Bは相続放棄をした。Bには、DとEの2人の子供がいる場合、60万円(120万円×2分の1)が配偶者のものになり、60万円(120万円×2分の1)が子供のものになります。Bは、相続放棄をしているので、代襲相続の原因とならず、DとEは、代襲相続人になることはありません。相続を放棄した人がいる場合には、その人がいないものだと仮定します。したがって、子供は、AとCの2人となり、子供の持分である60万円を2人で均等に分け合います。よって、AとCは、それぞれ、30万円が自分のものになります。

相続人が、配偶者と直系尊属の場合

相続人が、配偶者と直系尊属の場合、配偶者の相続分が、3分の2で、直系尊属の相続分が3分の1となります。

【補足】

  1. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と母親であるAがいる場合、80万円(120万円×3分の2)が配偶者のものになり、40万円(120万円×3分の1)がAのものになります。
  2. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と母親であるA、父親であるBがいる場合、80万円(120万円×3分の2)が配偶者のものになり、40万円(120万円×3分の1)が直系尊属のものになります。そこで、直系尊属の持分である40万円を2人で均等に分け合います。よって、AとBは、それぞれ、20万円(40万円×2分の1)が自分のものになります。

相続人が、配偶者と兄弟姉妹の場合

相続人が、配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者の相続分が、4分の3で、兄弟姉妹の相続分が4分の1となります。

【補足】

  1. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と兄であるAがいる場合、90万円(120万円×4分の3)が配偶者のものになり、30万円(120万円×4分の1)がAのものになります。

  2. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と兄であるA、妹であるBがいる場合、90万円(120万円×4分の3)が配偶者のものになり、30万円(120万円×4分の1)が兄弟姉妹のものになります。そこで、兄弟姉妹の持分である30万円を2人で均等に分け合います。よって、AとBは、それぞれ、15万円(30万円×2分の1)が自分のものになります。

  3. 例えば、120万円の財産を有する被相続人には、配偶者と兄であるA、半血の弟であるBがいる場合、90万円(120万円×4分の3)が配偶者のものになり、30万円(120万円×4分の1)が兄弟姉妹のものになります。半血兄弟姉妹の相続分は、全血兄弟姉妹の2分の1となります。計算の仕方としては、全血兄弟姉妹の1人の持分を「2」と考え、半血兄弟姉妹の1人の持分を「1」と考えます。全血の兄の1人の持分「2」と半血の弟の1人の持分「1」との合計は「3」です。これにより、20万円(30万円×3分の2)がAのものであり、10万円(30万円×3分の1)がBのものになります。この問題で、例えば、半血の兄、半血の弟、全血の姉がいる場合、半血の兄の持分「1」、半血の弟の持分「1」、全血の姉の持分「2」と考え、そして、合計「4」と考えます。これにより、15万円(30万円×4分の2)が全血の姉のものになります。そして、7万5千円(30万円×4分の1)が、半血の兄、半血の弟のものになります。

指定相続分

被相続人は、遺言により、共同相続人の相続分を定め、又は共同相続人の相続分を定めることを第三者に委託することができます。ただし、その指定により、遺留分を侵害された者は、遺留分減殺請求をすることができます。

【補足】

例えば、子供であるAには、法定相続分より多くの財産をあげたい場合等に、あらかじめ、相続分を指定していきます。なお、指定相続分の方が、法定相続分より優先されます。

遺産分割

遺産分割とは

ある人(被相続人)の死亡に伴い、相続は開始されることになります。相続人が複数人いる場合、相続財産は、共同相続人の共同所有という形になります。このままでは、各共同相続人は、その相続財産を自由に処分したりすることができません。そこで、相続財産を1人1人の相続人に分割する手続をすることができます。そのことを遺産分割といいます。

【補足】

  1. 遺産分割とは、例えば、被相続人が有していた農地は、子供Aが相続し、株式については、子供Bが相続し、建物については、配偶者が相続するというように、分割していくことです。
  2. 相続財産は、遺産分割が行われるまでの間、暫定的に共同相続人が共有することになります。
  3. 被相続人が有している遺産の全てが、遺産分割の対象とはなりません。金銭債務(借金等)については、当然に、相続分により、各相続人に分割されることになります。

