抵当権テキスト

2021年(令和3年)宅建士試験教材

抵当権とは

抵当権とは、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した目的物について、もし、債務の弁済がなされないときには、その不動産を競売にかけ、その競売によって得た代金により、債権者が優先的に弁済を受けられる担保物権(=約定担保物権)のことです。

【補足】

  1. 自分の不動産に抵当権を設定する者のことを抵当権設定者といい、債権者のことを抵当権者といいます。
  2. 抵当権を設定することができるのは、不動産、地上権、永小作権のみです。よって、賃借権等には、抵当権が設定されません。
  3. 目的物は、債権者の元に移転することはなく、債務者は、その目的物を自由に使える権利があります。要するに、抵当権は、諾成契約ということです。諾成契約とは、当事者間の意思表示の合意で成立するもので、抵当権設定の際に、物の引渡しを必要としません。
  4. 抵当権は、目的物の所有者と債権者との合意によって成立する約定担保物権です。
  5. 債務者のために、第三者が所有している目的物に抵当権を設定できます。この場合の第三者のことを物上保証人といいます。
  6. 被担保債権とは、担保物権(=抵当権等)により担保される債権のことです。被担保債権は、金銭債権に限定されることはなく、物の引渡しを目的とする債権を担保するためにも抵当権を設定することができます。
  7. 抵当権は、登記をすることにより第三者に対抗することができます。
  8. 同一の不動産に複数の抵当権を設定することができます

抵当権の性質

抵当権には、物上代位性、不可分性、随伴性、付従性が認められています。

物上代位性

【例題】

Aが、Bからお金を借りる際に、A所有の家屋に抵当権を設定していた。その後、火災によりその家屋が消滅した場合、抵当権者Bは、どうしたらいいのか。

【解答・考え方】

  1. Bは、Aから確実にお金を回収するためにAの家屋に抵当権を設定しています。いざとなれば、抵当権を実行(=その家屋を競売にかける)して、お金を回収することができるのです。
  2. しかし、抵当権の目的物であるAの家屋が火災により消滅してしまいました。要するに、家屋を競売にかけることができず、確実にお金を回収することができなくなるということです。
  3. ただ、Aは、火災保険をかけていたので、家屋が消滅しても保険金を受け取ることができます。そうなると、Bだけ何も受け取ることができないのは、不公平です。
  4. そこで、Bを保護するために、Bは、抵当権の目的物であった家屋に代えて、Aの保険金に抵当権を行使することができ、その保険金から弁済を受けとれるようにしました。これを、物上代位といいます。
  5. なお、Bは、保険金に対して抵当権を行使するためには、Bが、Aに保険金が払い渡される前に、差し押さえなければなりません。

上記は、保険金について、説明しました。この他にも物上代位の例をあげておきます。

  1. Aが、Bからお金を借りる際に、A所有の家屋に抵当権を設定していた。その後、第三者Cが故意にその家屋を滅失させた場合、Bは、AがCから受け取る損害賠償金からも弁済を受けることができます。
  2. Aが、Bからお金を借りる際に、A所有の家屋に抵当権を設定していた。その後、Aが、その家屋を第三者Cに売却した場合、Bが、その売却代金がAに払い渡される前に、差し押さえることにより、その売却代金から、弁済を受けることができます。
  3. Aがその家屋をCに賃貸していた場合、賃料からも弁済を受けることができます。

【例題1】

Aが、Bからお金を借りる際に、A所有の家屋に抵当権を設定しており、登記も済んでいる。その後、Aがその家屋をCに賃貸した。この場合、Bは、賃料債権に物上代位ができるのか。

【解答】

Aが、期日が来ても、Bから借りたお金を返さないときは、Bは、賃料債権に物上代位をすることができます。なお、Bは、賃料がAに払い渡される前に、差し押さえる必要があります。

【例題2 一般債権者が現れた場合】

上記の例題1の場合で、Aの一般債権者Dが賃料債権を差し押えた場合、Bは、物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえることができるのか。

