平成28年宅建士試験【権利関係問題】

平成28年に実施された宅建士試験【権利関係】の問題及び解説です。過去問を分析し、宅建士試験の傾向を把握することが重要です。

 宅建士合格広場教材

問題1 民法条文規定問題

次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。

  1. 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年3%とする旨

  2. 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づく金銭債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる旨

  3. 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる旨

  4. 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する旨

【解答・解説】 

1.民法の条文に規定されていません

現行法では、「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」とされています。よって、本問は、民法の条文に規定されていません。

なお、改正民法では、「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、当該利息が生じた最初の時点における法定利率による。当該法定利率は、3%とする。」となります。

2.民法の条文に規定されていません

現行法では、本問のような規定はありません。よって、本問は、民法の条文に規定されていません。

なお、改正民法では、「賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭債務を履行しないときは、敷金を当該債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金を当該債務の弁済に充てることを請求することができない。」となります。

3.民法の条文に規定されていません

現行法では、本問のような規定はありません。よって、本問は、民法の条文に規定されていません。

なお、改正民法では、「免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。」となります。参考までに、平成27年度の試験では、併存的債務引受が出題されました。

4.民法の条文に規定されています

民法537条1項において、「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。」と規定されています。よって、本問は、民法の条文に規定されています。

 

正解番号:

問題2 制限行為能力者問題

制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。

  2. 被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。

  3. 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。

  4. 被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができない。

【解答・解説】 

1.×

民法5条1項において、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」と規定されています。

民法5条2項及び120条1項において、「上記の規定に反する法律行為は、法定代理人は、取り消すことができる。」と規定されています。

民法6条1項において、「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。」と規定されています。

本問は、「自己が居住するために建物を第三者から購入した」旨の記述がなされているから、「民法6条1項の営業に関して」に該当しません。例えば、未成年者が、古着を仕入れるのなら、未成年者は、成年者として扱うことになります。

また、「自己が居住するために建物を第三者から購入した」旨の記述がなされているから、「民法5条1項の単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」にも該当しません。

よって、法定代理人は、契約を取り消すことができ、本問は、誤りです。

2.×

民法13条1項において、「被保佐人が、不動産の売却をする場合、贈与の申し出を拒絶する場合には、その保佐人の同意を得なければならない。」と規定されています。

よって、「贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である」旨の記述が、誤りです。

3.×

民法859条の3において、「成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。」と規定されています。

よって、「家庭裁判所の許可は不要である。」旨の記述が誤りです。

4.

民法21条において、「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。」と規定されています。
また、判例において、「保護者の同意を得ていないのにもかかわらず同意を得ているいると偽る行為についても民法21条の詐術に該当する。」となっています。

よって、本問は、正しいです。

 

正解番号:

問題3 意思表示・物権変動問題

AがA所有の甲土地をBに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。

  2. AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。

  3. Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。

  4. AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。

【解答・解説】 

1.×

「A→B」、「A→C」に土地を売却しています。つまり、二重譲渡です。

土地の二重譲渡の場合、先に登記を備えた方が、所有権を主張できます。

CがBに対して甲土地の所有権を主張するためには、Bより先に所有権移転登記を備える必要があります。

よって、本問は、誤りです。

2.×

詐欺による意思表示の取消しは、その取消前に現れた善意の第三者には対抗できません。逆に、悪意の第三者には対抗できます。

「取消しより前にBが甲土地をDに売却している」旨の記述から、Dは、取消前に現れた第三者に該当します。

Dが詐欺の事実を知っていた場合、Aは、Dに対して甲土地の所有権を主張することができます。たとえ、Dが所有権移転登記を備えていても同じです。

よって、本問は、誤りです。

3.

Bに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入したEは、背信的悪意者に該当します。

Bは、背信的悪意者であるEに対して、所有権移転登記を備えていなかっても、甲土地の所有権を主張できます。逆に、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができません。

よって、本問は、正しいです。

4.×

動機の錯誤があり、その動機を相手方に表示したとき又は黙示的に表示したときに限り、意思表示が無効となります。

錯誤の場合、「取消し」という概念はありません。

よって、本問は、誤りです。

 

正解番号:

問題4 抵当権問題

Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aが甲土地に抵当権を設定した当時、甲土地上にA所有の建物があり、当該建物をAがCに売却した後、Bの抵当権が実行されてDが甲土地を競落した場合、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできない。

  2. 甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。

  3. AがEから500万円を借り入れ、これを担保するために甲土地にEを抵当権者とする第2順位の抵当権を設定した場合、BとEが抵当権の順位を変更することに合意すれば、Aの同意がなくても、甲土地の抵当権の順位を変更することができる。

  4. Bの抵当権設定後、Aが第三者であるFに甲土地を売却した場合、FはBに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。

【解答・解説】 

1.

