宅建業法等過去問題【平成27年宅建士試験】

■□今日の一問一答■□

本日の問題は、民法の「保証債務」の問題となっています。基本論点から出題していますので、必ず、押さえてください。

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平成27年に実施された宅建士試験【宅建業法等】の問題及び解説です。過去問を分析し、宅建士試験の傾向を把握することが重要です。

問題26 宅地の意義、免許の要否

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

都市計画法に規定する工業専用地域内の土地で、建築資材置き場の用に供されているものは、法第2条第1号に規定する宅地に該当する。
社会福祉法人が、高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定するサービス付き高齢者向け住宅の貸借の媒介を反復継続して営む場合は、宅地建物取引業の免許を必要としない。
都市計画法に規定する用途地域外の土地で、倉庫の用に供されているものは、法第2条第1号に規定する宅地に該当しない。
賃貸住宅の管理業者が、貸主から管理業務とあわせて入居者募集の依頼を受けて、貸借の媒介を反復継続して営む場合は、宅地建物取引業の免許を必要としない。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.4つ

【解答・解説】 

ア.

用途地域内の土地については、原則、宅地となります。ただし、現に道路・公園・河川・広場・水路である土地は除きます。

よって、工業専用地域内の土地で、建築資材置き場の用に供されているものは、宅地に該当するので、本問は、正しいです

イ.×

貸借の媒介を反復継続して営む場合、宅建業に該当するので、免許を受ける必要があります。

なお、社会福祉法人は、免許が不要となる国や地方公共団体等に該当しません。

よって、本問は、誤りです

ウ.×

用途地域外では、現に建物が建っている土地や、現に建物は建っていないが将来建物を建てる予定で取引されることとなる土地については、宅地となります。

よって、用途地域外の土地で、倉庫(建物)の用に供されているものは、宅地に該当するので、本問は、誤りです

エ.×

貸借の媒介を反復継続して営む場合、宅建業に該当するので、免許が必要となります。

よって、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題27 免許基準

宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. A社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、合併により消滅したが、合併に相当の理由がなかった。この場合においては、当該公示の日の50日前にA社の取締役を退任したBは、当該消滅の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。
  2. C社の政令で定める使用人Dは、刑法第234条(威力業務妨害)の罪により、懲役1年、執行猶予2年の刑に処せられた後、C社を退任し、新たにE社の政令で定める使用人に就任した。この場合においてE社が免許を申請しても、Dの執行猶予期間が満了していなければ、E社は免許を受けることができない。
  3. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Fは免許を受けることができない。
  4. H社の取締役Iが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明し、宅地建物取引業法第66条第1項第3号の規定に該当することにより、H社の免許は取り消された。その後、Iは退任したが、当該取消しの日から5年を経過しなければ、H社は免許を受けることができない。

【解答・解説】 

1.

不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に合併により消滅した法人(相当の理由がある法人を除きます)の聴聞の公示日前60日以内に役員であった者で、法人の消滅日から5年を経過しないものは、免許を受けることができません。

よって、本問は、正しいです

2.

禁錮以上の刑である懲役刑に処せられたDは、免許の欠格要件に該当します。なお、執行猶予が付いていても、執行猶予期間が満了しない限り、免許の欠格要件に該当したままです。

免許の欠格要件に該当しているDが、E社の政令で定める使用人に就任した場合、E社も免許の欠格要件に該当することになります。すなわち、E社は、Dの執行猶予期間が満了していなければ、免許を受けることができません。

よって、本問は、正しいです

3.

営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は、法定代理人が一定の事由に該当し、免許の欠格要件に該当する場合には、免許を受けることができません。

法定代理人が、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合(上記の一定の事由に該当します。)、法定代理人は、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、免許の欠格要件に該当します。

よって、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者Fは免許を受けることができないので、本問は、正しいです

4.×

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明したことに伴い、免許の欠格要件に該当することとなったIが退任しているので、H社には免許の欠格要件に該当する役員が存在しないことになります。

よって、H社は、5年を待つことなく免許を受けることができるので、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題28 媒介契約

宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

Aは、Bが所有する甲宅地の売却に係る媒介の依頼を受け、Bと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、法第34条の2第1項に規定する書面に記名押印し、Bに交付のうえ、宅地建物取引士をしてその内容を説明させなければならない。
Aは、Cが所有する乙アパートの売却に係る媒介の依頼を受け、Cと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、乙アパートの所在、規模、形質、売買すべき価額、依頼者の氏名、都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なものを指定流通機構に登録しなければならない。
Aは、Dが所有する丙宅地の貸借に係る媒介の依頼を受け、Dと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、Dに法第34条の2第1項に規定する書面を交付しなければならない。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.なし

【解答・解説】 

ア.×

宅建業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、一定事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません。

