代理権消滅後の表見代理~民法徹底解説

「民法の問題が難しい?」「民法を理解できない?」といった質問をよくお受けしています。

教材購入者の皆様からの要望をお受けし、宅建士試験で出題される可能性のある民法の条文等(このページでは、代理権消滅後の表見代理)を出来る限り簡単に説明します。

宅建士試験の問題の中で一番難しいのは、民法の問題ですので、逆に、民法の問題で高得点を取ることができれば、合格に直結します。

民法の問題が苦手と思っている教材購入者の方は、是非、お読みください。

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代理権消滅後の表見代理~民法条文

~民法112条~

代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

この条文だけを見ますと、「何の規定?」と思いますよね。

民法112条は、代理権消滅後の表見代理について規定されています。

代理権消滅後の表見代理~民法解説

ー大前提ー

無権代理は、原則、無効となります。つまり、本人に効果が帰属しません。

ただし、「追認した場合」「表見代理に該当した場合」には、無効となりません。つまり、本人に効果が帰属します。

ー代理権消滅後の表見代理ー

以下の要件を満たせば、代理権消滅後の表見代理が成立することとなり、本人に効果が帰属します。つまり、相手方が、保護されます。

  1. 代理人が以前に有していた代理権が消滅したこと
  2. 代理人が以前に有していた代理権の範囲内で代理行為を行ったこと
  3. 相手方が代理権が消滅したことについて善意無過失であること

流れにそって簡単に解説します。

Aさんは、Bさんに、「建物を売却してくれ!」という代理権を授与しました。

その後、Bさんが破産手続開始の決定を受けたことにより、代理権が消滅しました。

その後、Bさんが、Cさんに対して、「Aの代理人です!」と伝えたうえで、建物を売却しました。

Cさんは、Aさんに対して、「建物を引き渡せ!」と請求しました。

この場合、Aさんは、Cさんに対して、建物を引き渡す必要があるのでしょうか?

代理人Bさんが破産手続開始の決定を受けていますので、原則、代理権は、消滅します。

代理権が消滅していますので、Bさんは、無権代理人に該当し、Bさんの代理行為(Cさんに建物を売却すること)は、無権代理に該当します。

よって、無効となり、Aさんは、Cさんに甲土地を引き渡す必要がありません。

相手方Cさんからすれば、「代理人Bさんが破産手続開始の決定を受けていた(代理権が消滅していた)ことなんて、知るか!そもそも、Aさんは、Bさんに対して、代理権が消滅したことを説明しているの!!Aさんにも責任があるよ!!!」と思うはずで、結論として、Aさんにも責任があり、Cさんを保護する必要があります。

Cさんを保護するために、民法112条の規定が存在します。

例えば、Cさんが、代理権が消滅したことを知っていた(悪意)とします。

この場合、Cさんを保護する必要がありませんよね。

そこで、「Cさんが、代理権が消滅したことについて善意無過失の場合にだけ、Cさんを保護しますよ!」というのが、民法112条の規定です。

結論として、Cさんが代理権が消滅したことについて善意無過失の場合、Aさんは、Cさんに建物を引き渡す必要があります。

そもそも、代理権が消滅しているのにもかかわらず、代理行為を行ったBさんは、何も責任をとる必要はないのでしょうか?

善意無過失のCさんは、無権代理人Bさんに対して、無権代理人の責任追及をすることができます。

つまり、善意無過失のCさんは、表見代理の成立を主張することにより、Aさんとの間で、有効な売買契約を成立させるのか?それとも、Bさんへ責任を追及していくのかを決めることができます。

改正民法

民法112条は、以下のとおり、改正されます。

~改正民法112条1項~

他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

~改正民法112条2項~

他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

ー改正民法112条1項ー

改正民法112条1項は、上記で解説してきたとおりの規定です。

改正により、わかりやすくなったと思います。例えば、「代理権の消滅の事実を知らなかった第三者」と判例を明文化することで、善意の内容が明らかになりました。

ー改正民法112条2項ー

現行民法112条では、代理権消滅後、代理人が、以前に有していた代理権の範囲を超えて代理行為(例えば、以前に不動産の所有権移転登記の代理権を与えていたが、代理権消滅後の代理人が、その不動産を売却したことなど)をしたときの取り扱いまで規定されていません。

民法110条(権限外の表見代理)では、代理権が授与されていて、その代理権(基本代理権)の範囲を超えて代理行為をしたときの取り扱いが規定されていますので、基本代理権がないときの取り扱いまで規定されていません。

そこで、判例では、民法110条と同法112条の重畳適用を認めています。

そして、その判例を明文化したものが改正民法112条2項です。なお、この判例は、宅建士試験で出題されたことがありますので、押えてください。

なお、判例は、宅建士試験で出題されますので、教材購入者の方は、必ず、教材に掲載している論点を押えてください。その結果、重要判例を押えたことになります。

しかし、教材に掲載している判例以外も宅建士試験で出題される可能性がゼロではありませんので、捨て問対策ページに掲載します。

なお、捨て問対策ページに掲載する判例は、宅建士試験受験生の9割以上の方が知りませんので、焦らずじっくりと、勉強してください。

問題にチャレンジ

【問題】

買主Aが、Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を締結する場合に関する次の記述は、民法の規定によれば、正しいですか?それとも、誤っていますか?

Bが従前Cに与えていた甲地を売却する代理権が消滅した後であっても、Aが代理権の消滅について善意無過失であれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。

【解答・解説】

登場人物をまとめますと⇒A=相手方、B=本人、C=代理人

問題文を読みますとCの代理権が消滅しています。

しかし、Cは、甲地の売買契約を締結します。

Cの代理行為は、無権代理ですので、原則、無効になります。つまり、Aは甲地を取得することができません。

無権代理に該当する場合であっても、「本人であるBが追認する場合」「表見代理が成立する場合」のどちらかに該当するときは、無効になりません。つまり、Aは甲地を取得することができます。

問題文で、「追認」の話が出てきていませんので、表見代理が成立するのか否かを考えなければなりません。

問題文を読みますと、「従前に代理権授与→代理権消滅→その代理権の範囲内で代理行為」となっていますので、民法112条の規定が適用されるのか?と考えなければなりません。

「Aが代理権の消滅について善意無過失」と記載されていますので、代理権消滅後の表見代理が成立します。

よって、Aは甲地を取得することができますので、本問は、正しい記述です

 

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【教材購入者の方へ】

民法の問題を難しく思っている受験生の方は、非常に多いです。

宅建士合格広場の教材で勉強している皆さんにとっては、他の受験生よりも差をつけることができる科目です。

皆さんは、お持ちの教材やポイント解説ページなど、専用ページにて紹介している勉強の流れに従って勉強して頂ければ、他の教材で勉強している方よりも有利な状態で本試験に挑むことができ、その結果、宅建士試験に合格することができます。

ですので、専用ページにて紹介している勉強の流れに従って勉強してくださいね。

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