抵当権設定時に、土地と建物の所有者が同一であれば、抵当権が実行される前に土地と建物の所有者が同一でなくても、他の要件を満たすことにより、法定地上権は成立します。

よって、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできないので、本問は、正しいです。

2.×

抵当権の目的である建物が焼失したことによる火災保険金債権について、抵当権に基づき物上代位権を行使できます。

本問は、抵当権の目的物が甲土地であり、建物が焼失したことによる火災保険金債権について、抵当権に基づき物上代位権を行使できません。

よって、本問は、誤りです。

3.

抵当権の順位は、各抵当権者(BとE)の合意によって変更することができます。ただ、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければなりません。

よって、本問は、正しいです。

4.

抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押さえの効力が発生する前までに限り、民法第383条所定の書面を送付して抵当権消滅請求をすることができます。

よって、本問は、正しいです。

 

正解番号:

問題5 債権譲渡問題

Aが、Bに対する債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. AのBに対する債権に譲渡禁止の特約があり、Cがその特約の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して特約の存在を対抗することができる。

  2. AがBに債権譲渡の通知を発送し、その通知がBに到達していなかった場合には、Bが異議をとどめない承諾をしても、BはCに対して当該債権に係る債務の弁済を拒否することができる。

  3. AのBに対する債権に譲渡禁止の特約がなく、Cに譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であった場合、その取引の種類、金額、期間などにより当該債権が特定されていたときは、特段の事情がない限り、AからCへの債権譲渡は有効である。

  4. Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していたBは、Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、異議をとどめない承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった。その後、Bは、Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。

【解答・解説】 

1.×

悪意の譲受人Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dが、善意無重過失である場合、債務者Bは、Dに対して譲渡禁止特約の存在を対抗することができない。

よって、本問は、誤りです。

2.×

債権譲渡の通知がBに到達していなかった場合でも、Bが異議をとどめない承諾をしたときには、Bは、譲受人であるCに対して当該債権に係る債務の弁済を拒否することができません。

よって、本問は、誤りです。

3.

契約時点では、将来発生が不確実な債権でも、取引の種類、金額、期間などにより当該債権が特定されていたときは、譲渡することができます。

よって、本問は、正しいです。

4.×

譲渡人(A)が債務者(B)に譲渡の通知をしたにとどまるとき又はBが異議をとどめる承諾をした場合、Bは、その通知を受けるまで又は承諾をするまでに譲渡人に対して対抗できる事由(相殺)があるときには、譲受人(C)にも対抗することができます。

よって、本問は、誤りです。

 

正解番号:

問題6 売主の担保責任問題

Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合の売主の担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。

  2. Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、Bは、本件契約を解除することができる。

  3. Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けたとしても、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。

  4. Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失ったときは、Bは、本件契約を解除することができる。

【解答・解説】 

1.

買主(B)が悪意(他人物売買であることを知っていた)の場合、Bは、売主(A)に対して、契約解除をすることができますが、損害賠償請求をすることはできません。

よって、本問は、正しいです。

2.

買主(B)が悪意(他人物売買であることを知っていた)の場合、Bは、売主(A)に対して、契約解除をすることができますが、損害賠償請求をすることはできません。

よって、本問は、正しいです。

3.×

抵当権の実行によって所有権を失った買主(B)は、善意、悪意に関係なく、売主(A)に対して、契約解除、損害賠償請求をすることができます。

よって、本問は、誤りです。

4.

抵当権の実行によって所有権を失った買主(B)は、善意、悪意に関係なく、売主(A)に対して、契約解除、損害賠償請求をすることができます。

よって、本問は、正しいです。

 

正解番号:

問題7 賃貸借・不法行為問題

AがBから賃借する甲建物に、運送会社Cに雇用されているDが居眠り運転するトラックが突っ込んで甲建物の一部が損壊した場合(以下「本件事故」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。なお、DはCの業務として運転をしていたものとする。

ア.AはBに対し、甲建物の滅失した部分の割合に応じ、賃料の減額を請求することができる。

イ.Aは、甲建物の残りの部分だけでは賃借した目的を達することができない場合、Bとの賃貸借契約を解除することができる。

ウ.Cは、使用者責任に基づき、Bに対して本件事故から生じた損害を賠償した場合、Dに対して求償することができるが、その範囲が信義則上相当と認められる限度に制限される場合がある。

  1. 一つ

  2. 二つ

  3. 三つ

  4. なし

【解答・解説】 

ア.

賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができます。

よって、本問は、正しいです。

イ.

賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失し、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができます。

よって、本問は、正しいです。

ウ.

使用者(C)が、損害を賠償した場合、Cは、被用者(D)に対して、その事業の性格、規模、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様等その他諸般の事情に照らし、信義則上相当と認められる限度において求償することができます。

よって、本問は、正しいです。

 

正解番号:

問題8 賃貸借・転貸借問題

AがBに甲建物を月額10万円で賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をCに適法に月額15万円で転貸している場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。

  2. BがAに対して甲建物の賃料を支払期日になっても支払わない場合、AはCに対して、賃料10万円をAに直接支払うよう請求することができる。

  3. AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。

  4. AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることができない。

【解答・解説】 

1.×

賃借人(B)が賃料を支払わないなどの債務不履行を理由に、賃貸人(A)が賃貸借契約を解除する場合、Aは、転借人(C)に対して、事前に通知して、賃料を支払う機会を与える必要はありません。

よって、本問は、誤りです。

2.

賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転貸借契約で定められた賃料の額の範囲内で、転借人(C)は、賃貸人(A)に対し賃料支払義務を負う。

よって、本問は、正しいです。

3.

賃借人(B)の債務不履行により、賃貸人(A)が、賃貸借契約を解除した場合、Aが、転借人に目的物の返還を請求した時に、転貸借契約が終了します。

よって、本問は、正しいです。

4.

賃貸借契約が、賃貸人(A)と賃借人(B)との合意によって解除された場合には、原則、そのことを転借人に対抗することができません。

よって、本問は、正しいです。

 

正解番号:

問題9 判決文問題

次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)

契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。(中略)上記のような場合の損害賠償請求権は不法行為により発生したものである(略)。

  1. 信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、買主が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により消滅する。

  2. 信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、損害を被っていることを買主が知らない場合でも、売買契約から10年間行使しないときは、時効により消滅する。

  3. 買主に対して債権を有している売主は、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害陪償請求権を受働債権とする相殺をもって、買主に対抗することができない。

  4. 売主が信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった場合、買主は、売主に対して、この説明義務違反を理由に、売買契約上の債務不履行責任を追及することはできない。

【解答・解説】 

【前提】

判決文を簡単にまとめますと、説明義務違反の場合、不法行為による賠償責任を負うことになります。

この前提に基づいて、解答します。

1.

損害又は加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により不法行為による損害賠償請求権が消滅する。

よって、本問は、正しいです。

2.×

被害者又はその法定代理人が、損害又は加害者を知った時から3年、あるいは、不法行為時から20年を経過することにより、不法行為による損害賠償請求権が消滅します。

よって、本問は、誤りです。

3.

不法行為により生じた損害賠償請求権を受働債権とする相殺は、することができない。簡単に言いますと、加害者側(売主)からの相殺はできません。

よって、本問は、正しいです。

4.

判決文において、「契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはない。」と記載されています。

よって、本問は、正しいです。

 

正解番号:

問題10 相続問題

甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Bが甲建物を不法占拠するDに対し明渡しを求めたとしても、Bは単純承認をしたものとはみなされない。

  2. Cが甲建物の賃借人Eに対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、Cは単純承認をしたものとみなされる。

  3. Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることができない。

  4. Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、Bは単純承認をしたものとみなされる。

【解答・解説】 

1.

Bが甲建物を不法占拠するDに対し明渡しを求めることは、保存行為に該当します。

相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為等を除く)には、単純承認したものとみなされます。

よって、本問は、正しいです。

2.

相続財産である建物の賃借人に、賃料の支払い請求したときには、単純承認したものとみなされます。

よって、本問は、正しいです。

3.

限定承認をするには、共同相続人(BとC)の全員が共同で行う必要があります。

よって、本問は、正しいです。

4.×

相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に限定承認、相続放棄をすることなく、3カ月が経過した場合、単純承認したものとみなされます。

よって、本問は、誤りです。

 

正解番号:

問題11 借地借家法(借地)

Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Aは借地権登記を備えていないものとする。

  1. Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。

  2. Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。

  3. AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。

  4. Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。

【解答・解説】 

1.