ただ、「宅地建物取引士をしてその内容を説明させなければならない。」という規定は、ありません。

よって、本問は、誤りです

イ.×

指定流通機構への登録事項は、下記のとおりです。

  1. 物件の所在
  2. 物件の規模
  3. 物件の形質
  4. 物件の売買すべき価額
  5. その物件に係る都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの
  6. 専任媒介契約又は専属専任媒介契約が、物件の交換の契約に係るものである場合、その物件の評価額
  7. 専属専任媒介契約の場合には、その旨

よって、「依頼者の氏名」については、登録事項ではないので、本問は、誤りです

ウ.×

宅建業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、一定事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません。

よって、賃貸借の媒介のときには、書面を交付する必要がないので、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題29 重要事項の説明

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明及び書面の交付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者ではない売主に対しては、買主に対してと同様に、宅地建物取引士をして、契約締結時までに重要事項を記載した書面を交付して、その説明をさせなければならない。
  2. 重要事項の説明及び書面の交付は、取引の相手方の自宅又は勤務する場所等、宅地建物取引業者の事務所以外の場所において行うことができる。
  3. 宅地建物取引業者が代理人として売買契約を締結し、建物の購入を行う場合は、代理を依頼した者(宅地建物取引業者ではない)に対して重要事項の説明をする必要はない。
  4. 重要事項の説明を行う宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなくてもよいが、書面に記名押印する宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなければならない。

【解答・解説】 

1.×

宅地・建物を取得しようとする者に対して、重要事項の説明をする必要があります。

よって、売主に説明をする必要がないので、本問は、誤りです

2.

重要事項の説明をすべき場所については、規定されていません。すなわち、どこで説明を行っても問題ありません。

よって、本問は、正しいです

3.×

買主が代理を依頼した者の場合でも重要事項の説明を行う必要があります。

よって、本問は、誤りです

4.×

重要事項の説明を行う宅地建物取引士も書面に記名押印する宅地建物取引士も、専任の宅地建物取引士でなくても問題ありません。

よって、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題30 媒介契約

宅地建物取引業者Aは、Bが所有する宅地の売却を依頼され、専任媒介契約を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。

Aは、Bが宅地建物取引業者であったので、宅地建物取引業法第34条の2第1項に規定する書面を作成しなかった。
Aは、Bの要望により、指定流通機構に当該宅地を登録しない旨の特約をし、指定流通機構に登録しなかった。
Aは、短期間で売買契約を成立させることができると判断したので指定流通機構に登録せず、専任媒介契約締結の日の9日後に当該売買契約を成立させた。
Aは、当該契約に係る業務の処理状況の報告日を毎週金曜日とする旨の特約をした。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.4つ

【解答・解説】 

ア.宅地建物取引業法の規定に違反します。

依頼者が宅建業者の場合においても、媒介契約書面の作成を省略することができません。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反します

イ.宅地建物取引業法の規定に違反します。

専任媒介契約の場合、一定事項を指定流通機構に登録しなければなりません。

また、上記の規定に反する特約は、無効となります。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反します

ウ.宅地建物取引業法の規定に違反します。

専任媒介契約の場合、一定事項を指定流通機構に登録しなければなりません。短期間で売買契約を成立させることができると判断した場合でも登録義務が免除されるわけではありません。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反します

エ.宅地建物取引業法の規定に違反しません

専任媒介契約については、媒介の依頼を受けた宅建業者は、依頼者に対し、2週間(専属専任媒介契約の場合には、1週間。)に1回以上、業務の処理状況を報告する義務があります。

本問では、毎週、業務の処理状況の報告日を毎週金曜日とする旨の特約なので、上記の規定に違反していません。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反しません

 

正解番号:

問題31 重要事項の説明

宅地建物取引業者が、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を行う場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。なお、説明の相手方は、宅地建物取引業者ではない。

宅地の貸借の媒介の場合、当該宅地が都市計画法の第一種低層住居専用地域内にあり、建築基準法第56条第1項第1号に基づく道路斜線制限があるときに、その概要を説明しなかった。
建物の貸借の媒介の場合、当該建物が新住宅市街地開発事業により造成された宅地上にあり、新住宅市街地開発法第32条第1項に基づく建物の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転について都道府県知事の承認を要する旨の制限があるときに、その概要を説明しなかった。
建物の貸借の媒介の場合、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第62条第1項に基づく建物の構造に係る制限があるときに、その概要を説明しなかった。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.なし

【解答・解説】 

ア.宅地建物取引業法の規定に違反します

建築基準法第56条第1項第1号に基づく道路斜線制限の概要については、宅地の貸借の媒介の場合でも、重要事項の説明内容となります。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反します

イ.宅地建物取引業法の規定に違反します

新住宅市街地開発法第32条第1項に基づく建物の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転について都道府県知事の承認を要する旨の制限については、建物の貸借の媒介の場合でも、重要事項の説明内容となります。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反します

