不動産登記法テキスト

【2019年度解答速報】

問1

問11 問21 問31 問41

問2

問12 問22 問32 問42

問3

問13 問23 問33 問43

問4

問14 問24 問34 問44

問5

問15 問25 問35 問45

問6

問16 問26 問36 問46

問7

問17 問27 問37 問47

問8

問18 問28 問38 問48

問9

問19 問29 問39 問49

問10

問20 問30 問40 問50

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目次一覧

登記簿・登記記録

登記簿とは

登記簿とは、登記記録が記録される帳簿のことで、磁気ディスク等をもって調製するものです。

【補足】

不動産の登記簿は、その不動産の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局等(以下、登記所という)に備える必要があります。

登記記録とは

登記記録とは、表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに作成される電磁的記録のことです。

【補足】

一筆の土地とは、登記簿上の1個の土地のことをいい、一筆の土地ごとに地番が付されます。

登記記録等

登記は、登記官が登記簿に登記事項を記録することによって行います。

登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成します。なお、権利部については、甲区と乙区に区分します。

表題部には、表示に関する登記が記録されます。権利部には、権利に関する登記が記録され、甲区には、所有権に関する事項、乙区には、所有権以外の権利(抵当権、賃借権、地上権、質権、地役権、先取特権など)に関する事項が記録されます。

【補足】

  1. 表題部の記録事項は、土地については、所在、地番、地目、地積など、土地の物理的な現況を明らかにするものです。また、建物については、所在、家屋番号、種類、構造など、建物の物理的な現況を明らかにするものです。なお、建物の価額については、表示されない。
  2. 占有権、留置権、入会権は、登記をすることができない権利とされています。

登記所には、地図及び建物所在図を備えつけます。地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示します。

建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示します。なお、地図や建物所在図は、電磁的記録に記録することができます。

登記所

不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合、法務省令で定めるところにより、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、その不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定します。

なお、この指定がされるまでの間、登記の申請は、その二以上の登記所のうち、一の登記所にすることができます。

 

登記事項の証明等

登記事項証明書の交付等

誰でも、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(登記事項証明書)や、登記記録に記録されている事項の概要を記載した書面(登記事項要約書)を請求することができます。

なお、手数料の納付は、一定の場合を除き、収入印紙でする必要があります。

【補足】

  1. 登記事項要約書と登記事項証明書では、情報量が異なります。
  2. 登記事項証明書の交付の請求は、一定の場合を除き、請求に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対してもすることができます。
  3. 登記事項証明書の交付は、請求しようとする者の申出により、送付の方法(郵送)によりすることができます。
  4. 送付の方法による登記事項証明書の交付の請求は、法務大臣の定めるところにより、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができます。簡単に言うと、インターネットを利用して請求することができます。

地図の写しの交付等

誰でも、登記官に対し、手数料を納付して、地図、建物所在図又は地図に準ずる図面の全部又は一部の写し(地図等が電磁的記録に記録されているときは、その記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができます。

また、誰でも、登記官に対し、手数料を納付して、地図等の閲覧を請求することができます。

 

どのような登記があるのか

登記の効力による分類として、終局登記(本登記)と予備登記(仮登記)があります。

本登記

本登記は、正式な登記であり、本登記をすることにより、第三者に対する対抗力が認められます

 

仮登記

何かしらの不備により、本登記をすることができないときに、仮登記をしていきますが、仮登記は、第三者に対する対抗力が認められません

登記の内容の違いによる分類

登記の内容の違いによる分類として、記入登記、変更登記、更正登記、抹消登記などがあります。

記入登記

新たに登記すべき原因が生じた場合に、記録する登記のことです。例えば、不動産を売却した場合、売却するという原因により行う所有権移転登記などのことです。

 

変更登記

登記をした後に、登記事項に変更があった場合に、その登記事項を変更する登記のことです。

 

更正登記

最初から、登記事項に錯誤(勘違い)又は遺漏(記載漏れ)があり、その登記事項を訂正する登記のことです。

 

抹消登記

登記をすべき事由がなくなったときに、登記事項を抹消するための登記のことです。

 

権利の順位等

権利の順位

同一の不動産について登記した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記の前後によります。

なお、登記の前後は、登記記録の同一の区(甲区と甲区・乙区と乙区)にした登記相互間については順位番号、別の区(甲区と乙区)にした登記相互間については受付番号によります。

【補足】

  1. 法令に別段の定めがある場合とは、例えば、不動産保存の先取特権の登記をした場合、それ以前に、登記をしている抵当権よりも優先されるような場合のことです。例外的に、登記の順番で判断しないものもあるということです。

