税法等過去問題【23年宅建士試験】

■□問題にチャレンジ■□

民法の代理の勉強を終えた方は、代理の問題にチャレンジしてください。基本論点から出題していますので、必ず、押さえてください。

≫問題ページはこちらから

平成23年に実施された宅建士試験【税その他】の問題及び解説です。過去問を分析し、宅建士試験の傾向を把握することが重要です。なお、問題48の統計問題については、毎年、数値が異なるため掲載していません。

問題23 印紙税

印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 当初作成した土地の賃貸借契約書において記載がされていなかった「契約期間」を補充するために「契約期間は10年とする」旨が記載された覚書を作成したが、当該覚書にも印紙税が課される。

  1. 本契約書を後日作成することを文書上で明らかにした、土地を8,000万円で譲渡することを証した仮契約書には、印紙税は課されない。

  1. 「甲土地を6,000万円、乙建物を3,500万円、丙建物を1,500万円で譲渡する」旨を記載した契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。

  1. 「Aの所有する土地(価額7,000万円)とBの所有する土地(価額1億円)とを交換し、AはBに差額3,000万円支払う」旨を記載した土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、3,000万円である。

【解答・解説】 

1.

印紙税法、別表第一、通課税物件表の適用に関する通則5において、「印紙税の課税対象となる契約書とは、契約証書、協定書、約定書その他名称のいかんを問わず、契約(その予約を含む。)の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実を証すべき文書をいう。」と規定されています。

よって、契約期間を補充するための覚書も、印紙税の課税対象となる契約書に該当し、印紙税が課されるので、本問は、正しいです。

2.×

上記1の問題と同じく、仮契約書も印紙税の課税対象となる契約書に該当し、印紙税が課されるので、本問は、誤りです。

3.×

印紙税法、別表第一、通課税物件表の適用に関する通則4において、「一の文書に二以上の記載金額があり、かつ、これらの金額が同一の号に該当する文書(本問では、不動産の譲渡契約=1号)により証されるべき事項に係るものである場合には、これらの金額の合計額を当該文書の記載金額とする。」と規定されています。

よって、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、1億1千万円(甲土地、乙建物、丙建物を加算した金額)となるので、本問は、誤りです。

4.×

交換契約書に交換対象物の双方の価額が記載されている場合、いずれか高い方(等価交換の場合には、いずれか一方)の金額が記載金額となります。

本問では、Aの土地の価額とBの土地の価額が記載されているので、1億円(1億円>7,000万円)が記載金額となります。

よって、本問は、誤りです。

 

正解番号:

問題24 固定資産税

固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 固定資産税の納税者は、減免申請に対する不許可処分の不服申立てに対して固定資産評価審査委員会が行った却下決定に不服があるときは、その取消しの訴えを提起することができる。

  1. 市町村長は、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地に調査させなければならない。

  1. 家屋について賃借権を有する者は、固定資産課税台帳のうち当該権利の目的である家屋の敷地である土地について記載された部分を閲覧することができる。

  1. 市町村は、独立行政法人に対しては、固定資産税を課することができない。

【解答・解説】 

1.×

地方税法432条1項において、「固定資産税の納税者は、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。」と規定されており、固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合に審査の申出をすることができます。

また、地方税法434条1項において、「固定資産税の納税者は、固定資産評価審査委員会の決定に不服があるときは、その取消しの訴えを提起することができる。」と規定されています。

本問は、減免申請に対する不許可処分について、審査の申出をすることができず、誤りです。

2.×

地方税法408条において、「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。」と規定されています。

よって、本問の「不動産鑑定士又は不動産鑑定士補」の記述が誤りです。

3.

地方税法382条の2、同法施行令52条の14において、「家屋について賃借権を有する者は、固定資産課税台帳のうち当該権利の目的である家屋の敷地である土地について記載された部分を閲覧することができる。」と規定されています。

よって、本問は、正しいです。

4.×

市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区などに対しては、固定資産税を課することができません。

しかし、独立行政法人については、固定資産税が課されない独立行政法人が限定されています。

固定資産税が課されないのは、一定の独立行政法人に限定されているので、「独立行政法人に対しては、固定資産税を課することができない。」とはいえず、本問は、誤りです。

 

正解番号:

問題25 地価公示法

地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 公示区域とは、土地鑑定委員会が都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内において定める区域である。

  1. 土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならない。

  1. 土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行わなければならない。

  1. 土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、当該価格については官報で公示する必要があるが、標準地及びその周辺の土地の利用の現況については官報で公示しなくてもよい。

【解答・解説】 

1.×

地価公示法2条1項によれば、公示区域とは、都市計画法4条2項に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(国土利用計画法12条1項の規定により指定された規制区域を除きます。)のことです。

また、地価公示法施行規則1条1項において、「公示区域は、国土交通大臣が定める。」と規定されています。

よって、本問では、「土地鑑定委員会が定める。」の記述が誤りであり、また、「都市計画区域内」に限定されるものではないので、この観点からも、誤りです。

2.

