このページに掲載している問題と解説は、宅建士合格広場HPの教材購入者専用ページ内にある確認問題から出題しています。
今回は、民法の不動産物権変動(取消後の第三者)の問題となっています。
不動産物権変動(取消後の第三者)の問題
次の記述は、民法の規定及び判例によれば、正しいですか?それとも、誤っていますか?
A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された。AがBにだまされたとして詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した後、Bが甲土地をAに返還せずにCに転売してCが所有権移転登記を備えても、AはCから甲土地を取り戻すことができる。
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解答:誤り
取消し後に現れた第三者(C)との関係については、登記を先に備えた方が優先されます。
つまり、CがAよりも先に所有権移転登記を備えていれば、Aは、Cから甲土地を取り戻すことができません。
【補足】
取り消した後に登場した第三者との関係について、具体的に見ていきます。
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Aが、Bの詐欺によって、自己所有の甲土地をBに売却し、登記もしました。
※この時点で、甲土地については、B名義の登記がなされています。
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その後、
Aは、詐欺を理由に、Bとの売買契約を取り消しました。
取り消しましたので、
Aは、B名義から自分の名義に戻すことができますが、戻していません。
つまり、登記ができるのに放置したままです。
※登記を放置した結果、甲土地については、B名義のままとなっています。
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その後、
Bは、Cに対して、甲土地を売却しました。
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この場合、
甲土地は、Aのものとなるのか?
それとも、
甲土地は、Cのものとなるのか?
ここが、問題となってきます。
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結論から言いますと、
第三者Cは、取消後に登場していますので、
AとCは対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が、甲土地の所有権を主張することができます。(善意とか悪意とかは関係ありません)
例えば、Aの方が先に登記を備えたのであれば、甲土地は、Aのものとなります。
例えば、Cの方が先に登記を備えたのであれば、甲土地は、Cのものとなります。
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上記の結論に至った理由を見ていきます。(参考程度!)
基本的な考え方から見ていきますが、
Aは、Bとの契約を取り消しました。
取り消したということであれば、
そもそも、A・B間の契約は最初からなかったことになります。
なかったことになりますので、
Bは、甲土地について何ら権利がありません。言い方を変えますと、Bは無権利者となります。
Bが無権利者ですので、
そのBから甲土地を譲り受けたCもまた無権利者となります。(登記には公信力がない!)
その結果、
本来であれば、登記があるかどうかに関係なく、甲土地は、Aのものとなるはずです。
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しかし、
Aが契約を取り消して、ちゃんと、B名義から自分名義に戻していたのなら、
Cは、Bから、A名義となっている甲土地を購入しませんよね(Aから購入すればよいのですから・・・)。
また、
「基本的な考え方(甲土地はAのもの)」と「登記を先に備えた方が勝つという結論」が異なりますので、
Aが文句を言いそうですが、ちゃんと、B名義から自分名義に戻していないAは、何も文句を言えませんよね(登記を放置したAの自業自得ですから・・・)。
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そこで、
上記の結論のとおり、
登記を先に備えた方が甲土地の所有権を主張することができます。(不公平にならないように登記で勝負!)
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