遺産分割の方法

指定分割

被相続人が、遺言により分割方法を定めているときには、その指定に従って分割していきます。また、被相続人は、遺言により、分割方法を定めることを第三者に委託することができます。

【補足】

例えば、被相続人の遺言に、「家はAに、土地はBに与える」としているのなら、その遺言に従うことになります。

協議分割

被相続人の遺言による指定がない場合、共同相続人間による協議により分割していきます。

【補足】

被相続人の遺言による指定がない場合、相続人全員で話し合って、相続人全員の合意により、遺産を分割していきます。

調停・審判による分割

相続人同士で、話合いをすることにより、遺産を分割することができたのなら、何の問題も生じてきません。ただし、話合いをしたけど、うまくいかなかった場合や、相続人の全員で話合いをする必要があるのに、相続人の1人が、話合いの場に参加しなかった場合等には、家庭裁判所の調停員が、相続人全員の話合いに参加することにより、分割することができます。これを調停による分割といいます。

なお、話合いがまとまらなかった場合等には、調停による分割に加えて、審判による分割というものもあります。

審判による分割とは、共同相続人が、1人で、または、共同で家庭裁判所に遺産分割の請求をして、家庭裁判所の審判により、遺産が分割されることになります。なお、審判があった場合、各共同相続人は、その審判に従う必要があります。ただし、その審判に不服がある場合には、一定期間内に即時抗告をすることも可能です。

 

遺産分割の効果

遺産の分割の効力は

遺産の分割の効力は、被相続人の死亡時(相続開始時)に遡って生じることになります。ただし、第三者の権利を害することはできません。

【補足】

  1. 遺産分割の結果、遺産分割により被相続人の遺産を取得した各相続人は、被相続人の死亡時に遡って、取得したことになります。
  2. 被相続人の死亡後(相続開始後)、遺産分割が行われるまでの間、相続財産については、共同相続人が共有することになります。各共同相続人は、相続財産について、共有持分権を有することになり、自分の共有持分権を自由に処分することができます。なお、この共有持分権について、譲渡を受けた者や差押えをした債権者等(上記、ただし書きの第三者)が、対抗要件(不動産については登記、動産については引渡し)を備えていれば、その第三者の権利を害することができません。この場合の第三者についての、善意、悪意は関係ありません。
  3. 被相続人には、相続人AとBがおり、被相続人の遺産には、賃貸している建物がある。遺産分割が行われ、Aがその建物の所有権を取得することになった場合、被相続人の死亡後、遺産分割が行われるまでの間に得ることができる賃料については、誰のものになるかという問題が生じます。遺産分割が行われると、被相続人の死亡時に遡って、その建物の所有者は、Aになるはずです。しかし、判例上、賃料は、各相続人が相続分に応じて取得することになります
  4. 遺産分割協議が、一度、成立した場合においても、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議をやり直すことができます。

認知によって相続人となった場合

相続の開始後、認知によって相続人となった者が、遺産の分割を請求しようとする場合において、もう既に他の共同相続人がその分割その他の処分をしたときは、認知によって相続人となった者は、価額のみによる支払の請求権を有することになります。

【補足】

  1. 例えば、遺言もない状態で、父親が死亡し、子供であるAとBが、話合いにより、遺産分割を成立させたとします。その後、父親と婚姻関係のない者との間に生まれたCが、認知の訴えを起こして、認知が認められた場合、Cも非嫡出子として、父親の遺産を相続することができるようになります。この場合、既に、遺産分割が終わっているので、Cは、AとBに対して、自己の相続分相当額の金銭の請求をすることができます。また、AとBとの間で遺産分割が成立していないときは、Cも話合いの場に参加することができるので、金銭の請求という話はでてきません。

  2. 例えば、遺言もない状態で、父親が死亡し、父親の兄であるAと弟のBが、話合いにより、遺産分割を成立させたとします。その後、父親と婚姻関係のない者との間に生まれたCが、認知の訴えを起こして、認められた場合、Cも非嫡出子として、父親の遺産を相続することができるようになります。この場合、非嫡出子は、第一順位であり、兄弟姉妹は、第三順位なので、兄弟姉妹は、そもそも、父親の遺産を相続することはできません。そこで、Cは、AとBに対して、相続回復請求権を行使することができます。簡単に言うと、Cは、AとBに対して、相続したものを返してくれと言うことができます。

