【宅建士】利益相反行為の問題~民法を丁寧に解説

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今回は、民法の利益相反行為の問題となっています。

利益相反行為の問題

次の記述は、民法の規定および判例によれば、正しいですか?それとも、誤っていますか?

Aが死亡し、Aの妻Bと嫡出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である。

解答:正しい

本問の遺産分割協議はC及びDの利益相反行為に該当します。

つまり、親権者Eが特別代理人を選任せずに、C及びDの代理人として遺産分割協議を行えば、無権代理行為となります。

よって、有効な追認がない限り無効です。

~補足解説~

【民法826条】

  1. 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
  2. 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

上記は、利益相反行為の話となりますので、遺産分割協議を使って見ていきます。

上記1を見ていきます。

例えば、Aが死亡し、妻Bと子C(未成年者)が相続人となりました。

妻Bと子Cが、Aの遺産1億円をどのように分け合っていくのかを話し合いで決めていきます。

これが、遺産分割協議ですが、

子Cは、未成年者ですので、遺産分割協議に参加することができませんので、Cの法定代理人Bが、Cに代わって、遺産分割協議に参加することになります。

つまり、

Bは、「相続人としての立場(自身の立場)で遺産分割協議に参加+Cの法定代理人としての立場で遺産分割協議に参加」することになります。

その結果、

Bは、1人で、Aの遺産1億円をどのように分け合っていくのかを決めることができます。

こうなれば、

極端な話、Bは、「自分に1億円」「Cに0円」と決めることができます。

当然、

Bが、自分の取り分を増やせば、その分、Cの取り分が減ります。

つまり、BとCの利益が相反することになります。言い方を変えますと、利益相反行為に該当します。

利益相反行為に該当しますので、

Bは、Cの代理人としての立場で遺産分割協議に参加することができません。

こうなれば、

未成年者であるCが困ります。

そこで、上記1の規定が設けられています。

つまり、

親権者(B)とその子(C)との利益が相反する行為については、親権者(B)は、子(C)のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。

例えば、この規定に従って、親権者(B)は、子(C)のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求し、Dが特別代理人になったとします。

この場合、BとD(Cの代理人の立場)で、遺産分割協議を行っていきます。

例えば、特別代理人を選任することなく、Bが遺産分割を行えば、このBの行為は、無権代理行為に該当します。

無権代理行為ですので、当然に無効ではなく、Cが、成年に達した後に、追認をすれば、有効となります。

上記2を見ていきます。

例えば、Aが死亡し、妻Bと嫡出でない未成年の子CとD(CとDは、Aの愛人であるEの子供)の3人が相続人となりました。

CとDは、未成年者ですので、遺産分割協議に参加することができませんので、

CとDの法定代理人であるEが、CとDに代わって、遺産分割協議に参加します。(BとEが遺産分割協議!)

Eが、CとDに代わって、遺産分割協議に参加しますので、

Eは、Cの取り分も、Dの取り分も、自由に決めることができます。

こうなれば、

例えば、

Cが好きで、Dが嫌いである場合には、Eは、「Cの取り分を増やして、Dの取り分を減らそう!」と思うかもしれません。

逆に、

Cが嫌いで、Dが好きである場合には、Eは、「Cの取り分を減らして、Dの取り分を増やそう!」と思うかもしれません。

つまり、

CとDの利益が相反することになります。言い方を変えますと、利益相反行為に該当します。

利益相反行為に該当しますので、

Eは、CとDいずれか1人の代理人としての立場で遺産分割協議に参加することになります。(2人の代理人としての立場で参加するのはダメ!)

例えば、Eが、Cの代理人として、遺産分割協議に参加すれば、未成年者であるDは困ります。(逆も同じ!)

そこで、上記2の規定が設けられています。

つまり、

親権者(E)が数人の子(CとD)に対して親権を行う場合で、その1人(C又はD)と他の子(D又はC)との利益が相反する行為については、親権者(E)は、その一方(上記の具体例では、D)のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。

例えば、この規定に従って、Eは、Dのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求し、Fが特別代理人になったとします。

この場合、B・E(Cの代理人)・F(Dの代理人)の3人で、遺産分割協議を行っていきます。

例えば、Dのために特別代理人を選任することなく、Eが遺産分割を行えば、このEの行為は、無権代理行為に該当します。

無権代理行為ですので、当然に無効ではなく、追認をすれば、有効となります。

※この続きは、教材購入者専用ページ内にあります確認問題・ポイント解説ページでご確認ください。

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