  2. 付記登記の順位は主登記の順位により、同一の主登記に係る付記登記の順位はその前後によります

主登記・付記登記

  1. 主登記とは、独立した順位番号が付与されるものであり、付記登記の対象となる既存の権利に関する登記のことです。登記は、主登記を原則としますが、法令で定められている一定のものについては、付記登記をしていきます。
  2. 付記登記とは、権利に関する登記のうち、既にされた権利に関する登記についてする登記であって、その既にされた権利に関する登記を変更し、若しくは更正し、又は所有権以外の権利にあってはこれを移転し、若しくはこれを目的とする権利の保存等をするもので、既にされた権利に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいいます。

登記申請

申請主義

登記は、原則、当事者の申請(代理人の申請を含む)又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができません。

登記をするかは、当事者の任意であり、義務でありません。

ただし、例外的に、土地や建物の表示に関する登記については、当事者からの申請がない場合においても、一定の場合を除き、登記官の職権で登記することができます。

また、表示に関する登記のうち、不動産の表題登記については、申請する義務があり、怠ると罰則の適用を受けることになります。

 

共同申請主義

1.原則

権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同でする必要があります

2.例外

原則、共同で登記をする必要がありますが、下記の場合には、当事者の一方による申請が認められます。

1)判決による登記

登記の申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができます。なお、確認判決ではありません。

2)相続や合併による登記

相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができます。

3)登記名義人の氏名や住所等の変更又は更正の登記

登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができます。

4)所有権保存登記

所有権保存登記とは、所有権の登記がされていない不動産について、初めてされる登記のことです。例えば、建物を新築した場合、表題登記をして、表題部が作成され、次に、所有権保存登記をして、権利部の甲区が作成されます。

 

登記申請の方法

  • インターネットを利用して、オンライン申請をするか、申請情報を記載した書面を登記所に出頭して提出するか、申請情報を記載した書面を郵送するかを、登記申請をしていく者が、選ぶことができます。
  • 登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、その申請を却下すべき場合を除き、申請人や代理人等に対して、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求めることによって、その申請人の申請の権限の有無を調査する必要があります。
  • 申請しようとする不動産の所在地が申請を受けた登記所の管轄でないとき、申請情報の内容と登記原因証明情報の内容と合致しないとき、申請情報や登記原因証明情報などを提供しないとき、その他一定の申請上の不備がある場合、登記官は、登記の申請を却下しなければなりません。ただし、その申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、申請を却下されることはありません。

添付情報

一定の登記申請をする際に、申請情報と共に添付情報を提供する必要があります。

 

登記識別情報

登記権利者及び登記義務者が、共同して権利に関する登記の申請をする場合や登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人)の登記識別情報を提供する必要があります。

【補足】

  1. 登記識別情報とは、登記名義人が登記を申請する場合に、本人確認のために用いられる12桁の英数字の暗証番号のようなものです。
  2. 以前は、不動産の登記が完了した場合、登記所から登記名義人に登記済証(権利証)といわれる書面が交付されていました。そして、その後、その登記名義人が、登記義務者として登記申請をする場合、本人確認の手段である登記済証を添付書類として提供する必要がありました。しかし、不動産登記法が改正され、オンライン申請が導入されることに伴い、書面である登記済証を送信することができず、登記識別情報の制度が導入されることになりました。なお、以前から所有していた登記済証を使えなくなるわけではありません。
  3. 登記をすることによって、申請人自らが登記名義人となる場合において、その登記が完了したときは、その申請人は、登記官から、その登記に係る登記識別情報の通知を受けることができます。ただし、申請人が、あらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合、その通知を受けないこともできます。
  4. 単独で申請をすることができる場合、原則、登記識別情報は不要となります。なお、政令で定められている登記の申請の場合、例えば、所有権の登記がある土地の合筆の登記、所有権保存登記の抹消、質権又は抵当権の順位の変更の登記の場合等には、登記名義人の登記識別情報を提供する必要があります。
  5. 例えば、登記識別情報の通知を受けなかった場合や登記済証が滅失したことにより、登記識別情報や登記済証を提供、提出できないときは、その提供、提出できない理由を記載した登記申請書を登記所に提出します。すると、登記官から、登記義務者か登記名義人に対して、「申請があった事実や申請の内容が真実ならば、一定期間内に、申し出てください」旨の通知を受けます。このように、本人に間違いないことを確認する制度を事前通知制度といいます。そして、登記義務者又は登記名義人が、その期間内に、その申請内容が真実である旨を登記所に申し出ることにより、登記所は、登記をしていきます。

登記原因証明情報

権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、原則、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供する必要があります

【補足】

登記原因証明情報とは、登記の原因となる事実(時効完成など)又は法律行為(契約など)の存在を証明するための情報のことです。

例えば、取得時効が完成(登記の原因となる事実)したことにより土地の所有権を取得し、所有権移転登記をする場合、その取得時効の事実を証明するために登記原因証明情報を添付する必要があります。