地価公示法9条において、「土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならない。」と規定されています。

よって、本問は、正しいです。

3.×

地価公示法1条の2において、「都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行なう者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行なうよう努めなければならない。」と規定されています。

よって、「行なうよう努めなければならない」という努力義務であり、「行わなければならない」のではないので、本問は、誤りです。

4.×

地価公示法6条2号、4号において、「土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、当該価格及び標準地及びその周辺の土地の利用の現況などについては官報で公示しなければならない。」と規定されています。

よって、本問は、誤りです。

 

正解番号:

問題46 独立行政法人住宅金融支援機構

独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。

  1. 機構は、バリアフリー性、省エネルギー性、耐震性、耐久性・可変性に優れた住宅において、優良住宅取得支援制度を設けている。

  1. 機構は、証券化支援事業(保証型)において、高齢者が自ら居住する住宅に対してバリアフリー工事又は耐震改修工事を行う場合に、債務者本人の死亡時に一括して借入金の元金を返済する制度を設けている。

  1. 機構は、証券化支援事業(買取型)において、民間金融機関が貸付ける長期・固定金利の住宅ローン債権を買取りの対象としている。

  1. 機構は、経済情勢の著しい変動に伴い、住宅ローンの元利金の支払いが著しく困難となった場合に、償還期間の延長等の貸付条件の変更を行っている。

【解答・解説】 

1.

機構は、バリアフリー性、省エネルギー性、耐震性、耐久性・可変性に優れた住宅において、優良住宅取得支援制度を設けています。

いわゆる、フラット35sと称されています。

よって、本問は、正しいです。

2.×

業務方法書24条4項によれば、「機構は,下記のa~cに掲げる貸付金の償還については、高齢者の死亡時に一括償還をする方法によることができます」

  1. 高齢者が自ら居住する住宅とするために行う合理的土地利用建築物の住宅部分の建設又は購入に係る貸付金
  2. 高齢者が自ら居住する住宅について行う改良(バリアフリー工事または耐震改修工事)に係る貸付金
  3. マンションの共用部分の改良(高齢者が自ら居住するものに限る)に係る貸付金

    よって、証券化支援事業では、この制度を利用できないので、本問は、誤りです。

3.

機構は、証券化支援事業(買取型)において、民間金融機関が貸付ける長期・固定金利の住宅ローン債権を買取りの対象としています。

よって、本問は、正しいです。

4.

業務方法書26条によれば、「機構は、経済情勢の著しい変動に伴い、住宅ローンの元利金の支払いが著しく困難となった場合に、貸付条件の変更及び延滞元利金の支払方法の変更をすることができる。」とされています。

よって、本問は、正しいです。

 

正解番号:

問題47 景表法

宅地建物取引業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 分譲宅地(50区画)の販売広告を新聞折込チラシに掲載する場合、広告スペースの関係ですべての区画の価格を表示することが困難なときは、1区画当たりの最低価格、最高価格及び最多価格帯並びにその価格帯に属する販売区画数を表示すれば足りる。

  1. 新築分譲マンションの販売において、モデル・ルームは、不当景品類及び不当表示防止法の規制対象となる「表示」には当たらないため、実際の居室には付属しない豪華な設備や家具等を設置した場合であっても、当該家具等は実際の居室には付属しない旨を明示する必要はない。

  1. 建売住宅の販売広告において、実際に当該物件から最寄駅まで歩いたときの所要時間が15分であれば、物件から最寄駅までの道路距離にかかわらず、広告中に「最寄駅まで徒歩15分」と表示することができる。

  1. 分譲住宅の販売広告において、当該物件周辺の地元住民が鉄道会社に駅の新設を要請している事実が報道されていれば、広告中に地元住民が要請している新設予定時期を明示して、新駅として表示することができる。

【解答・解説】 

1.

