いよいよ、2020年(令和2年)宅建士試験から改正民法(債権法改正!相続法改正!)が出題されます。
施行されるまで、十分な期間がありましたので、こちら側は、さほど大変なこともなかったのですが、受験生の皆さん、特に、リベンジ組の方は、大変だと思います。
今までの知識だけで補うことができる部分もありますが、新設部分も含め全く補うことができない部分が多くあります。
ですので、リベンジ組の方は、一から勉強し直す!という形の方が良いと思います。
相続から2問出題されるのか?
教材を作成している時点では、2020年(令和2年)宅建士試験において配偶者居住権の論点が出題されるのかどうかが不明でしたが、
残念ながら、2020年(令和2年)宅建士試験の範囲となります。
ここで、相続の分野から2問出題されるかもしれない!と個人的に思いました。
2019年(令和元年)宅建士試験では、遺産分割の話(問6)が出題されていました。
肢3の問題は、【新判例→改正論点】につながるものであり、2020年宅建士試験において、改正論点部分が狙われる可能性があります。
ですので、2019年(令和元年)宅建士試験に遺産分割が出題されたから、2020年(令和2年)宅建士試験では出題されない!と思わないでください。絶対に!!
取れる問題を落とさない!
これが、合格には必要なことですので、勝手に絞ることはダメです。
配偶者短期居住権につながる判例が宅建士試験で出題済み
まずは、問題を見てください。これは、過去の宅建士試験で出題された問題です。
自己所有の甲建物に妻Bと同居していたAが、遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。Aの死後、遺産分割前にBがAの遺産である甲建物に引き続き居住している場合、C及びDは、それぞれBに対して 建物の賃料相当額の4分の1ずつの支払いを請求することができる。
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少しだけ、この問題の解説をしていきます。
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登場人物をまとめますと
A:被相続人
B:相続開始時の妻(法定相続人)
C:Aの子供(法定相続人)
D:Aの子供(法定相続人)
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夫婦仲よく、AさんとBさんは、甲建物で一緒に住んでいます。
もちろん、妻Bさんは、夫Aさんにお金を支払って住ませてもらっているわけではありません。
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その後、Aさんが死亡しました。
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相続人が3人(B・C・D)いますので、遺産分割(話し合い等)が終わるまで、
甲建物は、3人のもの(共有)となります。
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そこで、
子供であるCさんとDさんが、
Bさんに対して、「甲建物に住み続ける!つまり、賃料分得をしているのだから、 賃料相当額のお金を支払ってよ!」と言いました。
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仮に、Bさんが、これに応じる必要があるとした場合、
賃料分を支払うことができないのなら、Bさんは、甲建物に住み続けることができません。
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こうなってくれば、
Bさんは、直ちに、住む場所を探す必要もありますし、これは、大変です。
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そこで、
AさんとBさんとの間において、甲建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認されます。
つまり、
Bさんは、遺産分割が終わるまでと短い期間ではありますが、とりあえず、無償で甲建物で住むことができます。
つまり、CさんやDさんは、賃料分(不当利得)を請求することができません。
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ここまでが、この問題の解説で、判例の話となります。
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この判例によれば、以下の問題が生じてきます。
例えば、Aさんが、Bさん以外の第三者に居住建物を遺贈した場合
例えば、Aさんが、甲建物でBさんを住ませない!という意思を表示していた場合、
このような場合には、使用貸借が推認されないこととなります。
その結果、Bさんは、甲建物を明け渡さなければならない可能性があります。
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そこで、Bさんの生活を保護しよう!という観点で配偶者短期居住権の規定が登場します。
配偶者居住権(長期及び短期)の具体的な解説に関しましては、テキスト完成版等でご確認ください。