ウ.宅地建物取引業法の規定に違反しません

建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第62条第1項に基づく建物の構造に係る制限については、建物の貸借の媒介の場合、重要事項の説明内容ではありません。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反しません

 

正解番号:

問題32 重要事項の説明

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は、宅地建物取引業者ではない。

  1. 建物の売買の媒介に関し、受領しようとする預り金について保全措置を講ずる場合において、預り金の額が売買代金の額の100分の10以下であるときは、その措置の概要を説明する必要はない。
  2. 宅地の貸借の媒介を行う場合、当該宅地について借地借家法第22条に規定する定期借地権を設定しようとするときは、その旨を説明しなければならない。
  3. 建物の貸借の媒介を行う場合、消費生活用製品安全法に規定する特定保守製品の保守点検に関する事項を説明しなければならない。
  4. 建物の貸借の媒介を行う場合、契約の期間については説明する必要があるが、契約の更新については、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面への記載事項であり、説明する必要はない。

【解答・解説】 

1.×

支払金や預り金を受領しようとする場合、保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要を説明する必要があります。

ただし、受領する額が50万円未満の場合には、上記の支払金や預り金に該当しないことになります。すなわち、50万円未満の場合、重要事項の説明内容となりません。

よって、預り金の額が売買代金の額の100分の10以下であるからといって、必ずしも、説明が不要になるとは言えず、本問は、誤りです

2.

宅地の貸借の媒介を行う場合、当該宅地について借地借家法第22条に規定する定期借地権を設定しようとするときは、その旨については、重要事項の説明内容となります。

よって、本問は、正しいです

3.×

消費生活用製品安全法に規定する特定保守製品の保守点検に関する事項については、重要事項の説明内容ではありません。

よって、本問は、誤りです

4.×

建物の貸借の媒介を行う場合、契約期間及び契約の更新に関する事項については、重要事項の説明内容となります。

よって、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題33 報酬

宅地建物取引業者A及びB(ともに消費税課税事業者)が受領した報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものの組合せはどれか。なお、この問において「消費税等相当額」とは、消費税額及び地方消費税額に相当する金額をいうものとする。

土地付新築住宅(代金3,000万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aは売主から代理を、Bは買主から媒介を依頼され、Aは売主から207万3,600円を、Bは買主から103万6,800円を報酬として受領した。
Aは、店舗用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分20万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金500万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ22万5,000円を報酬として受領した。
居住用建物(借賃1か月分10万円)について、Aは貸主から媒介を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から8万円、Bは借主から5万4,000円を報酬として受領した。なお、Aは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の0.54か月分を超えることについて貸主から承諾を得ていた。

1.ア、イ

2.イ、ウ

3.ア、ウ

4.ア、イ、ウ

【解答・解説】 

※消費税が10%となりましたので、ご注意ください。

ア.宅地建物取引業法の規定に違反します

AとB合わせて受領することができる報酬の限度額は、下記の手順で計算します。

  1. 3,000万円×3%+6万円=96万円
  2. 96万円×1.08(消費税の課税事業者だから)=1,036,800円
  3. 1,036,800円×2=2,073,600円となります。

よって、本問は、AとBが合わせて3,110,400円を受領しており、上記の限度額を超えているので、宅地建物取引業法の規定に違反します

イ.宅地建物取引業法の規定に違反しません

居住用建物以外の賃貸借の媒介の場合で、権利金の授受があれば、その権利金を売買代金とみなして報酬を計算することができます。よって、下記1と2の金額の多い方を受領することができます。

  1. 20万円(1カ月分の借賃)×1.08(消費税の課税事業者だから)=216,000円
  2. (500万円(権利金)×3%+6万円)×1.08(消費税の課税事業者だから)=226,800円

    226,800円×2(貸主と借主双方から媒介を依頼されているから)=453,600円

  3. 1<2 よって、453,600円が貸主と借主双方から受領することができる報酬の限度額となります。

    また、貸主と借主からそれぞれ226,800円を上限として報酬を受領することができます。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反しません

ウ.宅地建物取引業法の規定に違反します

AとB合わせて受領することができる報酬の限度額は、「借賃の1カ月分+消費税上乗せ分」となります。すなわち、108,000円(10万円×1.08)が、AとB合わせて受領することができる報酬の限度額となります。

よって、本問は、AとB合わせて134,000円を受領しているので、上記の限度額を超えることになり、宅地建物取引業法の規定に違反します

 

正解番号:

