所有権の取得時効~民法徹底解説

【2019年度解答速報】

問1

問11 問21 問31 問41

問2

問12 問22 問32 問42

問3

問13 問23 問33 問43

問4

問14 問24 問34 問44

問5

問15 問25 問35 問45

問6

問16 問26 問36 問46

問7

問17 問27 問37 問47

問8

問18 問28 問38 問48

問9

問19 問29 問39 問49

問10

問20 問30 問40 問50

「民法の問題が難しい?」「民法を理解できない?」といった質問をよくお受けしています。

教材購入者の皆様からの要望をお受けし、宅建士試験で出題される可能性のある民法の条文等(このページでは、所有権の取得時効)を出来る限り簡単に説明します。

宅建士試験の問題の中で一番難しいのは、民法の問題ですので、逆に、民法の問題で高得点を取ることができれば、合格に直結します。

民法の問題が苦手と思っている教材購入者の方は、是非、お読みください。

所有権の取得時効~民法条文

~民法162条~

  1. 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
  2. 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

~民法181条~

占有権は、代理人によって取得することができる。

~民法185条~

権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

~民法186条1項~

占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

~民法187条~

  1. 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
  2. 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。

上記の条文等及び判例を使い、所有権の取得時効を解説します。

なお、このページでは、全てを紹介していませんので、復習まとめ集や問題集等を完璧にしてください。

所有権の取得時効~民法解説

所有権の取得時効の要件は、次のとおりです。

  1. 所有の意思がある占有(自主占有)であること
  2. 平穏かつ公然な占有であること
  3. 他人の物の占有であること
  4. 一定期間占有していること
    占有開始時に善意無過失の場合:一定期間=10年
    上記以外の場合:一定期間=20年

本試験で特に重要な部分は、上記1と4ですので、そこを中心に解説します。

【パターン1】

流れに従って簡単に解説します。

Aは、Bから甲土地を購入し、平穏かつ公然に占有しています。しかし、甲土地は、Cのものでした。

Aは、売買により、甲土地を取得し、占有していますので、上記要件の「所有の意思」があることになります。

※所有の意思があるか否かは、占有者の内心の意思によってではなく、占有取得の原因である権原又は占有に関する事情により外形的客観的に定められます。
簡単に言いますと、売買契約や贈与契約などの場合、買主等(本問のA)は、当然、甲土地を自分のものとして占有しますよね。だから、「所有の意思がある占有(自主占有)」に該当することになります。

※民法186条によれば、「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。」となっています、つまり、自主占有は、推定されていますので、取得時効の成立を否定するCが、他主占有である!と立証しなければなりません。

  • 占有開始時にAが善意無過失の場合、10年間占有し続けますと、甲土地は、Aのものになります。
  • 占有開始時にAが善意無過失でない場合、20年間占有し続けますと、甲土地は、Aのものになります。

※民法186条によれば、「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。」となっていますので、無過失まで推定されていないことになります。よって、取得時効を主張するAが、無過失であることを立証しなければなりません。

【パターン2】

流れに従って簡単に解説します。

Aは、Bから甲建物を借り、占有しています。

賃借人Aは、甲建物を自分のものではなく、Bのものとして占有しています、つまり、自主占有ではなく、他主占有(所有の意思のない占有)となります。

よって、甲建物は、Aのものになりません。

例えば、皆さんの中にも、マンションの一室を借りて住んでいる人もいるとは思いますが、そのマンションで10年間又は20年間住んでいたからといって、自分のものにはなりませんよね。

【パターン3】

流れに従って簡単に解説します。

Aは、Bから甲土地を借り、占有しています。

賃借人Aによる占有は、他主占有(所有の意思のない占有)に該当しますので、時効により甲土地を取得できません。

では、賃借人Aが死亡し、相続人Cが、その占有を引き継いだ場合、Cは、時効により甲土地を取得することができるのでしょうか?

