保証債務テキスト

2024年宅建士試験

合格点:37点(5問免除32点)

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■□今日の一問一答■□

本日の問題は、民法の「時効」の問題となっています。基本論点から出題していますので、必ず、押さえてください。

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保証とは

保証とは、債務者が債務を履行しない場合に、債務者に代わって、ある者が債務を履行する義務を負うことです。例えば、AがBに対してお金を貸し、Bの代わりに、Cがお金を返す義務を負うような場合です。この場合のBのことを「主たる債務者」や「主債務者」といい、Cのことを「保証人」といいます。

そして、Bが、Aに対してお金を返済しなければならない債務のことを「主たる債務」や「主債務」といい、Cが、Bの代わりにAに対してお金を返済すべき債務のことを「保証債務」といいます。保証は、保証人を立てることにより、債権を担保します。

保証債務の成立

保証債務は、債権者と保証人との間で保証契約を締結することにより、成立します。なお、保証契約は、書面又は電磁的記録によってしなければ、効力は生じません。

【補足】

保証契約は、債権者と保証人との間で締結するものです。例えば、お金を借りたいAが、Bに借りに行ったが、「保証人がいないとお金を貸しません」と言われた。そこで、Aが、友人であるCに「保証人になってくれ」と頼みました。そして、Cは、Aの保証人になりました。この場合、Cは、Bと保証契約を締結することにより、保証人となり、保証債務を負うことになります。

また、上記と異なり、債務者から委託をされていない人であっても、債権者と保証契約を締結することにより、保証債務を負うことになります。

保証人の資格

債務者が、法律上又は契約により保証人を立てなければならない義務がある場合、行為能力者であり、かつ、弁済の資力を有している者しか、保証人になることができません。

この要件を満たす保証人が、その後、弁済の資力を有しなくなった場合、債権者は、2要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができます。

なお、債権者が保証人を指名する場合、この規定は適用されません。

【補足】

債務者が、法律上又は契約により保証人を立てなければならない義務がある場合には、2要件を満たす必要があります。これに対し、債権者が、保証人を指名した場合には、2要件を満たさない保証人であっても、保証人になることができます。

保証債務の性質

付従性

  • 保証債務は、主たる債務を担保するものであるため、主たる債務が存在しない限り、保証債務だけが発生することはありません
  • 保証債務は、主たる債務より重くなることはありません。また、主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されません。
    それに対して、保証債務の方が軽い場合(一部保証)は、問題はないです。なお、保証人は、保証債務についてのみ、違約金や損害賠償の額を定めることができます

【補足】

  1. 例えば、主債務者であるAが、Bから50万円のお金を借りた。そして、保証人Cの保証債務が100万円だった。この場合、主債務が50万円に対して、その保証債務が100万円にはなりません。100万円の保証債務は、50万円に減縮されます。逆に、Cの保証債務が25万円だった場合、単に、Cが、Aの代わりに、「25万円だけなら、保証人として負担します」ということ自体、何も問題は生じません。
  2. 主たる債務者については、違約金や損害賠償の額を定めていなかったとしても、保証人は、保証債務についてのみ、違約金や損害賠償の額を定めることはできます。これは、主たる債務より保証債務の方が重いということにはなりません。

  • 原則、主たる債務が取消となった場合や無効となった場合には、保証債務も成立しません。ただし、主たる債務者が制限行為能力者であることを理由に取り消される可能性があると知っていた者が、制限行為能力者の債務を保証するために、保証契約を締結した場合、主たる債務者が制限行為能力者であることを理由に、主たる債務が消滅するが、保証人が、主たる債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定されます

【補足】

  1. 原則、主たる債務が存在しなくなった場合、保証債務も発生しません。例えば、未成年者であるAが、Bからお金を借り、Cが、保証人となった。Cは、Aが未成年者であることを理由に取り消される可能性があることを知らなかった場合、その後、Aが、未成年者であることを理由に、A・B間の契約が取り消されると、主たる債務が消滅し、それに伴い、保証債務も消滅することになります。

  2. また、Cが、保証契約締結時に、取り消される可能性があることを知っていた場合、その後、Aが、未成年者であることを理由に、A・B間の契約が取り消されると、主たる債務が消滅します。しかし、Cは、そうなる可能性があることを知っていたのに、あえて、主たる債務が消滅したとしても債権者を保証してあげようと思って保証契約を締結したと考えられます。したがって、保証人は、債権者のために、主たる債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定されます。

  • 主たる債務が、弁済により消滅した場合や時効により消滅した場合には、それに伴って、保証債務も消滅します

【補足】

保証人が、弁済した場合、その弁済の効力は、例外として、主たる債務に影響を及ぼします。例えば、AがBから100万円のお金を借り、Cが保証人となった場合、Cが、Bに100万円を弁済したのに、Aも100万円を弁済したのでは、Bは、100万円しかお金を貸していないのにもかかわらず合計200万円のお金の返済を受けるのは、当然に、おかしなことです。

よって、原則、保証人についてある事由が生じた場合には、その事由の効力が、主たる債務者に影響を及ぼしませんが、例外として、弁済等債務を消滅させる事由(具体的には、弁済、相殺、更改)については、主たる債務者にも効力が及ぶことになります。

  • 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対してもその効力を生ずることになります
    これは、例えば、主たる債務において時効の進行がストップするなら、これに伴って、保証債務についても時効の進行がストップするということです。
  • 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができます。
    例えば、主たる債務者が、債権者に対して、同時履行の抗弁権を主張することができるのなら、保証人も、債権者に対して、主たる債務者が有する同時履行の抗弁権を行使することができます

【補足】

例えば、Aが、Bから不動産を購入し、代金の支払と不動産の引渡しの時期が同時だとします。Cが、Aの代金支払債務について保証人となった場合、Aは、Bが建物の引渡しをするまで代金の支払を拒むことができます。これが、同時履行の抗弁権をAが主張しているということです。この場合、Cも、Bが建物の引渡しをするまで、代金の支払を拒むことができます。

  • 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができます。

【補足】

例えば、Aが、Bからお金を借り、Cが、Aの債務について保証人となった。Aは、Bに対して反対債権を有しており、相殺することが可能な状態であった。Aは、相殺するためには、相殺するための意思表示をする必要があります。その意思表示をした場合、主たる債務が消滅することになり、それに伴い、保証債務も消滅します。

しかし、Aが、相殺するための意思表示をしません。

この場合、Cは、主たる債務者が相殺の抗弁権を有していることを理由に履行を拒絶することができます。

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