問題34 8種制限

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Cが建物の所有権を有している場合、AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。ただし、AがCとの間で、すでに当該建物を取得する契約(当該建物を取得する契約の効力の発生に一定の条件が付されている。)を締結している場合は、この限りではない。
  2. Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「AがBに対して瑕疵担保責任を負う期間は、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、BがAに対して瑕疵担保責任を追及することができる期間は、当該建物の引渡の日から2年間となる。
  3. Aは、Bから喫茶店で建物の買受けの申込みを受け、翌日、同じ喫茶店で当該建物の売買契約を締結した際に、その場で契約代金の2割を受領するとともに、残代金は5日後に決済することとした。契約を締結した日の翌日、AはBに当該建物を引き渡したが、引渡日から3日後にBから宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除が書面によって通知された。この場合、Aは、契約の解除を拒むことができない。
  4. AB間の建物の売買契約における「宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、AからBに対して損害賠償を請求することができる」旨の特約は有効である。

【解答・解説】 

1.×

宅建業者は、原則、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む)を締結してはなりません。

ただし、宅建業者が、宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときには、自ら売主となる売買契約(予約を含む)を締結することができます。

本問では、AがCとの間で、すでに当該建物を取得する契約を締結しているが、当該建物を取得する契約の効力の発生に一定の条件が付されています。

よって、AはBとの間で建物の売買契約を締結することができないので、本問は、誤りです

2.×

宅建業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約においては、原則、民法の瑕疵担保責任の規定よりも買主に不利な特約は、無効となり、民法の規定の瑕疵担保責任を負います。

ただし、例外として、瑕疵担保責任を負う期間については、目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は、有効となります。

本問では、「建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約なので、上記例外の規定に反しているので、その特約は、無効となり、瑕疵担保責任を追及できる期間は、民法の原則通りに、瑕疵を知った時から1年以内となります。

よって、本問は、誤りです

ここは、改正されています。(契約不適合責任)

3.

下記の手順に従って、見てください。

  1. 宅建業者の事務所等で買受けの申込み等をしていれば、クーリング・オフによる契約の解除をすることができません。本問では、喫茶店で買受けの申込みを行っているので、クーリング・オフ制度の対象となります。
  2. 建物の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払っていれば、クーリング・オフによる契約の解除をすることができません。本問では、Bは、建物の引渡しを受けているが、代金の全額を支払っていません。つまり、クーリング・オフ制度の対象となります。
  3. 建業者が申込みの撤回等を行うことができる旨や撤回方法を書面で告知した日から起算して、8日間を経過したときには、クーリング・オフによる契約の解除をすることができません。本問では、「書面で告知した」の記述がないが、買受けの申込み日~契約解除の書面による通知日までを見ても、8日を経過していません。
  4. クーリング・オフする際の意思表示を書面で行う必要があります。本問では、「書面によって通知された。」記述があるので、クーリング・オフ制度の対象となります。

よって、上記を理由として、Bは、クーリング・オフによる契約の解除をすることができ、Aは、契約の解除を拒むことができないので、本問は、正しいです

4.×

クーリング・オフによる契約の解除が行われたとしても、宅建業者は、契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができません。

また、上記の規定に反する特約で、買主側に不利なものは、無効となります。

よって、本問の特約は、買主であるBにとって不利であり、無効となるので、誤りです

 

正解番号:

問題35 宅地建物取引士

宅地建物取引業法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない」との規定があるが、宅地建物取引士については、規定はないものの、公正かつ誠実に宅地建物取引業法に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならないものと解されている。
  2. 「宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない」との規定がある。
  3. 「宅地建物取引士は、宅地建物取引業を営む事務所において、専ら宅地建物取引業に従事し、これに専念しなければならない」との規定がある。
  4. 「宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない」との規定があり、「宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない」との規定がある。

【解答・解説】 

問35は、平成27年の改正部分からの出題です。

1.×

宅建業法31条1項において、「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない。」と規定されています。

宅建業法15条において、「宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。」と規定されています。

よって、本問は、誤りです

2.×

宅建業法15条の2において、「宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。」と規定されています。この規定は、「宅地建物取引業の業務に従事するとき」に限っての規定ではありません。

よって、本問は、誤りです

3.×

宅建業法に本問のような規定はありません。

よって、本問は、誤りです

4.

宅建業法31条の2において、「宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない。」と規定されています。

宅建業法15条の3において、「宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。」と規定されています。

よって、本問は、正しいです

 

正解番号:

問題36 8種制限

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物(代金2,400万円)の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

Aは、Bとの間における建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を480万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めた。この場合、当該特約は全体として無効となる。
Aは、Bとの間における建物の売買契約の締結の際、原則として480万円を超える手付金を受領することができない。ただし、あらかじめBの承諾を得た場合に限り、720万円を限度として、480万円を超える手付金を受領することができる。
AがBとの間で締結する売買契約の目的物たる建物が未完成であり、AからBに所有権の移転登記がなされていない場合において、手付金の額が120万円以下であるときは、Aは手付金の保全措置を講じることなく手付金を受領することができる。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.なし

【解答・解説】 

ア.×

宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはなりません。

なお、当事者間で代金額の10分の2を超える定めをした場合、10分の2を超える部分については、無効となります。

本問では、損害賠償の予定額を480万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めているので、合計して720万円となり、480万円(2,400万円×10分の2)を超えています。

そして、240万円(720万円ー480万円)についてのみ、無効になります。

よって、本問の「当該特約は全体として無効となる」の記述が誤りです

イ.×

宅建業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができません。

なお、代金額の10分の2を超える手付を受領した場合、10分の2を超える部分は無効となります。

承諾があるからといって、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することはできません。

よって、本問は、誤りです

ウ.