民法185条では、占有の性質が、他主占有から自主占有に変更する場合として、「占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示すること」と「新たな権原(新権源=売買・交換など)により更に所有の意思をもって占有を始めること(例えば、賃借人が賃借物を買い取った場合、他主占有から自主占有に変更します。)」の2つがあると規定されています。

では、相続は、上記の「新権原」になるのか?それとも、ならないのか?が問題となってきます。

新権原になる場合→自主占有に該当→取得時効が成立する可能性があります。

新権原にならない場合→他主占有に該当→取得時効が成立しません。

判例によれば、「相続人(C)が、被相続人(A)の占有を相続により承継しただけでなく、新たに不動産を事実上支配することによって占有を開始し、相続人の占有に所有の意思があると認められるときは、相続人は民法185条にいう「新権原」により所有の意思をもって占有を始めたものというべきである。」となっています。
なお、他主占有者(A)の相続人(C)が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合、Cが、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を証明しなければなりません。

簡単に言いますと、相続も「新権原」になりうることになり、相続人Cは、取得時効を主張できる可能性があります。

【パターン4】

流れに従って簡単に解説します。

Aは、B所有の甲土地を、所有の意思をもって、平穏かつ公然に占有しています。

Aは、一定期間占有していましたが、その後、甲土地をCに賃貸し、Cが占有しました。

この場合、Cは、取得時効を主張できるのでしょうか?

Cは、賃借人ですので、他主占有となり、取得時効を主張できません。

では、Aは、取得時効を主張できるのでしょうか?

民法181条は、代理占有について規定されています。代理占有のときでも、本人に占有権が認められます。

簡単に説明しますと、Cの占有(代理占有)が、Aの占有(自主占有)に該当することになります。

※なお、代理占有の要件については、違うページで解説します。

よって、Aの占有期間とCの占有期間を合算して、10年又は20年であれば、Aは、取得時効を主張できます。

【パターン5】

流れに従って簡単に解説します。

Aは、B所有の甲土地を、所有の意思をもって、平穏かつ公然に3年間占有しています。

その後、Aは、Cに甲土地を譲渡しました。

Cは、占有開始時に、「甲土地はAのものではない!」と過失なく知りませんでした。

この場合、善意無過失であるCは、10年間、占有し続けないと、取得時効を主張できないのでしょうか?

民法187条では、以下のように規定され、占有承継人(C)は自己の占有のみを主張することもできますし、前主(A)の占有を合算して主張することもできます。

  1. 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
  2. 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。

※承継人とは、特定承継人だけでなく、包括承継人(相続人など)も含みます。

例えば、Cが、前の占有者Aの占有期間を合算する方法を選ぶ場合、上記2(民法187条2項)の規定(その瑕疵をも承継する。)が適用されます。

具体的には、

  • 前の占有者Aが占有開始時に悪意・有過失の場合、たとえ、Cが占有開始時に善意無過失であっても、ACの占有期間を合算して20年間が必要となります。
  • 前の占有者Aが占有開始時に善意無過失の場合、たとえ、Cが占有開始時に悪意・有過失であっても、ACの占有期間を合算して10年間で足ります。

結論ですが、

  1. Aが占有開始時に悪意・有過失の場合、Aの占有期間は、3年ですので、Cは、17年間占有し続ける必要があります。
    これに対し、Cが前の占有者Aの占有期間を合算しない方法を選ぶ場合、Cは、10年間の占有で、取得時効を主張できます。
  2. Aが占有開始時に善意無過失の場合、Aの占有期間は、3年ですので、Cは、7年間の占有で、取得時効を主張できます。
    これに対し、Cが前の占有者Aの占有期間を合算しない方法を選ぶ場合、Cは、10年間占有し続ける必要があります。

問題にチャレンジ

上記で様々な条文や判例を解説してきましたが、一回、読むだけでは、頭に入ってきません。

ですので、復習まとめ集に掲載している条文や判例をINPUTしてから、問題集の問題を解いてください。

そして、再度、このページに戻って頂ければ、理解が深まり、知識が定着します。

また、問題集以外にも、捨て問対策ページにも、問題を出題していますので、本試験までには、解いてください。

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【教材購入者の方へ】

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