令和7年(2025年)問1【宅建士過去問】

令和7年(2025年)10月に実施されました宅建士試験の問1の問題と解答・解説です。

問1(問題)

所有者AがBに甲土地を売却し、その後にBがCに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、この問においてCは、背信的悪意者ではないものとする。

  1. 甲土地の所有権登記がAの名義のままであったとしても、Bは、Cに甲土地を売却した後は、Aに対して自己に甲土地の所権移転登記をするよう請求することはできない。
  2. Cは、甲土地の所有権移転登記を備えなければ、Aに対して自己が所有者であることを主張することができない。
  3. AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結よりも前にAにより解除されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にAにより解除された場合のいずれの場合であっても、Cは、甲土地の所有権移転登記を備えれば、Aに対して自己の所有権を主張することができる。
  4. AB間の売買契約が、BC間の売買契約よりも前にBの強迫を理由として取り消されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にBの強迫を理由として取り消された場合のいずれの場合であっても、Cは、Bの強迫につき善意でかつ過失がなければ、Aに対して自己の所有権を主張することができる。

問1(解答・解説)

解答・解説に関しましては、宅建士合格広場独自の見解に基づき作成したものとなっています。事前の予告をすることなく変更する場合がございますので予めご了承ください。

  1. 誤り
    A→B→Cと甲土地が譲渡されましたが、甲土地の所有権登記がAの名義のままであった場合、Bは、所有権を有しませんが、Aに対して、移転登記請求をすることができます。
  2. 誤り
    不動産が転々と譲渡された場合(AB→Cと譲渡された場合)の前主Aは、民法177条の第三者に該当しません。(AとCは、対抗関係とはならない)
    ですので、Cは、登記がなくても、Aに対して甲土地の所有権を主張することができます。
  3. 正しい
    AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結よりも前にAにより解除されていた場合(第三者Cが解除後に登場した場合)、解除者Aと解除後の第三者Cは、対抗関係となりますので、Cは、登記を備えなければ、Aに対して甲土地の所有権を主張することができません。

    BC間の売買契約締結後にAにより解除された場合(第三者Cが解除前に登場した場合)、民法545条1項の話となり、解除前の第三者Cが保護されるためには、登記が必要となりますので、Cは、登記を備えなければ、Aに対して甲土地の所有権を主張することができません。
  4. 誤り
    AB間の売買契約が、BC間の売買契約よりも前にBの強迫を理由として取り消されていた場合(第三者Cが取消し後に登場した場合)、肢3の解除後に登場した第三者と同様、AとCは、対抗関係となりますので、Cは、登記を備えなければ、Aに対して甲土地の所有権を主張することができません。(善意無過失であるかどうかは関係なし)

    BC間の売買契約締結後にBの強迫を理由として取り消された場合(第三者Cが取消し前に登場した場合)、強迫による意思表示の取消しは、その取消し前に登場した第三者Cに対抗することができます。(詐欺と異なり、善意無過失の第三者にも対抗可)

解答:3

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