売買契約締結時に未完成物件の場合、宅建業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等がある場合には、その手付金等の額を加算した額)が、代金額の5%以下で、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置を講じる必要がありません。

よって、本問は、正しいです

 

正解番号:

問題37 広告開始時期、契約締結時期の制限

次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。

  1. 宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前においては、建築確認を受けた後でなければ、当該建物の貸借の媒介をしてはならない。
  2. 宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前において、建築確認の申請中である場合は、その旨を表示すれば、自ら売主として当該建物を販売する旨の広告をすることができる。
  3. 宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前においては、建築確認を受けた後でなければ、当該建物の貸借の代理を行う旨の広告をしてはならない。
  4. 宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前において、建築確認の申請中である場合は、建築確認を受けることを停止条件とする特約を付ければ、自ら売主として当該建物の売買契約を締結することができる。

【解答・解説】 

1.×

売買、交換の媒介については、建築確認があった後でなければ、してはいけません。しかし、貸借の媒介については、建築確認前でも、することができます。

よって、本問は、誤りです

2.×

建築確認があった後でなければ、広告をしてはなりません。つまり、建築確認の申請中には、その旨を表示したとしても、広告をしてはなりません。

よって、本問は、誤りです

3.

建築確認があった後でなければ、広告をしてはなりません。貸借の代理の場合でも同じです。

契約締結時期と混同しないでください。

よって、本問は、正しいです

4.×

建築確認があった後でなければ、売買契約を締結してはいけません。建築確認を受けることを停止条件とする特約を付けていたとしても同じです。

よって、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題38 37条書面

宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

Aが売主を代理して中古マンションの売買契約を締結した場合において、瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、当該書面を、売主及び買主に交付しなければならない。
Aが媒介により中古戸建住宅の売買契約を締結させた場合、Aは、引渡しの時期又は移転登記の申請の時期のいずれかを37条書面に記載しなければならず、売主及び買主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。
Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。
Aが自ら買主として宅地の売買契約を締結した場合において、当該宅地に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、売主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.4つ

【解答・解説】 

ア.

代理をした宅建業者は、相手方及び代理を依頼した者に37条書面を交付します。

瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、37条書面に記載しなければなりません。

よって、本問は、正しいです

ここは、改正されています。(契約不適合責任)

イ.×

媒介をした宅建業者は、契約の各当事者(売主及び買主)に37条書面を交付します。なお、37条書面を交付すべき者が宅建業者の場合においても、37条書面を交付する必要があります。

「引渡しの時期及び移転登記の申請の時期」については、37条書面の記載事項となります。

よって、本問は、誤りです

ウ.×

Aが自ら貸主となる場合、宅建業に該当しないことになるので、37条書面の交付は、不要となります。

よって、本問は、誤りです

エ.

宅地に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容については、37条書面の記載事項となります。

宅建業者が、自ら当事者として宅地の売買契約を締結した場合、宅建業者は、相手方に37条書面を交付します。

相手方である売主が宅建業者の場合においても、買主である宅建業者は、37条書面を交付しなければなりません。

よって、本問は、正しいです

 

正解番号:

問題39 8種制限

宅地建物取引業者Aが自ら売主となる売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者でない買主Bが、法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフについてAより書面で告げられた日から7日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、9日目にAに到達した場合は、クーリング・オフによる契約の解除をすることができない。
  2. 宅地建物取引業者でない買主Cとの間で土地付建物の売買契約を締結するに当たって、Cが建物を短期間使用後取り壊す予定である場合には、建物についての瑕疵担保責任を負わない旨の特約を定めることができる。
  3. 宅地建物取引業者Dとの間で締結した建築工事完了前の建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を代金の額の30%と定めることができる。
  4. 宅地建物取引業者でない買主Eとの間で締結した宅地の売買契約において、当該宅地の引渡しを当該売買契約締結の日の1月後とし、当該宅地の瑕疵を担保すべき責任を負う期間について、当該売買契約を締結した日から2年間とする特約を定めることができる。

【解答・解説】 

1.×

宅建業者が申込みの撤回等を行うことができる旨や撤回方法を書面で告知した日から起算して、8日間を経過したときには、クーリング・オフによる契約の解除をすることがません。