不動産の表示に関する公正競争規約施行規則10条の(35)、(36)において、「土地の価格については、原則、1区画当たりの価格を表示する必要があります。

しかし、すべての区画の価格を表示することが困難であるときは、分譲宅地の価格については、1区画当たりの最低価格、最高価格及び最多価格帯並びにその価格帯に属する販売区画数を表示すればよいです。

この場合において、販売区画数が10未満であるときは、最多価格帯の表示を省略することができる。」と規定されています。

本問では、すべての区画の価格を表示することが困難で、販売区画数が10以上なので、1区画当たりの最低価格、最高価格及び最多価格帯並びにその価格帯に属する販売区画数を表示すれば足ります。

よって、本問は、正しいです。

2.×

不動産の表示に関する公正競争規約4条5項1号、23条32号において、「不当景品類及び不当表示防止法の規制対象となるには、物件自体による表示に限定されるのではなく、モデル・ルームその他これらに類似する物による表示も含まれる。」と規定されています。

そして、不動産の表示に関する公正競争規約23条32号において、「建物に付属する設備について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。」と規定されています。

よって、モデル・ルームは、不当景品類及び不当表示防止法の規制対象となる「表示」に該当することになり、実際の居室には付属しない豪華な設備や家具等を設置した場合、当該家具等は実際の居室には付属しない旨を明示する必要があります。

よって、本問は、誤りです。

3.×

不動産の表示に関する公正競争規約施行規則10条の(10)において、「徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示しなければならない。」と規定されています。

よって、本問は、「物件から最寄駅までの道路距離にかかわらず」の記述が誤りです。

4.×

不動産の表示に関する公正競争規約施行規則10条の(5)において、「新設予定の鉄道、都市モノレールの駅若しくは路面電車の停留場又はバスの停留所は、当該路線の運行主体が公表したものに限り、その新設予定時期を明示して表示することができる。」と規定されています。

よって、本問は、運行主体が公表したものでないので、誤りです。

 

正解番号:

問題49 土地

土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 住宅地としての立地条件として最も基本的な条件は、地形、地盤に関することである。

  1. 山麓部の利用に当たっては、背後の地形、地質、地盤について十分吟味する必要がある。

  1. 低地は一般に津波や地震などに対して弱く、防災的見地からは住宅地として好ましくない。

  1. 埋立地は一般に海面に対して数mの比高を持ち、干拓地より災害に対して危険である。

【解答・解説】 

1.不適当ではない。

住宅地としての立地条件として最も基本的な条件は、地形、地盤に関することであるといえます。

よって、本問は、不適当ではありません。

2.不適当ではない。

がけ崩れ等の恐れがある山麓部の利用に当たっては、背後の地形、地質、地盤について十分吟味する必要があるといえます。

よって、本問は、不適当ではありません。

3.不適当ではない。

低地は、津波や地震などに対して弱いといえるので、防災的見地からは住宅地として好ましいといえません。

よって、本問は、不適当ではありません。

4.不適当です。

埋立地は一般に海面に対して数メートルの比高を持つので、海面よりも低くなる干拓地の方が災害に対して危険であるといえます。

よって。本問は、不適当であるといえます。

 

正解番号:

問題50 建物

建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ラーメン構造は、柱とはりを組み合わせた直方体で構成する骨組である。

  1. トラス式構造は、細長い部材を三角形に組み合わせた構成の構造である。

  1. アーチ式構造は、スポーツ施設のような大空間を構成するには適していない構造である。

  1. 壁式構造は、柱とはりではなく、壁板により構成する構造である。

【解答・解説】 

1.不適当ではない

ラーメン構造は、柱とはりを組み合わせた直方体で構成する骨組であるので、本問は、不適当ではありません。

2.不適当ではない。

トラス式構造は、細長い部材を三角形に組み合わせた構成の構造であるので、本問は、不適当ではありません。

3.不適当です。

アーチ式構造は、骨組を円弧状に組んでいく構造のことで、スポーツ施設のような大空間を構成するのに適した構造といえます。

よって、本問は、不適当です。

4.不適当ではない。

壁式構造は、柱とはりではなく、壁板により構成する構造であるので、本問は、不適当ではありません。

 

正解番号:

お問い合わせ

宅建士合格広場から販売している教材に関するお問い合わせは、こちらからお願い致します。    

≫お問い合わせフォームでのお問い合わせ・ご相談

お問い合わせページへ

≫販売教材に関するよくある質問を掲載しております。

よくある質問ページへ