最近の宅建士試験の問題は、個数問題が多く出題されています。
個数問題とは、「正しいものはいくつあるのか?」、「誤っているものはいくつあるのか?」を問う問題のことです。
「個数問題=難しい問題」ではありません。個数問題は、消去方式を使うことができません。すなわち、運で正解しにくい問題で、より正確な知識が求められているのです。
今後の宅建士試験でも、99%の確率で個数問題は出題されるはずので、慣れていきましょう。
目次一覧
宅建士試験の個数問題
では、宅建士試験の個数問題がどのような問題なのか?を科目別に見ていきます。
権利関係の個数問題を見ていきましょう
問題
代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。 | |
ア. | 代理権を有しない者がした契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。 |
イ. | 不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。 |
ウ. | 代理人は、行為能力者であることを要しないが、代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。 |
エ. | 代理人の意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。 |
1.1つ
2.2つ
3.3つ
4.4つ
解答・解説
2番が正解です。
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ア. | 民法116条において、「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と規定されています。よって、本問の「追認をした時から将来に向かって生ずる。」の記述が誤りです。 |
イ. | 判例において、「代理人が直接本人の名で権限外の行為をした場合、相手方において、本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、民法110条が類推適用される。」とされています。よって、本問は、正しいです。 |
ウ. | 民法102条において、「代理人は、行為能力者であることを要しない。」と規定されています。また、民法111条1項2号において、「代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。」と規定されています。よって、本問は、正しいです。 |
エ. | 民法101条1項において、「意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。」と規定されています。よって、本問は、誤りです。 |
宅建業法の個数問題を見ていきましょう
問題
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。 | |
ア. | Aが瑕疵担保責任を負う期間を売買契約に係る宅地の引渡しの日から3年間とする特約は、無効である。 |
イ. | Aは、Bに売却予定の宅地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれていることが判明したため、甲市に払下げを申請中である。この場合、Aは、重要事項説明書に払下申請書の写しを添付し、その旨をBに説明すれば、売買契約を締結することができる。 |
ウ. | 「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約を定めた場合、契約締結後30日を経過したときは、Aが契約の履行に着手していなかったとしても、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができない。 |
1.1つ
2.2つ
3.3つ
4.なし
解答・解説
3番が正解です。
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ア. | 瑕疵担保責任を負う期間については、目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は、有効となります。よって、本問は、誤りです。 |
イ. | 宅地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれているので、一部他人部物売買に該当します。宅地建物取引業者は、当該宅地を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときを除き、当該宅地について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはなりません。よって、本問は、誤りです。 |
ウ. | Aが履行に着手する前であれば、Bは、手付を放棄して契約を解除することができます。この規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効となります。よって、本問は、誤りです。 |
法令上の制限の個数問題を見ていきましょう
問題
建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 | |
ア. | 一室の居室で天井の高さが異なる部分がある場合、室の床面から天井の一番低い部分までの高さが2.1メートル以上でなければならない。 |
イ. | 3階建ての共同住宅の各階のバルコニーには、安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。 |
ウ. | 石綿以外の物質で居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質は、ホルムアルデヒドのみである。 |
エ. | 高さが20メートルを超える建築物には原則として非常用の昇降機を設けなければならない。 |
1.1つ
2.2つ
3.3つ
4.4つ
解答・解説
4番が正解です。
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ア. | 建築基準法施行令21条1項において、「居室の天井の高さは、2.1メートル以上でなければならない。」と規定されています。 建築基準法施行令21条2項において、「同条1項の天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。」と規定されています。 よって、平均の高さによることになるので、天井の一番低い部分までの高さではなく、本問は、誤りです。 |
イ. | 建築基準法施行令126条1項において、「屋上広場又は二階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。」と規定されています。 本問において、「3階建ての共同住宅の各階のバルコニーには」と記載されており、各階とは、1階、2階、3階のことを指しています。二階以上の階にあるバルコニー(2階部分と3階部分)には、高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければなりません。 ここからが問題となってくるところなのですが、「その他これに類するものの周囲」には、1階部分も含まれるのか?ということです。これに対しては、私の見解と致しましては、あえて、「2階以上の階にあるバルコニー」と施行令で記載されているので、2階以上を指しているのであり、1階部分を含まないと考えています。 よって、1階部分には、安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設ける必要はないので、本問は、誤りです。 |
ウ. | 建築基準法施行令20条の5において、「石綿以外の物質で居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。」と規定されています。よって、ホルムアルデヒドのみではないので、本問は、誤りです。 |
エ. | 建築基準法34条2項において、「高さ31メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。」と規定されています。 よって、本問は、誤りです。 |