買主側が、申込みの撤回等をする場合、買主側は、書面で行う必要があります。なお、申込みの撤回等の効力は、書面を発した時に生じます。

つまり、クーリング・オフによる契約の解除をするためには、宅建業者が申込みの撤回等を行うことができる旨や撤回方法を書面で告知した日から起算して、8日を経過するまでに、申込みの撤回等をする旨を書面で発送する必要があります。

よって、本問は、書面で告げられた日から7日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送しているので、たとえ、その書面が9日目に到達したとしても、クーリング・オフによる契約の解除をすることができます。

よって、本問は、誤りです

2.×

宅建業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約においては、原則、民法の瑕疵担保責任の規定よりも買主に不利な特約は、無効となり、民法の規定の瑕疵担保責任を負います。

本問の「瑕疵担保責任を負わない」旨の特約は、買主に不利な特約となり、無効となります。たとえ、建物を短期間使用後取り壊す予定である場合であっても同じです。

よって、本問は、誤りです

ここは、改正されています。肢4も同じ。

3.

宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはなりません。

ただし、相手方が宅建業者の場合には、10分の2を超えても、問題はありません。

よって、本問は、正しいです

4.×

瑕疵担保責任を負う期間については、目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は、有効となります。

本問は、宅地の引渡しを売買契約締結の日の1月後としており、売買契約を締結した日から2年間とする特約を定めても、瑕疵を担保すべき責任を負う期間は、引渡しの日から1年と11ヵ月となります。

よって、引渡しの日から2年以上となっておらず、その特約は、無効となるので、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題40 8種制限

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

Aは、Bとの間で建築工事完了後の建物に係る売買契約(代金3,000万円)において、「Aが契約の履行に着手するまでは、Bは、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、この特約は有効である。
Aは、Bとの間で建築工事完了前の建物に係る売買契約(代金3,000万円)を締結するに当たり、保険事業者との間において、手付金等について保証保険契約を締結して、手付金300万円を受領し、後日保険証券をBに交付した。
Aは、Bとの間で建築工事完了前のマンションに係る売買契約(代金3,000万円)を締結し、その際に手付金150万円を、建築工事完了後、引渡し及び所有権の登記までの間に、中間金150万円を受領したが、合計額が代金の10分の1以下であるので保全措置を講じなかった。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.なし

【解答・解説】 

ア.×

買主は、売主が履行に着手するまで、手付を放棄することにより契約を解除することができます。なお、この規定に反する特約で、買主にとって、不利な特約は、無効となります。

すなわち、買主は、手付金である10万円を放棄すれば、契約を解除することができます。

しかし、本問では、「Aが契約の履行に着手するまでは、Bは、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」旨の特約なので、その特約に従うと、買主は、契約を解除するためには、300万円(3,000万円の1割)を支払わなければなりません。

よって、本問の特約は、無効となるので、誤りです

イ.×

手付金額が300万円なので、保全措置を講じなければなりません。

保全措置を講じた後でなければ、手付金を受領することができません。

なお、手付金等について保証保険契約を締結して、保険証券等を買主であるBに交付することにより保全措置を講じたことになります。

よって、手付金を受領する前に、保証証券をBに交付する必要があるので、本問は、誤りです

ウ.×

手付金等とは、代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付その他の名義をもって授受される金銭で、代金に充当されるものであって、契約の締結日以後その宅地・建物の引渡し前に支払われるものをいいます。

すなわち、手付金のみならず、中間金についても、建築工事完了後、引渡し及び所有権の登記までの間に受領しているので、手付金等に該当することになります。

売買契約締結時に未完成物件の場合、宅建業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等がある場合には、その手付金等の額を加算した額)が、代金額の5%以下で、かつ、 1,000万円以下であるときは、保全措置を講じる必要がありません。

Aが受領した手付金等の額が300万円(手付金150万円+中間金150万円)となり、150万円(代金額の5%)を超えているので、Aは、手付金等を受領する前に保全措置を講じなければなりません。

よって、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題41 業務上の規制

宅地建物取引業者が売主である新築分譲マンションを訪れた買主Aに対して、当該宅地建物取引業者の従業者Bが行った次の発言内容のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはいくつあるか。

A:眺望の良さが気に入った。隣接地は空地だが、将来の眺望は大丈夫なのか。
B:隣接地は、市有地で、現在、建築計画や売却の予定がないことを市に確認しました。将来、建つとしても公共施設なので、市が眺望を遮るような建物を建てることは絶対ありません。ご安心ください。
A:先日来たとき、5年後の転売で利益が生じるのが確実だと言われたが本当か。
B:弊社が数年前に分譲したマンションが、先日高値で売れました。このマンションはそれより立地条件が良く、また、近隣のマンション価格の動向から見ても、5年後値上がりするのは間違いありません。
A:購入を検討している。貯金が少なく、手付金の負担が重いのだが。
B:弊社と提携している銀行の担当者から、手付金も融資の対象になっていると聞いております。ご検討ください。
A:昨日、申込証拠金10万円を支払ったが、都合により撤回したいので申込証拠金を返してほしい。
B:お預かりした10万円のうち、社内規程上、お客様の個人情報保護のため、申込書の処分手数料として、5,000円はお返しできませんが、残金につきましては法令に従いお返しします。

