【民法】胎児の権利能力の問題~隙間時間を使って宅建士試験に合格

■□今日の一問一答■□

本日の問題は、民法の「保証債務」の問題となっています。基本論点から出題していますので、必ず、押さえてください。

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このページに掲載している問題と解説は、宅建士合格広場HPの教材購入者専用ページ内にある確認問題から出題しています。

今回は、民法の胎児の権利能力の問題となっています。

胎児の権利能力の問題(民法)

次の記述は、民法の規定及び判例によれば、正しいですか?それとも、誤っていますか?

胎児に対する不法行為に基づく当該胎児の損害賠償請求権については、胎児は既に生まれたものとみなされることになるので、胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができる。

解答:誤り

原則、人は、生まれたときに権利能力を有することになりますので、胎児は、権利能力を有していません。

しかし、「不法行為による損害賠償請求権等」については、胎児は、既に生まれたものとみなされます。

ただし、生きて生まれたときに、初めて、不法行為等があった時に遡って、不法行為による損害賠償請求権を有していることになる、つまり、胎児である間は、損害賠償請求権を有していません。

よって、胎児の母親は、胎児を代理して、不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができません。

【補足】

民法3条1項において、「私権の享有は、出生に始まる。」と規定されています。

人は、出生と同時に権利能力を取得します。

権利能力とは、権利義務の主体となることができる資格のことです。

出生とは、胎児が母体から全部露出した時点です。

ですので、原則、まだ生まれていない(出生していない)胎児は、権利能力を有していないことになります。

また、権利能力は、死亡によって消滅します。

↓ここからが重要です。↓

原則、胎児は、権利能力を有していないことになります。しかし、以下の場合には、胎児は既に生まれたものとみなされます

  1. 不法行為による損害賠償の請求権
    例えば、胎児の両親等が交通事故にあった場合、胎児は、生きて生まれたときに、初めて、不法行為による損害賠償を請求することができます。
    よって、胎児の両親が、まだ生まれていない胎児を代理して、不法行為による損害賠償を請求することができません。
  2. 相続
    例えば、胎児の両親等が、死亡した場合、胎児にも、両親等の遺産を相続することができます。
    しかし、生きて生まれなかった場合(死産の場合)、両親等の遺産を相続することができません。
    逆の言い方に換えますと、生きて生まれたときに、相続開始時に遡って、相続権を取得することになり、両親等の遺産を相続することができます。
  3. 遺贈
    特定の財産を胎児にあげたい場合は、遺言によって胎児にあげることができます。
    なお、上記と同様、生きて生まれなかった場合(死産の場合)、この規定は適用されません。

上記の規定が、「胎児は既に生まれたものとみなされる。」規定です。

ただし、胎児は、生きて生まれたときに、不法行為時点や相続開始時点等に遡って、権利能力を有することになります。

言い方を変えますと、胎児は、生きて生まれたときに、初めて、不法行為による損害賠償を請求することもでき、相続等もすることができます。(停止条件説)

色々と説明しましたが、簡単に、まとめます。

人は、生まれたときに権利能力を有することになります。

では、胎児は、権利能力を有するの?

人は、生まれたときに権利能力を有することになりますので、原則、胎児は、権利能力を有していません。

しかし、「不法行為による損害賠償請求権」「相続」「遺贈」については、胎児は、既に生まれたものとみなされます。つまり、不法行為による損害賠償請求もできますし、両親の遺産も相続することができます。

ただし、生きて生まれたときに、初めて、不法行為等があった時に遡って、これらの権利を取得することになります。言い方を変えますと、胎児である間は、権利能力はありません

よって、母親は、胎児を代理して、これらの権利を行使することができません。逆に、生きて生まれたときに、母親は、胎児を代理して、これらの権利を行使することができます。

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