【解答】

抵当権の設定登記と一般債権者の申立てによる差押え命令の第三債務者(=C)への送達の先後により決まります。よって、抵当権の設定登記の後に賃料債権が生じているので、Bは、賃料債権に物上代位することができます。

【例題3 賃料債権が譲渡された場合】

上記の例題1の場合で、Aが賃料債権をDに譲渡し、第三者に対する対抗要件も備えた場合、Bは、譲渡後の賃料債権に物上代位を行使して差し押さえることができるのか。

【解答】

抵当権の設定登記後に賃料債権が譲渡されているので、Dも抵当権の事実を知ることは可能であり、Bは、譲渡後の賃料債権に物上代位を行使して差し押さえることができます

【例題4 転借人が現れた場合】

上記の例題1の場合で、Cがその家屋をDに転貸(=転貸の承諾は得ている)した場合、Bは、CのDに対する転貸賃料債権に物上代位を行使できるのか。

【解答・手順】

  1. Cは、Bからお金を借りているわけでもないのに、どうして、Dから受け取ることができる賃料をBに取られなければいけないのか!と思うはずです。したがって、原則、Bは、CのDに対する転貸賃料債権に物上代位を行使することができません
  2. ただし、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合、Bは、転貸賃料債権に物上代位を行使することができます。
  3. すなわち、Bは、AがCから取得する賃料債権には、物上代位をすることができ、CがDから取得する転貸賃料債権には、物上代位をすることができません。この場合、物上代位をされたくないAが、仮装によりCに家屋を賃貸していた場合など抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合には、転貸賃料債権に物上代位することができます。

不可分性

不可分性とは、債権が全部消滅するまでは、抵当権の効力が、目的物全体に及ぶということです。

【補足】

Aが、Bから500万円を借りる際に、A所有の500平方メートルの家屋に抵当権を設定した。その後、AがBに100万円を返済したとしても、抵当権の効力は、その家屋全体(=500平方メートル)に及びます。400平方メートルの家屋に対して、抵当権の効力が及ぶわけではありません。

随伴性

随伴性とは、被担保債権が譲渡等により移転されると、抵当権も一緒に移転されることです。

【補足】

被担保債権の譲渡を受け、それに伴い抵当権を取得した者は、債権譲渡の対抗要件を備え、かつ、抵当権の移転登記をすることにより、抵当権の取得を第三者に対抗することができます。

付従性

付従性とは、被担保債権が時効により消滅した場合には、抵当権も消滅され、被担保債権が無効となった場合には、抵当権も無効になることです。

【補足】

被担保債権がない以上は、抵当権の意味がないということです。

この続きは、

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勉強の流れ

 

STEP1:理解して暗記

テキストではなく、覚えるべき論点をまとめた復習まとめ集を覚えます。

単に暗記するだけでは、知識が定着せず、また、民法など一定の問題には対応することができず、理解が必要となります。

そこで、テキスト、ポイント解説、動画解説を使って、復習まとめ集に掲載している論点を理解して頂きます。

なお、注意すべき事項として言いましたが、テキスト、ポイント解説以上の深入りは禁物です。

STEP2:理解して解く

復習まとめ集に掲載している論点を暗記しているのかどうか?理解しているのかどうか?を確かめる必要があり、また、知識をより一層深めるためにも問題を解く必要があります。

そこで、一問一答問題集と四肢択一問題集を使ってください。

使う順番としては、「一問一答問題集→四肢択一問題集」となります。

問題を解き終われば、問題集上の解説だけでなく、必ず、ポイント解説と動画解説も忘れることなく使ってください。

これでもなお理解できない問題が出てきたときには、テキストやポイント解説などに戻ってください。これでもなお理解できないのであれば、質問をご利用ください

STEP3:復習を毎日継続

知識が定着していない間は、覚えては忘れる

これを繰り返すことになり、勉強が嫌になる理由の一つですが、合格する方は、必ず、これを乗り越えてきます。

ですので、皆さんも、知識が定着するまでは、毎日、復習を継続してください

復習まとめ集を使って復習をしてください。そして、2・3日に一度は、問題も解きなおしてください

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