1.1つ

2.2つ

3.3つ

4.4つ

【解答・解説】 

ア.宅地建物取引業法の規定に違反します

宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、相手方等に対し、当該契約の目的物である宅地又は建物の将来の環境その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供してはなりません。

本問は、「将来、建つとしても公共施設なので、市が眺望を遮るような建物を建てることは絶対ありません。」の記述が、断定的判断を提供していることになります。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反します

イ.宅地建物取引業法の規定に違反します

宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してはいけません。

本問は、「5年後値上がりするのは間違いありません。」の記述が、断定的判断を提供していることになります。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反します

ウ.宅地建物取引業法の規定に違反しません

宅建業者は、相手方等に対し、手付けについて貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはいけません。

本問は、「手付金も融資の対象になっている。」とのあっせんのみでは、「手付けについて貸付けその他信用の供与」に該当しません。

よって、本問は、宅地建物取引業法の規定に違反しません

エ.宅地建物取引業法の規定に違反します

宅建業者は、相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒んではいけません。

よって、本問の「個人情報保護のため、申込書の処分手数料として、5,000円はお返しできません。」の記述が、宅地建物取引業法の規定に違反します

 

正解番号:

問題42 営業保証金と保証協会

営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aと宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)の社員である宅地建物取引業者Bに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 新たに事務所を設置する場合、Aは、主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべき営業保証金に、Bは、保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金に、それぞれ金銭又は有価証券をもって充てることができる。
  2. 一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金又は弁済業務保証金を取り戻すときは、A、Bはそれぞれ還付を請求する権利を有する者に対して6か月以内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。
  3. AとBが、それぞれ主たる事務所の他に3か所の従たる事務所を有している場合、Aは営業保証金として2,500万円の供託を、Bは弁済業務保証金分担金として150万円の納付をしなければならない。
  4. 宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者(宅地建物取引業者ではない)は、Aに関する債権にあってはAが供託した営業保証金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有し、Bに関する債権にあってはBが納付した弁済業務保証金分担金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有する。

【解答・解説】 

1.×

営業保証金については、金銭又は有価証券をもって充てることができます。

弁済業務保証金分担金については、金銭をもって充てることができるが、有価証券をもって充てることができません。

よって、本問は、誤りです

2.×

一部の事務所を廃止した場合、営業保証金の取戻しについては、公告が必要です。

一部の事務所を廃止した場合、弁済業務保証金の取戻しについては、公告が不要です。

よって、本問は、誤りです

3.

営業保証金の供託額については、主たる事務所については、1,000万円で、それ以外の事務所については、事務所1カ所ごとに500万円となります。よって、Aは営業保証金として2,500万円(1,000万円+500万円×3)を供託する必要があります。

弁済業務保証金分担金の納付額については、主たる事務所が 60万円、従たる事務所1カ所につき30万円となります。よって、Bは弁済業務保証金分担金として150万円(60万円+30万円×3)を納付する必要があります。

よって、本問は、正しいです

4.×

Aが供託した営業保証金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有することになります。

Bが保証協会の社員でないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額を上限として弁済を受ける権利を有することになります。

よって、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題43 監督処分

宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、当該売買の契約においてその目的物の瑕疵を担保すべき責任を負わない旨の特約を付した。この場合、Aは、乙県知事から指示処分を受けることがある。
  2. 甲県に本店、乙県に支店を設置する宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)は、自ら売主となる乙県内におけるマンションの売買の業務に関し、乙県の支店において当該売買の契約を締結するに際して、代金の30%の手付金を受領した。この場合、Bは、甲県知事から著しく不当な行為をしたとして、業務停止の処分を受けることがある。
  3. 宅地建物取引業者C(甲県知事免許)は、乙県内に所在する土地の売買の媒介業務に関し、契約の相手方の自宅において相手を威迫し、契約締結を強要していたことが判明した。この場合、甲県知事は、情状が特に重いと判断したときは、Cの宅地建物取引業の免許を取り消さなければならない。
  4. 宅地建物取引業者(国土交通大臣免許)は、甲県内に所在する事務所について、業務に関する帳簿を備えていないことが判明した。この場合、Dは、甲県知事から必要な報告を求められ、かつ、指導を受けることがある。

【解答・解説】 

1.

