【民法解説】抵当権の順位の変更~宅建士試験に合格しよう

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民法の「抵当権」の確認問題です。

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フルセット専用ページ(フルセット教材をご購入頂いた方の専用のページ)内にあります復習まとめ集ポイント解説等の一部(抵当権の順位の変更)を掲載しています。

理解を深めるためにも、復習まとめ集ポイント解説等をご利用ください。

抵当権の順位の変更

【条文】

抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。

なお、上記の順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

流れに従って、上記の条文(抵当権の順位の変更)を簡単に解説します。

A所有の甲土地(価値2,000万円)について、以下のように抵当権が設定されていたとします。

一番抵当権者:B、被担保債権額が1,000万円

二番抵当権者:C、被担保債権額が600万円

三番抵当権者:D、被担保債権額が500万円

登記の順番で、抵当権の順位が決まりますが、

この順位は、変更することができます。

では、

例えば、BとDの順位を変更するためには、どのようにすればよいのでしょうか?

以下の要件を満たすことで、抵当権の順位を変更することができます。

  1. 各抵当権者の合意があること
  2. 利害関係を有する者があるときは、その承諾を得ること
  3. 順位変更の登記をすること

BとDの順位を変更するということは、

一番抵当権者:D、被担保債権額が500万円

二番抵当権者:C、被担保債権額が600万円

三番抵当権者:B、被担保債権額が1,000万円

となります。(Dが一番抵当権者になり、Bが三番抵当権者になる)

1つ目の要件について

BとDの順位を変更することになりますが、B・C・D全員の合意が必要となります。

Cは、順位が変更されませんので、Cの合意は不要とみえますが、

Cからすれば、順位が変更されることによって、弁済を受け取ることができる金額が変わる可能性がありますよね。ですので、Cの合意が必要となります。

※例えば、CとDの順位を変更する場合には、一番抵当権者であるBの合意は不要となります。つまり、CとDの合意があれば、1つ目の要件を満たすことになります。
Bは、一番抵当権者ですので、CとDの順位を変更したところで、弁済を受け取ることができる金額は変わりませんよね。ですので、Bの合意は不要となります。

2つ目の要件について

例えば、順位の変更をしない場合、

甲土地を競売にかけ、競売代金が2,000万円になれば、

一番抵当権者Bは、被担保債権額1,000万円を回収することができます。

二番抵当権者Cは、被担保債権額600万円を回収することができます。

三番抵当権者Dは、被担保債権額が500万円ですが、400万円しか回収することができません。

BとDの順位を変更した場合、

一番抵当権者Dは、被担保債権額が500万円を回収することができます。

二番抵当権者Cは、被担保債権額600万円を回収することができます。

三番抵当権者Bは、被担保債権額が1,000万円ですが、900万円しか回収することができません。

損をするのは、Bですよね、しかし、Bは合意していますよね。だから、Bは、順位を変更することに不満はありません。しかし、例えば、Bの被担保債権を差し押さえているEがいたとします。Eからすれば、「1,000万円を回収できると思っていたのに、900万円しか回収できないのか!勝手に順位を変更するな!!」と怒るはずです。ですので、Eは利害関係があるものとして、Eの承諾も必要となります。

一方、得をするのは、Dですよね。例えば、Dの被担保債権を差し押さえているFがいたとします。Fからすれば、「400万円しか回収できないと思っていたのに、500万円を回収できた!順位を変更してくれてありがとう!!」とうれしいはずです。ですので、Fは、利害関係がないものとなり、Fの承諾は不要となります。

損もなく、得もないCの被担保債権を差し押さえているGがいたとします。Gからすれば、「600万円を回収できると思っていて、600万円を回収できた!」と何も感情はありません。ですので、Gは、利害関係がないものとなり、Gの承諾は不要となります。

しかし、

例えば、一番抵当権者Dの被担保債権額が1,600万円で、二番抵当権者Cの被担保債権額が600万円で、三番抵当権者Bの被担保債権額が500万円だったとします。

この場合、Dは、1,600万円を回収することができ、二番抵当権者Cは、被担保債権額が600万円ですが、400万円しか回収することができません。

つまり、Cは、損をすることになり、

損をしたCの被担保債権を差し押さえているGからすれば、「600万円を回収できると思っていたのに、400万円しか回収できないのか!勝手に順位を変更するな!!」と怒るはずです。ですので、Gは、利害関係があるものとして、Gの承諾も必要となります。

3つ目の要件について

抵当権の順位の変更の登記をする必要があります。

抵当権の順位の変更の登記の申請は、順位を変更する当該抵当権の登記名義人が共同してする必要があります。

問題にチャレンジ

次の記述は、民法の規定によれば、正しいですか?それとも、誤っていますか?

抵当権の順位を変更する場合は、各抵当権者の合意を得るだけでなく、利害関係人がいる場合には利害関係者の承諾が必要であるが、抵当権の順位の変更は、登記をすることによって、その効力が発生する。

解答:正しい

本問のとおりです。(上記の条文のとおり!)

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