平成29年(2017年)に実施された宅建士試験【法令制限】問15の問題(農地法)と解説を掲載しています。
農地法
農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 市街化区域内の農地を耕作のために借り入れる場合、あらかじめ農業委員会に届出をすれば、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
- 市街化調整区域内の4ヘクタールを超える農地について、これを転用するために所有権を取得する場合、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。
- 銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。
- 相続により農地の所有権を取得した者は、遅滞なく、その農地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
【解答・解説】
- 誤り
市街化区域内の農地を耕作のために「借り入れる場合」においても農地法3条1項の許可を受ける必要があります。 市街化区域内の特例(=農業委員会に届け出れば、許可が不要となる特例)については、農地法4条・農地法5条について適用されますが、農地法3条については適用されません。 よって、「あらかじめ農業委員会に届出をすれば、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。」旨の記述が誤りです。
- 誤り
市街化調整区域内の農地について、これを転用するために所有権を取得する場合、農地法5条1項の許可を受ける必要があります。 農地法5条1項の許可権者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(「指定市町村」という。)の区域内にあっては、指定市町村の長。)です。 よって、「農林水産大臣の許可を受ける必要がある。」旨の記述が誤りです。
- 誤り
農地に抵当権を設定したからといって、「権利移動」するものではありません。 よって、農地法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要はありません。 ※権利移動とは、「農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転すること」です。
- 正しい
相続や遺産分割により農地の所有権を取得する場合、農地法3条1項の許可を受ける必要がありません。 この場合、許可は不要となりますが、遅滞なく、その農地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければなりません。
A.4
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