建物の登記については、自己名義でない限り、第三者(D)に対抗することができません。たとえ、配偶者や子供名義の登記の場合でも、第三者に対抗することができません。

よって、本問は、正しいです。

2.×

建物の登記上の所在地番の表示が、錯誤又は遺漏により実際のものと多少相違していても、建物の同一性が種類、構造、床面積等によって認識できる程度の軽微な相違であれば、その登記によって、第三者(E)に対抗することができる。

よって、本問は、誤りです。

3.×

存続期間を50年以上として借地権を設定する場合、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続による更新を含む)の規定を適用しないこと、建物が滅失した場合の建物の再築による存続期間の延長の規定を適用しないこと、存続期間満了による借地権者による建物買取請求をしないことを特約で定めることができます。なお、この特約は、公正証書などの書面によりする必要があります。

本問の存続期間は、30年なので上記の規定を適用することができません。

よって、本問は、誤りです。

4.×

借地権者(A)の債務不履行を理由として契約が解除され、契約が終了した場合、Aは、建物買取請求権を行使することができません。

よって、本問は、誤りです。

 

正解番号:

問題12 借地借家法(借家)

AはBと、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間3年、賃料月額20万円と定めて賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AもBも相手方に対し、本件契約の期間満了前に何らの通知もしなかった場合、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。

  2. BがAに対し、本件契約の解約を申し入れる場合、甲建物の明渡しの条件として、一定額以上の財産上の給付を申し出たときは、Bの解約の申入れに正当事由があるとみなされる。

  3. 甲建物の適法な転借人であるCが、Bの同意を得て甲建物に造作を付加した場合、期間満了により本件契約が終了するときは、CはBに対してその造作を時価で買い取るよう請求することができる。

  4. 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合でも、BはAに対し、同条所定の通知期間内に、期間満了により本件契約が終了する旨の通知をしなければ、期間3年での終了をAに対抗することができない。

【解答・解説】 

1.

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間満了の1年前から6カ前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、更新後の契約は、存続期間の定めがないものとなります。

よって、本問は、正しいです。

2.×

正当事由の判断の要素として、「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む)が建物の使用を必要とする事情」、「建物の賃貸借に関する従前の経過」、「建物の利用状況及び建物の現況」、「建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人(転借人を含む)に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出」などを総合的に考慮していき、正当事由があるかないかを判断していきます。

総合的に考慮していく必要があるので、本問は、誤りです。

3.

建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合、建物の転借人は、賃貸人に対して、賃借人と同じく、造作買取請求権を有することになります。ただし、賃貸人の同意を得ていない造作については、転借人は、賃貸人に対して、造作買取請求権を有しません。

よって、本問は、正しいです。

4.

存続期間を1年以上と定めた定期建物賃貸借契約の場合、その建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6カ月前までの間に、建物の賃借人に対し、期間の満了によりその建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができません。

 よって、本問は、正しいです。

正解番号:

問題13 区分所有法

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 管理者は、集会において、毎年2回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。

  2. 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。

  3. 管理者は、自然人であるか法人であるかを問わないが、区分所有者でなければならない。

  4. 各共有者の共用部分の持分は、規約で別段の定めをしない限り、共有者数で等分することとされている。

【解答・解説】 

1.×

管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければなりません。

よって、本問は、誤りです。

2.

管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができます。

よって、本問は、正しいです。

3.×

管理者は、法人でもなることができ、区分所有者以外の者でもなることができます。

よって、本問は、誤りです。

4.×

共用部分に対する各共有者の持分は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分の床面積の割合によります。

なお、専有部分の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積(内法面積)となります。

 よって、本問は、誤りです。

正解番号:

問題14 不動産登記法

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、所有権の保存の登記を申請しなければならない。

  2. 登記することができる権利には、抵当権及び賃借権が含まれる。

  3. 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

  4. 区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。

【解答・解説】 

1.×

新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければなりません。

よって、本問は、誤りです。

2.

登記することができる権利には、抵当権及び賃借権が含まれます。

なお、占有権、留置権、入会権は、登記をすることができない権利とされています。

よって、本問は、正しいです。

3.

建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から1月以内に、その建物の滅失の登記を申請しなければなりません。

よって、本問は、正しいです。

4.

区分建物については、表題部所有者(分譲業者など)から所有権を取得した者についても、所有権保存登記の申請をすることができます。

この場合において、その建物が敷地権付き区分建物であるときは、その敷地権の登記名義人の承諾を得る必要があります。

 よって、本問は、正しいです。

正解番号:

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