借地権テキスト

2020年宅建士試験教材

令和2年宅建士試験独学合格

この項目は、土地の賃貸借について、借地借家法上の規定を見ていきます。

民法で定められている賃貸借契約は、土地の賃貸借に限定されることなく、動産も含まれての規定となっています。よって、土地の賃貸借について、規定の全部を適用させると、借主にとって不利な部分が生じてきます。

そこで、その不利な部分を修正するための意味として、借地借家法の規定があります。

なお、ある規定について、民法と借地借家法の両法律が規定されている場合、借地借家法の規定を適用することになります。また、ある規定について、民法のみに規定されている場合、そのまま、民法の規定が適用されることになります。借主にとって不利な特約は、原則、無効となります。

借地権とは

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権のことです。

【補足】

  1. 例えば、A所有の土地について、Bが、建物を建てる目的で、地上権設定契約又は賃貸借契約を締結した場合、借地借家法の規定が適用されることになり、Aを借地権設定者、Bを借地権者といい、地上権又は土地の賃借権のことを借地権といいます。

  2. 建物の所有を目的とするものであれば、事業用でも居住用でも、借地借家法の規定が適用されます。しかし、材料を置くために土地を借りるなど、建物の所有を目的としないものについては、借地借家法の規定は適用されません。

  3. また、無償で土地を借りる使用借権には、借地借家法の規定は適用されません。

借地権の存続期間と更新について

当初の存続期間

借地権の当初の存続期間は、建物の種類に関係なく、最低でも30年となります。例えば、当事者間で、存続期間を20年と定めた場合、自動的に30年となり、当事者間で40年と定めた場合、40年となります。

【補足】

民法上の賃借権の存続期間は、50年が上限となります。また、民法上の地上権については、期間の制限はありません。

しかし、借地借家法上の借地権の当初の存続期間は最低でも30年となります。なお、借地権の存続期間を定めず、建物の所有を目的として土地を借りた場合、存続期間は、30年となります。

更新の方法

借地権の存続期間が満了した場合、契約が終了することになります。しかし、次の方法により、契約を更新することができます。

  1. 借地権者と借地権設定者との間の合意により、契約を更新することができます。合意により契約が更新された場合、初めて、更新された後の存続期間は、最低でも20年となります。

    例えば、当事者間で、最初の更新後の存続期間を10年と定めた場合、借地権の存続期間は、自動的に20年となります。また、当事者間で、これより長い期間を定めたときはその期間となるので、40年と定めた場合、借地権の存続期間は、40年となります。

    また、2回目以降の更新後の借地権の存続期間は、最低でも10年となります。

  2. 借地権の存続期間が満了する際に、借地権者が、契約の更新を請求したときは、借りている土地上に建物がある場合に限り、当事者間の合意がなくても、従前の契約と同一の条件(存続期間は除く)で契約を更新したものとみなします。

    ただし、借地権設定者が、遅滞なく、正当事由のある異議を述べたときは、借地権者からの更新請求を拒絶することができ、契約は更新されません。

  3. 借地権の存続期間が満了した後も、借地権者が、継続してその土地を使用しているときも、建物がある場合に限り、当事者間の合意がなくても、従前の契約と同一の条件(存続期間は除く)で契約を更新したものとみなします。ただし、借地権設定者が、遅滞なく、正当事由のある異議を述べたときは、契約は更新されたものとみなされません。

【補足】

  1. 例えば、A所有の土地について、Bが、建物を建てる目的で、土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年としました。

    Bは、Aから借りた借地上に建物を建て、その建物で居住していました。その後、30年が経ち、Bは、その建物で引き続き居住したいので、契約の更新請求をしました。

    この場合、その借地上に建物があるので、借地権の存続期間を除く従前の条件で、契約が更新したとみなされます。Aが、契約が更新されることに反対する場合、Aは、正当事由のある異議を述べる必要があります。正当事由がなければ、契約は更新されたものとみなされます。

  2. 正当事由の有無を判断するための要素として、

    ・借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む)が、土地の使用を必要とする事情(どちらがその土地を必要としているか)

