債務不履行による損害賠償~民法徹底解説

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2019年度版宅建士試験教材

「民法の問題が難しい?」「民法を理解できない?」といった質問をよくお受けしています。

教材購入者の皆様からの要望をお受けし、宅建士試験で出題される可能性のある民法の条文等(このページでは、債務不履行による損害賠償)を出来る限り簡単に説明します。

宅建士試験の問題の中で一番難しいのは、民法の問題ですので、逆に、民法の問題で高得点を取ることができれば、合格に直結します。

民法の問題が苦手と思っている教材購入者の方は、是非、お読みください。

債務不履行による損害賠償~民法条文

~民法415条~

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

民法415条は、短い条文で、簡単そうに見えますが、迷わせる条文でした。

改正民法では、この条文も改正されます。

個人的には、「もっと整理することが出来たのでは!」と思っています。

債務不履行による損害賠償~民法解説

債務不履行には、「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の3つの型があります。

「履行遅滞」と「履行不能」の成立要件を暗記してくれていますか?

成立要件をまとめますので、是非、暗記してください。なお、金銭債務の特則(民法419条)につきましては、違うページで解説します。

履行遅滞
  1. 履行期に履行することが可能であること
  2. 履行期に履行しないこと
  3. 債務者に帰責事由があること
  4. 債務を履行しないことについて、違法であること
履行不能
  1. 履行期に履行が不能(債権成立後の不能)であること
  2. 債務者に帰責事由があること
  3. 債務を履行しないことについて、違法であること

履行遅滞解説

流れに従って簡単に解説します。

Aさんは、自分が住むために、Bさんから建物を購入する契約を締結したとします。

その2週間後、決済日が到来し、Aさんは、代金を支払いましたが、Bさんは、自分の都合で、建物を引き渡しませんでした。

その3ヵ月後、Aさんは、Bさんから、建物の引渡しを受けました。

引渡しを受けるまでの3ヵ月間、Aさんは、アパートを借りて暮らしていました。

この場合、Aさんは、Bさんに、損害賠償を請求することができるのでしょうか?

「Aさんが債権者?」「Aさんが債務者?」などを分かっていませんと整理することができませんので、解説します。

履行遅滞

  • 代金について
    代金を支払え!と言うことができるのは、Bさんですので、Bさんが、債権者です。
    代金を支払え!と言われるのは、Aさんですので、Aさんが、債務者です。
    例えば、Aさんが、代金を支払わなかったという場合には、金銭債務の特則の話が出てきます。
  • 建物について
    建物を引き渡せ!と言うことができるのは、Aさんですので、Aさんが、債権者です。
    建物を引き渡せ!と言われるのは、Bさんですので、Bさんが、債務者です。

  1. 履行期に履行することが可能であること
    建物が火災により燃えてしまった場合などであれば、履行することが不可能ですが、Bさんは、建物を引き渡すべき時期に、建物を引き渡すことができます。
    ですので、この要件は、クリアーです。
  2. 履行期に履行しないこと
    Bさんは、建物を引き渡す時期が到来してから3ヵ月後に建物を引き渡していますので、この要件は、クリアーです。
  3. 債務者の責めに帰すべき事由があること
    帰責事由とは、債務者(Bさん)の故意(わざと)、過失(不注意)又は信義則上、債務者の故意、過失と同視すべき事由のことですので、この要件は、クリアーです。
    なお、帰責事由の立証責任は債務者であるBさんにあります、例えば、不可抗力によって建物の引渡しが遅れたことをBさんが、立証すれば、この要件は、クリアーしないことになります。
  4. 債務を履行しないことについて、違法であること
    Bさんは、「Aさんからお金ももらっていないのに、なぜ、建物を引き渡さなければいけないのか!」と主張することがます。これが、同時履行の抗弁権です。
    Bさんの同時履行の抗弁権を奪わないと、この要件をクリアーしません。
    同時履行の抗弁権を奪うためには、Aさんは、Bさんに代金を支払っておく必要があります(詳しく言いますと、弁済の提供!)。
    ですので、この要件は、クリアーです。

上記の結果、履行遅滞が成立します。

Aさんは、損害発生の事実と損害額を立証することで、Bさんに、履行が遅れたことによる損害賠償(遅延賠償)を請求することができます。

※損害賠償額の予定の合意がある場合には、損害発生の事実と損害額を立証をする必要はありません。

※アパートを借りて暮らしたことによる賃料など、損害賠償の範囲については、違うページで解説します。

履行不能解説

流れに従って簡単に解説します。

Aさんは、Bさんから甲建物を購入する契約を締結したとします。

AB間の売買契約締結後に甲建物が火災により滅失しました。

 

甲建物が滅失しましたので、Bさんは、甲建物を引き渡すことが不可能です。ですので、履行遅滞の話ではなく、履行不能の話が出てきます。

  1. 履行期に履行が不能であること
    売買契約締結後の不能を意味します。
    不能には物理的不能のほか、法律的不能や社会的不能も含まれます。
    例えば、Bさんが、甲建物をCにも譲渡し、所有権移転登記をした場合、BさんのAさんに対する債務は、原則として、Cに対する所有権移転登記が完了した時に履行不能となります。
  2. 債務者に帰責事由があること
    例えば、債務者(Bさん)に帰責事由がなければ、危険負担の話が出てきます(債権主義)。
    例えば、債務者(Bさん)の責めに帰すべき事由により履行遅滞となった後に、地震など債務者(Bさん)の責めに帰することができない事由により履行不能となったときは、一定の場合を除き、Bさんは、債務不履行の責任を負うことになります。
  3. 債務を履行しないことについて、違法であること
    履行遅滞と同じです。

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