自ら中古住宅の売主となるAが瑕疵を担保すべき責任を負わない旨の特約を付した場合、宅建業法の規定に違反することになります。

宅建業法の規定に違反したAは、指示処分を受けることがあります。

指示処分は、「免許権者(=甲県知事)」のみならず、「ある都道府県で、指示処分の対象となる行為を行った場合の、ある都道府県の知事(=乙県知事)」も行うことができます。

よって、本問は、正しいです

ここは、改正されています。

2.×

Bは、代金額の10分の2を超える手付金を受領したので、宅建業法の規定に違反することになります。

上記の場合、Bは、業務停止処分を受けることがあります。

業務停止処分は、「免許権者(=国土交通大臣事)」と「ある都道府県で、業務停止処分の対象となる行為を行った場合の、ある都道府県の知事(=乙県知事)」が行うことができます。

よって、Bは、甲県知事から業務停止処分を受けないので、本問は、誤りです

3.

「契約の相手方の自宅において相手を威迫し、契約締結を強要した」ので、業務停止処分事由に該当します。そして、情状が特に重い場合には、免許取消処分事由に該当することになります。

なお、免許取消処分は、免許権者のみが行うことができます。

よって、本問は、正しいです

4.

都道府県知事(甲県知事)は当該都道府県(甲県)の区域内で宅地建物取引業を営む宅地建物取引業者に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保し、又は宅地建物取引業の健全な発達を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができます。

都道府県知事(甲県知事)は、当該都道府県(甲県)の区域内で宅地建物取引業を営む者に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求めることができます。

よって、本問は、正しいです

 

正解番号:

問題44 案内所の届出、標識の掲示

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が乙県内に所在するマンション(100戸)を分譲する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが宅地建物取引業者Bに販売の代理を依頼し、Bが乙県内に案内所を設置する場合、Aは、その案内所に、法第50条第1項の規定に基づく標識を掲げなければならない。
  2. Aが案内所を設置して分譲を行う場合において、契約の締結又は契約の申込みの受付を行うか否かにかかわらず、その案内所に法第50条第1項の規定に基づく標識を掲げなければならない。
  3. Aが宅地建物取引業者Cに販売の代理を依頼し、Cが乙県内に案内所を設置して契約の締結業務を行う場合、A又はCが専任の宅地建物取引士を置けばよいが、法第50条第2項の規定に基づく届出はCがしなければならない。
  4. Aが甲県内に案内所を設置して分譲を行う場合において、Aは甲県知事及び乙県知事に、業務を開始する日の10日前までに法第50条第2項の規定に基づく届出をしなければならない。

【解答・解説】 

1.×

他の宅建業者が行う一団(建物については10戸以上)の宅地建物の分譲の代理や媒介を行うために設置する案内所には、当該案内所を設置したBが標識を掲示しなければなりません。

よって、本問は、誤りです

2.

宅建業者が一団(宅地については10区画以上、建物については10戸以上)の宅地建物の分譲を行うために設置する案内所には、契約の締結又は契約の申込みの受付を行うか否かにかかわらず、案内所を設置したAが標識を掲示しなければなりません。

よって、本問は、正しいです

3.×

他の宅建業者が行う一団(建物については10戸以上)の宅地建物の分譲の代理や媒介を行うために設置する案内所で、契約の締結業務を行う場合、案内所を設置したCが、専任の宅地建物取引士を置き、かつ、宅建業法第50条第2項の規定に基づく届出を行う必要があります。

よって、本問は、誤りです

4.×

案内所で業務を開始する日の10日前までに、免許権者(本問では、甲県知事)とその案内所の所在地を管轄する都道府県知事(本問では、甲県知事)に宅建業法第50条第2項の規定に基づく届出をしなければなりません。

よって、本問は、誤りです

 

正解番号:

問題45 住宅瑕疵担保履行法

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地建物取引業者である買主との間で新築住宅の売買契約を締結し、その住宅を引き渡す場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。
  2. 自ら売主として新築住宅を販売する宅地建物取引業者は、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、宅地建物取引業者でない買主へのその住宅の引渡しまでに、買主に対し、保証金を供託している供託所の所在地等について記載した書面を交付して説明しなければならない。
  3. 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することができない。
  4. 住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結している宅地建物取引業者は、当該保険に係る新築住宅に、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の隠れた瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)がある場合に、特定住宅販売瑕疵担保責任の履行によって生じた損害について保険金を請求することができる。

【解答・解説】 

1.×

買主が宅建業者の場合、資力確保措置を講じる義務はありません。

よって、本問は、誤りです

2.×

住宅の引渡しまでに説明をするのではなく、売買契約を締結するまでに、説明をする必要があります。

よって、本問は、誤りです

3.×

新築住宅を引き渡した宅建業者は、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなかった場合、その基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはなりません。

よって、本問は、誤りです

4.

新築住宅に、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の隠れた瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)があり、宅建業者が、その特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに、その履行によって生じた損害について保険金を請求することができます。

よって、本問は、正しいです

瑕疵の定義が変わりました。

 

正解番号:

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