平成29年(2017年)に実施された宅建士試験【権利関係】問1の問題(代理)と解説を掲載しています。
肢3の判例については、勉強していない方が多かったかも知れませんが、消去方式で正解を導き出すことができると思います。
なお、私が、この問題を解いた瞬間、「肢1・2・4の問題は、平成26年某国家試験の問題とほぼ同じ!」だと感じました。肢3の問題についても他の国家試験でも出題されています。
問1 代理問題
代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。
- 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、 復代理人を選任することができる。
- 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。
- 夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。
【解答・解説】
- 判例において、「売買契約締結の代理権を授与された者は、特段の事情がないかぎり、相手方から、当該売買契約取消の意思表示を受ける権限を有する。」とされています。
よって、本問は、正しい記述です。 ※なお、「売買契約締結の代理権を授与された者は、登記をする権限等も有する。」とされています。
- 委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができません。
よって、本問は、正しい記述です。
- 判例において、「本人と代理人との間で委任契約が締結され、代理人と復代理人との間で復委任契約が締結され、復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡したときは、特別の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅し、それとともに、本人に対する受領物引渡義務も消滅する。」とされています。
よって、本問は、誤った記述です。
- 民法761条において、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。」と規定されています。
判例において、「夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有する」となっています。 日常家事(簡単に言うと、食費・教育費・家賃等生活に必要な費用)については、代理権を与えているか・与えていないかに関係なく、当然に、代理権が発生することになります。つまり、夫婦間においては、日常家事について代理権が発生します。 例えば、妻が、知り合いの店で野菜を購入したが、代金を支払っていません。後日、知り合いの店は、妻の夫にその代金を請求することができるということです。 よって、本問は、正しい記述です。
A.3
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