【宅建士試験対策用】権利能力を解説~民法徹底解説

2025年宅建士試験

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教材購入者専用ページ内にありますポイント解説(権利関係編)の一部を掲載しています。

理解を深めるためにも、ポイント解説等をご利用ください。

権利能力

民法3条1項において、「私権の享有は、出生に始まる。」と規定されています。

人は、出生と同時に権利能力を取得します。

権利能力とは、権利義務の主体となることができる資格のことです。

出生とは、胎児が母体から全部露出した時点です。

ですので、原則、まだ生まれていない(出生していない)胎児は、権利能力を有していないことになります。

また、権利能力は、死亡によって消滅します。

↓ここからが重要です。↓

原則、胎児は、権利能力を有していないことになります。

しかし、この原則を貫けば、不公平が発生します。

例えば、父親が死亡する1日前に生まれたのであれば、その者は、権利能力を有することになり、父親の財産を相続することができますが、

例えば、父親が死亡した1日後に生まれたのであれば、父親が死亡した時点でその者は生まれていませんので権利能力を有していません。ですので、父親の財産を相続することができません。

これは、明らかに不公平ですよね。

そこで、

以下の場合には、胎児は既に生まれたものとみなされます。

  1. 不法行為による損害賠償の請求権
    例えば、胎児の両親等が交通事故にあった場合、胎児は、生きて生まれたときに、初めて、不法行為による損害賠償を請求することができます。
    よって、胎児の両親が、まだ生まれていない胎児を代理して、不法行為による損害賠償を請求することができません。
  2. 相続
    例えば、胎児の両親等が、死亡した場合、胎児にも、両親等の遺産を相続することができます。
    しかし、生きて生まれなかった場合(死産の場合)、両親等の遺産を相続することができません。
    逆の言い方に換えますと、生きて生まれたときに、相続開始時に遡って、相続権を取得することになり、両親等の遺産を相続することができます。
  3. 遺贈
    特定の財産を胎児にあげたい場合は、遺言によって胎児にあげることができます。
    なお、上記と同様、生きて生まれなかった場合(死産の場合)、この規定は適用されません。

上記の「既に生まれたものとみなされる。」の意味は何か?についてですが、

停止条件説と解除条件説があります。

なお、判例は、停止条件説をとっていますので、停止条件説を見ていきます。

胎児である間には権利能力がなく、生きて生まれた場合に遡って権利能力を取得する!

これが、停止条件説です。

つまり、

不法行為時点や相続開始時点等に遡って、権利能力を有することになります。

言い方を変えますと、胎児は、生きて生まれたときに、初めて、不法行為による損害賠償を請求することもでき、相続等もすることができます。

↓権利能力まとめ↓

色々と説明しましたが、簡単に、まとめます。

人は、生まれたときに権利能力を有することになります。

では、胎児は、権利能力を有するの?

人は、生まれたときに権利能力を有することになりますので、原則、胎児は、権利能力を有していません。

原則を貫けば、不公平が発生しますので、「不法行為による損害賠償請求権」「相続」「遺贈」については、胎児は、既に生まれたものとみなされます。つまり、不法行為による損害賠償請求もできますし、両親の遺産も相続することができます。

「既に生まれたものとみなす」の意味については、停止条件説!

つまり、生きて生まれたときに、初めて、不法行為等があった時に遡って、これらの権利を取得することになります。言い方を変えますと、胎児である間は、権利能力はありません。

よって、母親は、胎児を代理して、これらの権利を行使することができません。逆に、生きて生まれたときに、母親は、胎児を代理して、これらの権利を行使することができます。

問題にチャレンジ~権利能力

【権利能力:問題】

次の記述は、民法の規定及び判例によれば、正しいですか?それとも、誤っていますか?

胎児に対する不法行為に基づく当該胎児の損害賠償請求権については、胎児は既に生まれたものとみなされることになるので、胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができる。

【解答・解説】

原則、人は、生まれたときに権利能力を有することになりますので、胎児は、権利能力を有していません。

しかし、「不法行為による損害賠償請求権等」については、胎児は、既に生まれたものとみなされます。

ただし、生きて生まれたときに、初めて、不法行為等があった時に遡って、不法行為による損害賠償請求権を有していることになる、つまり、胎児である間は、損害賠償請求権を有していません。

よって、胎児の母親は、胎児を代理して、不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができません。

解答:誤った記述です。

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