  3. 相続回復請求権は、本当の相続人(C)又はその法定代理人が、表見相続人(AとB)が相続権を侵害していることを知ったときから5年で消滅します。また、これを知らない場合においても、相続開始時から20年間行使しないときにも消滅します。

隠れた瑕疵があった場合

遺産分割の成立により、ある相続人が相続により取得した財産が、隠れた瑕疵があった場合等には、他の相続人は、自分の相続分に応じて、売主と同じく、担保責任を負うことになります。

 

遺産分割の禁止

被相続人の遺言、共同相続人の協議等により、5年を超えない範囲内で、遺産分割を禁止することができます。なお、共同相続人の協議による場合、共同相続人間の合意があれば、更新することもできます。

【補足】

家庭裁判所の審判や調停によっても、遺産分割を禁止することができます。

相続の承認・放棄

ある人が死亡した場合、相続人は、被相続人の遺産を承継するのか、承継しないのかを決める必要があります。被相続人の遺産を承継する場合には、単純承認か限定承認をする必要があり、被相続人の遺産を承継しない場合には、相続放棄をする必要があります。

単純承認とは

相続人が、被相続人の権利義務を無制限に承継することを単純承認といいます。「被相続人の権利義務を無制限に承継する」とは、被相続人のプラス財産(貯金等)に加え、マイナス財産(借金等)についても承継していくということです。

 

限定承認とは

相続人が、被相続人のプラス財産の範囲内で、マイナス財産も承継することを限定承認といいます。例えば、相続人が、被相続人には、貯金や土地などのプラス財産があるのはいいが、借金などのマイナス財産もたくさんあるだろうと思った場合、単純承認をしてしまったら、万が一、借金の額が3億円で、貯金と土地の価値を合わせて5,000万円だったとしたら、相続人は、2億5,000万円については、返済する必要が生じてきます。

このような相続人のために、限定承認が有効になってきます。限定承認をすると、5,000万円のプラス財産の範囲内で、マイナス財産を引き継ぐ、つまり、5,000万円の借金しか引き継がないので、相続人は、返済する必要はありません。

また、被相続人の財産が、プラス財産5,000万円で、マイナス財産3,000万円だった場合には、差額の2,000万円を、相続人が承継することができます。

 

相続放棄とは

相続人が、被相続人の権利義務を一切承継しないことを相続放棄といいます。

 

相続の承認・放棄の仕方等

  • 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に単純承認、限定承認、相続放棄をする必要があります。

【補足】

  1. 3カ月という期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます
  2. 相続人が未成年者や成年被後見人である場合、これらの者の法定代理人が、未成年者、成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に承認、放棄をする必要があります。
  • 共同相続(相続人が複数人いる場合の相続)の場合、限定承認をするには、共同相続人の全員が共同で行う必要があります。なお、相続放棄をした者は、相続人ではないとみなされるので、共同相続人の全員から除かれます。
  • 限定承認をするには、その旨を家庭裁判所に申述する必要があります
  • 相続放棄をするには、その旨を家庭裁判所に申述する必要があります

【補足】

  1. 相続放棄は、あらかじめ、相続の開始前にすることができません
  2. 相続放棄をした者は、始めから相続人でなかったものとみなされます。
  3. 相続放棄をした者は、その放棄により相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続する必要があります。
  4. ある1人の相続人が相続放棄をした場合、その者の相続分は他の相続人のものになります。

相続の承認・放棄をした場合、しなかった場合

  • 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に限定承認、相続放棄をすることなく、3カ月が経過した場合、単純承認したものとみなされます

【補足】

  1. 限定承認や相続放棄をする前に、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、相続人は、単純承認したものとみなされます。ただし、保存行為(例えば、不法占有者に対する明渡し請求等)については、処分には該当しないため、単純承認したものとみなされません。
  2. 相続人が、限定承認又は相続放棄をした後に、相続財産の全部もしくは一部を隠匿したり、ひそかに消費したり、悪意で財産目録に記載しなかったりした場合、単純承認したものとみなされます。ただし、相続人が相続放棄をすることにより、新たに相続人となった者が相続の承認をした後に、このような行為を行ったとしても、単純承認したものとみなされません。