    ・借地に関する従前の経過(例えば、借地権者が、借賃を延滞しているかなど)

    ・土地の利用状況(例えば、借地上の建物の用途など)

    ・借地権設定者が行う借地権者(転借地権者を含む)に対する財産上の給付の申出(例えば、立ち退き料の有無など)などを総合的に考慮していき、正当事由があるかないかを判断していきます。

  3. 例えば、A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年としました。借地権の存続期間である30年が経過した後も、Bは、その建物に居住し続けました。つまり、借地権の存続期間の満了後も、A所有の土地を継続して使用していた場合、契約が更新したものとみなします。ただし、借地権設定者が、遅滞なく、正当事由のある異議を述べたときは、契約は更新されたものとみなされません。

借地上の建物が滅失した場合

A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年とした。その契約を締結してから28年後に、その建物が滅失した場合においても、借地権の存続期間が満了するまで借地権は消滅しません。

そこで、居住する建物が滅失してしまったBは、建物を再築しようとします。しかし、後2年で借地権の存続期間が満了するので、Bは、「建物を再築しても、すぐに、その建物を取り壊す必要があるのではないだろうか」と思うでしょう。

契約が更新されるとこの問題は解決することができるのですが、契約が更新されない場合、借地権の存続期間はどうなるのか?という問題について見ていきます。

当初の存続期間中に建物が滅失した場合

借地権の当初の存続期間の満了する前に建物の滅失(借地権者や転借地権者による建物の取壊しを含む)があったので、借地権者や転借地権者が、借地権設定者の承諾を得て、借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を再築したときには、借地権は、承諾があった日又は建物の再築日のいずれか早い日から20年の間、存続することになります。

ただし、借地権の残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間となります。

また、借地権者が、借地権設定者に対して、借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を再築する旨を通知した場合、借地権設定者が、その通知後、2カ月以内に異議を述べなかったときは、建物の再築について借地権設定者の承諾があったものとみなされます。

【補足】

  1. 例えば、A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年とした。契約日から20年目に建物が滅失したので、Bは、借地権の残存期間(10年)を超えて存続すべき建物を再築しようとした。その再築について、借地権設定者Aの承諾がある場合や借地権者Bが再築する旨をAに通知し、Aが、その通知後2カ月以内に異議を述べなかった場合には、借地権は、承諾があった日又は建物の再築日のいずれか早い日から20年の間、存続することになります。
  2. 例えば、A所有の土地について、Bが、自己居住用の建物を建てる目的で、その土地を借りる契約を締結し、借地権の存続期間を30年とした。契約日から2年目に建物が滅失したので、Bが、借地権の残存期間(28年)を超えて存続すべき建物を再築しようとした。Aの承諾を得た場合、承諾等の日から20年間、借地権は、存続することになりますが、借地権の残存期間(28年)の方が長いので、借地権は、28年間、存続することになります。

  3. 借地権設定者の承諾を得ていない場合、借地権者が通知をしなかった場合、借地権者が通知をしたが借地権設定者が異議を述べた場合においても、借地権者は、建物を再築することができますが、借地権は、更新がされない限り、元々の存続期間となります。

更新された後の存続期間中に建物が滅失した場合

  1. 更新された後の存続期間中に建物の滅失があり、借地権者が建物を再築することについて、借地権設定者の承諾があるときは、上記の「当初の存続期間中に建物が滅失した場合」と同様に存続期間の延長が認められます。
  2. 更新された後の存続期間中に建物の滅失があり、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を再築することについて、やむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の再築を承諾しないとき(借地権設定者が地上権の消滅請求又は土地の賃貸借契約の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除く)は、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。

    【補足】

    1. 上記2の規定は、当初の存続期間中に建物が滅失した場合には、適用されません。

    2. また、裁判をするにあたって、裁判所は、建物の状況、建物の滅失があった場合には滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む)が土地の使用を必要とする事情その他一切の事情を考慮する必要があります。

  3. 借地権設定者の承諾や裁判所の借地権設定者の承諾に代わる許可なく、借地権者が、残存期間を超えて存続すべき建物を再築した場合、借地権設定者は、地上権の消滅請求又は土地賃貸借契約の解約申し入れをすることができます。解約の申入れをした場合、地上権の消滅請求又は解約の申入れの日から3カ月経過すれば、借地権は消滅します。

