令和7年(2025年)問7【宅建士過去問】

令和7年(2025年)10月に実施されました宅建士試験の問7の問題と解答・解説です。

問7(問題)

Aは自己の所有する甲建物を事務所としてBに賃貸し(以下この問において「本件契約」という。)、その後、本件契約の期間中に甲建物の屋根に雨漏りが生じたため、CがBから甲建物の屋根の修理を請け負い、Cによる修理が完了した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. BがCに修理代金を支払わないまま無資力となり、賃料を滞納して本件契約が解除されたことにより甲建物はAに明け渡された。この場合、CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払を求めることはできない。
  2. BがCに修理代金を支払ったとしても、本件契約において、Aの負担に属するとされる甲建物の屋根の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければ、BはAに対して償還を求めることはできない。
  3. BがCに修理代金を支払わない場合、Cは、Bが占有する甲建物につき、当然に不動産工事の先取特権を行使することができる。
  4. BがCに修理代金を支払わないまま無資力となり、賃料を滞納して本件契約が解除されたことにより甲建物はAに明け渡された。本件契約において、BがAに権利金を支払わないことの代償として、甲建物の修理費用をBの負担とする旨の特約が存し、当該屋根の修理費用と権利金が相応していたときであっても、CはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払を求めることができる。

問7(解答・解説)

解答・解説に関しましては、宅建士合格広場独自の見解に基づき作成したものとなっています。事前の予告をすることなく変更する場合がございますので予めご了承ください。

  1. 正しい
    「義務なく他人のために事務の管理を始めたこと」が事務管理の要件ですが、本肢は、CがBから甲建物の屋根の修理を請け負って、修理をしていますので、事務管理は成立しません。
  2. 誤り
    賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費(修理費用など)を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができます。
    ※有益費が契約終了時!
  3. 誤り
    先取特権者は、民法その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有することになります。

    甲建物は、債務者BがAから借りたもので、Bの財産ではありませんので、Cは、不動産工事の先取特権を行使することができません。
  4. 誤り
    「BがAに権利金を支払わないことの代償として」となっており、Aは、利益を受けただけではありませんので、不当利得は、成立しません。
    ※Aは、「権利金をもらえない+修繕代金相当額を支払う」、これでは、Aが二重負担!

解答:1

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