問12:問題(借家権)
AとBとの間で、Aが所有する甲建物をBが5年間賃借する旨の契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか(借地借家法第39条に定める取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に定める一時使用目的の建物の賃貸借は考慮しないものとする。)。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合には、5年経過をもって当然に、AはBに対して、期間満了による終了を対抗することができる。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合には、当該契約の期間中、Bから中途解約を申し入れることはできない。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借でない場合、A及びBのいずれからも期間内に更新しない旨の通知又は条件変更しなければ更新しない旨の通知がなかったときは、当該賃貸借契約が更新され、その契約は期間の定めがないものとなる。
- CがBから甲建物を適法に賃貸された転借人で、期間満了によってAB間及びBC間の賃貸借契約が終了する場合、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について、BはAに対する買取請求権を有するが、CはAに対する買取請求権を有しない。
問12:解答・解説(借家権)
解答・解説に関しましては、宅建士合格広場独自の見解に基づき作成したものとなっています。事前の予告をすることなく変更する場合がございますので予めご了承ください。
- 誤り。
存続期間を1年以上と定めた定期建物賃貸借契約の場合、その建物の賃貸人は、原則として、期間の満了の1年前から6カ月前までの間に、建物の賃借人に対し、期間の満了によりその建物の賃貸借が終了する旨の通知(口頭でも可能)をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができません。 - 誤り。
居住用建物(床面積が200平方メートル未満)の定期借家契約においては、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人Bが、その居住用建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人Bは、存続期間が満了していなくても、その期間の中途で、その居住用建物の賃貸借の解約の申入れをすることができます。
この問題は、事業用!などの記載がなされていませんので、上記の規定が適用される余地があります。 - 正しい。
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間満了の1年前から6カ月前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。
ただし、更新後の契約は、期間の定めがないものとなります。 - 誤り。
建物の賃貸借(AB間の賃貸借)が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合、建物の転借人Cは、賃貸人Aに対して、賃借人Bと同様に、造作買取請求権を有することになります。
ただし、賃貸人の同意を得ていない造作については、転借人Cは、賃貸人Aに対して、造作買取請求権を有しません。
よって、この問題の「CはAに対する買取請求権を有しない。」旨の記述が誤りです。
A.3