    【補足】

    1. 借地権設定者は、無断で建物を再築した借地権者に対して、借地権を消滅させることができます。

    2. この規定は、更新後借地権の存続期間中の場合であり、当初の存続期間中に、建物が滅失しても、その滅失を理由に、借地権設定者は、解約の申入れ等をすることができません

  4. 更新された後の存続期間中に建物が滅失した場合、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約を申し入れることができます。なお、この場合も、申入れ等の日から3カ月経過すれば、借地権は消滅します。

【補足】

  1. 借地権設定者の承諾や裁判所の借地権設定者の承諾に代わる許可を得なければ、借地権者は、建物を再築することができません。しかし、建物を再築することができなくても、借地権者は、借地権設定者の土地を借りているので、借賃を支払い続ける必要があります。このような借地権者のために、借地権者側からも、借地権を消滅させることができます。

  2. 契約更新後の存続期間中に建物が滅失した場合、借地権者は、建物を再築するか、借地権を消滅させるかを選択することができます。

借地権の対抗要件

Aは自己所有の土地について、建物の所有を目的としたBと借地契約を締結した。その後、Bは、その土地上に建物を建築し、居住していたが、その後、Aが、その土地をCに譲渡した。

対抗要件を備えていないBは、その土地の所有者となったCから「その土地を明渡せ」と言われると、その土地を明渡す必要が生じてきます。土地を明渡すということは、Bは、自分が建築した建物にも居住することができなくなるということになります。そうならないためにも、Bは、対抗要件を備える必要があります。

借地上の建物の登記

借地権者が、借地上に自己名義の登記(自己名義の表示の登記も含む)がある建物を所有している場合、借地権を第三者に対抗することができます。

【補足】

  1. 民法の規定によれば、地上権や土地の賃借権に登記があれば、借地権設定者以外の第三者に対抗できます。

    ただし、この規定では、少し問題が生じてきます。地上権の場合、地主は、登記に協力する義務があるので、登記をすることにより、第三者に対抗できます。しかし、賃借権の場合、地主は、債権である土地の賃借権について、登記に協力する義務がないのです。

    登記に協力する義務のない地主は、価値低下の防止のため、高い確率で登記に協力しません。よって、登記をすることができなくなり、第三者に対抗することができなくなります。

    そこで、借主を保護するために、借地借家法の規定では、借地権者自身の所有物である建物に登記をしておけば、第三者に対抗することができるのです。自分の建物なので、借地権設定者の協力は不要となります。

    よって、借地権自体に登記があれば、第三者に対抗できますが、借地権自体に登記がなくても、借地上の建物に登記があれば第三者に対抗することができます。

  2. 借地権者が、土地を借りて、建物を新築した場合、借地権者は、表示の登記(その建物の構造などを記載)をする必要があります。これは、義務です。表示の登記をして、所有権保存登記(誰が所有者として権利をもっているかなどを記載)をしていきます。これは、義務ではありません。詳しくは、「不動産登記法」の項目に記載しています。第三者に対抗するための登記については、表示に関する登記だけでも、第三者に対抗することができます。

  3. 建物の登記については、自己名義でない限り、第三者に対抗することができません。よって、配偶者や子供名義の登記では、第三者に対抗することができません。

  4. 建物の登記上の所在地番の表示が、錯誤又は遺漏により実際のものと多少相違していても、建物の同一性が種類、構造、床面積等によって認識できる程度の軽微な相違であれば、その登記によって、第三者に対抗することができます。

  5. 例えば、土地の賃借権の登記がない借地権者が、借地権設定者から借りている土地の上に、甲建物と乙建物を所有しており、甲建物については、自己名義の所有権保存登記をしており、乙建物については、登記をしていなかった。この場合、その土地全体についての借地権を第三者に対抗することができます。

この続きは、

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理解が不要な論点については深入りしてはいけません。なお、理解すべき論点については、テキスト完成版、復習まとめ集ポイント解説、動画解説などで解説しています。

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