  • 相続の承認や放棄をすると、原則、撤回することができません。なお、詐欺や強迫により、相続の承認や放棄をした場合等には、その承認や放棄を取り消すことができます。この場合、家庭裁判所に申述する必要があります

【補足】

未成年者や成年被後見人が、法定代理人の同意を得ることなく、単独で、相続放棄をした場合においても、取り消すことができます。この場合も、家庭裁判所に申述する必要があります。

相続人の不存在

相続人が、存在しているのか、存在していないのかが明らかでないときや、相続人全員が相続放棄をすることになり相続人がいないものとなったときには、相続財産は、相続財産法人となり利害関係人等の請求により、家庭裁判所が選任した相続財産管理人が、管理していくことになります。

相続財産管理人は、相続財産を管理し、精算していき、相続人の捜索も行います。その捜索の公告後、一定期間が経過しても相続人がいないとなった場合には、被相続人の特別縁故者は、家庭裁判所に請求することにより、財産の全部又は一部を分与される場合があります。

特別縁故者に相続財産を分与しなかった場合や特別縁故者に相続財産の一部を分与した場合等、分与されなかった相続財産は、国庫に帰属することになります。なお、その財産が他の者との共有財産の持分である場合、国庫に帰属せず、その持分については、他の共有者に帰属することになります。

【補足】

  1. 相続財産の管理人を選任した場合、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告する必要があります。
  2. 特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者のことです。

遺言

例えば、Aは、自分が死亡した後、内縁の妻であるBに少しの財産を与えたいと思った場合、遺言をしておく必要があります。なぜなら、遺言がない場合、相続人ではないBは、Aの財産をもらうことができません。遺言は、遺言者が死亡した時から効力が生じることになります。

ただし、遺言に停止条件が付されていて、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時から効力が生じます。

遺言の能力

15歳になった者は、遺言をすることができ、未成年者であっても遺言をすることができます。被保佐人、被補助人については、保佐人や補助人の同意を得ることなく遺言をすることができます。

ただし、成年被後見人については、事理を弁識する能力が一時的に回復し、かつ、医師2人以上の立会いのもとでしか遺言をすることができません。

 

遺言の方式

遺言は、法律で定められている方式に従ってする必要があり、方式に従わない場合には、遺言の効力が生じません。

遺言は、1人が1つの証書によりする必要があり、夫婦であっても、その2人が1つの証書で遺言をしても、遺言の効力は生じません。

遺言の方式として、普通方式と特別方式があり、普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。

【補足】

  1. 自筆証書遺言は、遺言をしようとする者が、遺言の全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押す必要があります。

  2. 公正証書遺言は、遺言をしようとする者が、証人2人以上の立会いのもと、公証人に遺言内容を口頭で述べ、公証人が作成していくものです。

    また、公正証書遺言については、検認手続が不要となります。検認手続とは、家庭裁判所が、相続人の立会いのもと遺言書を開封し、内容等を確認させることです。

  3. 秘密証書遺言は、封印した遺言書を公証人、証人2人以上の前で提出し、遺言の内容を秘密にしておくものです。

遺言の撤回

  1. 遺言者は、いつでも、遺言の全部又は一部を撤回することができます。なお、遺言者は、遺言を撤回する権利を放棄することができません。
  2. 前の遺言と抵触する新しい遺言書を作成したり、前の遺言と抵触する行為をした場合には、前の遺言を撤回したものとみなされます
  3. 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされます。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、遺言を撤回したものとみなされます

【補足】

例えば、Aが、自己の建物をBにあげる旨の遺言書を作成したが、その後、Aが、生前にCに売却した場合、AがBに建物をあげる旨の遺言は撤回したものとみなされます。

遺贈

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することを遺贈といい、包括遺贈と特定遺贈があります。また、遺贈を受ける者を受遺者といいます。

1.包括遺贈

包括遺贈とは、遺産の全部又は一定の割合を指定してなされる遺贈のことです。例えば、遺産の全部をAに与えるとか、遺産の3分の1をAに与えるとかのように、具体的に、目的物を特定しません。包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することになります。

【補足】

  1. 包括受遺者は、自己のために包括遺贈があったことを知った時から3カ月以内に承認、放棄をする必要があります。

  2. 包括受遺者は、相続人でなくても、遺産分割協議に参加することができます。

  3. 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有しますが、相続人と全く同じかといえば、同じではありません。異なる点として、遺言者より早く受遺者が死亡していた場合、受遺者の子供は代襲相続人になることができません。また、遺留分もなく、法人でも包括受遺者になることができます。

2.特定遺贈

特定遺贈とは、遺言者の遺産のうち、財産を特定して行う遺贈のことです。例えば、株式はAに与え、土地はBに与え、建物はCに与えるとかのように、具体的に、目的物を特定していきます。

【補足】

特定受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、承認、放棄をすることができます。なお、遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができます。

この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなされます。

遺留分

遺留分とは、一定の相続人が、相続財産を最低限相続できるように定められている割合のことです。

例えば、被相続人が、遺言により、他人に全財産を与える旨の遺言を残していた。

そうすると、他人が全財産を取得することになると、被相続人の家族が、一切、財産を取得することができなくなります。そこで、一定の家族が、最低限の財産を相続できるようにしてあげようとするのが、民法に規定されている遺留分です。

遺留分権利者

被相続人の兄弟姉妹と兄弟姉妹の代襲相続人である甥や姪を除く相続人が、遺留分の権利を有することになります。兄弟姉妹や姪や甥については、遺留分の権利はありません。

【補足】

被相続人の子、子供の代襲相続人、直系尊属、配偶者が、遺留分の権利を有することになります。

遺留分の割合

1.相続人が直系尊属のみの場合、3分の1となります。

【補足】

例えば、被相続人には、父と母がおり、遺言により他人に全財産を与えた場合、相続財産の3分の1が、父と母のものになります。父と母は、均等に分け合うことになるので、相続財産の6分の1が、父のものとなり母のものとなります。

2.相続人が、1以外の場合、2分の1となります。

【補足】

  1. 例えば、被相続人には、配偶者Aと子供B・Cの2人がいる場合、相続財産の2分の1が、配偶者と子供2人のものになります。その2分の1を法定相続分に従って分けることになります。配偶者の法定相続分が2分の1なので、4分の1(2分の1×2分の1)が、Aのもので、子供1人の法定相続分が4分の1なので、8分の1(2分の1×4分の1)がB、8分の1(2分の1×4分の1)がCのものになります。
  2. 例えば、被相続人には、配偶者Aと父Bがいる場合、相続財産の2分の1が、配偶者と父のものになります。その2分の1を法定相続分に従って分けることになります。配偶者の法定相続分が3分の2なので、3分の1(2分の1×3分の2)が、Aのもので、父の法定相続分が3分の1なので6分の1(2分の1×3分の1)が、Bのものになります。

遺留分の放棄

遺留分は、相続開始前に、家庭裁判所の許可を受けることによって、放棄することができます。なお、ある1人の相続人が、遺留分を放棄したとしても、他の相続人の遺留分が増えることはありません。また、遺留分を放棄したとしても、相続人としての権利を失うわけではありません。

【補足】

相続開始後に遺留分を放棄する場合には、家庭裁判所の許可は不要となります。

遺留分減殺請求

遺留分を侵害した遺贈や贈与は、遺留分権利者が、遺留分減殺請求を行うことによって、遺留分を侵害している限度で、効力を失うのであって、遺留分減殺請求をしない限り、有効なものとなります。

遺留分減殺請求権を行使された受贈者(贈与を受けた者)や受遺者は、原則、贈与等により受け取った現物を返還する必要があります。

ただし、例外的に、現物の代わりに、価額を弁償することもできます。なお、遺留分減殺請求をする者から、価額弁償を求めることはできません。

【補足】

  1. 遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します。また、その事実を知らなかったとしても、相続開始の時から10年(除斥期間)を経過したときも消滅します。
  2. 遺留分減殺請求権の行使については、必ずしも、裁判上の請求による必要はなく、裁判外での意思表示をすればいいことになっています。

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また、穴埋め問題を解き終えた後は、一問一答を解きましょう。

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