また、売買契約を締結することにより土地の所有権を取得し、所有権移転登記をする場合、売買契約書を登記原因証明情報として提出することができます。

電子署名と電子申請書

売買による所有権移転登記をする場合において、書面によって申請をするときは、作成後3カ月以内の売主(登記義務者)の印鑑証明書が必要となります。

また、オンライン申請の場合、申請情報や添付情報に、作成者による電子署名をして、送信する際に、電子証明書も送信しなければなりません。

【補足】

オンライン申請に伴い、印鑑や印鑑証明書を用いることができません。それに代わるものとして、電子署名と電子証明書が必要となります。

第三者が許可、同意、承諾したことを証する情報

登記原因について第三者の許可、同意又は承諾を必要とするときは、原則、第三者が許可、同意、又は承諾したことを証する情報を提供する必要があります。

【補足】

  1. 農地の売買による所有権移転の場合、都道府県知事等の許可(詳しくは、農地法のテキストを参照してください)がなければ、所有権移転の効力は生じません。都道府県知事等の許可があって初めて、効力が生じます。このような場合、その許可書を提供します。
  2. その他にも、未成年者の法定代理人の同意書などもあります。

住所証明情報

例えば、売買による所有権の移転登記をする場合、買主(登記権利者)の住所証明情報の提供が必要となります。

【補足】

  1. オンライン申請をして、電子証明書を提供したときは、その電子証明書の提供をもって、当該申請人の現在の住所を証する情報の提供に代えることができます。つまり、住所証明情報は、不要となります。また、書面申請の場合、住民票コードを申請書に記載すると、住所証明情報は、不要となります。

  2. 所有権保存登記や表題登記なども住所証明情報の提供を必要とします。

代理権限証明情報

申請人である本人の代理人は、本人に代わって、登記の申請をすることができます。この場合、代理人の権限を証明する情報を提供する必要があります

申請人が法人の場合、その法人の代表者の資格を証明する情報(資格証明情報)を提供する必要があります

※委任状などが代理権証明情報に該当します。

 

表示に関する登記

土地及び建物の表示に関する登記

  • 表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができません。

【補足】

表題部所有者とは、所有権の登記(所有権の保存登記)がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者のことです。

なお、表示に関する登記には、第三者に対する対抗力を有しません

また、所有権保存登記がなされると表題部所有者に関する登記事項を抹消する記号を記録しなければなりません。第三者に対する対抗力を有するためには、権利に関する登記をする必要があります

  • 表題部所有者又はその持分についての変更は、その不動産について所有権の保存の登記をした後、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記することができません。

【補足】

  1. 例えば、表題部所有者Aは、不動産の所有権をBに移転した場合、所有者がAからBに代わるので、登記をすることができません。では、どのように登記をするかというと、最初に、Aが、所有権保存登記の申請をしていきます。そして、Aが登記義務者、Bが登記権利者として所有権移転登記の申請をしていくことになります。
  2. 所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者を記載していきますが、所有者が2人以上の場合、要するに、共有の場合、所有者ごとの持分も記載されますが、この持分を移転した場合も上記と同様になります。

  • 不動産の所有者とその不動産の表題部所有者とが異なる場合に行う表題部所有者についての更正の登記は、その不動産の所有者以外の者は、申請することができません。 なお、その不動産の所有者は、その表題部所有者の承諾があるときでなければ、申請することができません。

【補足】

不動産の本当の所有者はAです。しかし、勘違いにより、表題部所有者Bと記載されていた場合、Aは、Bの承諾を得て、更正登記の申請をすることができます。

  • 表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、その表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、その表示に関する登記を申請することができます。

土地の表示に関する登記

登記をすることができる土地とは、私権の目的となり得る地表であり、人為的に区画された一定の範囲のことです。

春分又は秋分の満潮時に海面下に没する土地については、土地の登記の対象とはなりません。ただし、私権の客体となり得る池沼やため池は、土地の登記の対象とすることができます。

 

申請義務

地目又は地積について変更があった場合、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から1カ月以内に、変更の登記を申請しなければなりません。

【補足】

  1. 地目・地積の変更登記は、「しなければならない」のであり、「できる」ではありません。よって、1カ月以内に申請しないと、10万円以下の過料に処せられます。
  2. 共有の場合、共有者の1人が、単独で、申請することができます。
  3. 土地の一部分だけ地目の変更があった場合、地目変更登記のみではなく、土地分筆登記をして、地目変更登記をするか、1つの申請で同時に両方の登記をするかしなければなりません。なぜなら、1筆の土地に2つ以上の地目を定めることはできないからです。
  4. その他に、新たに土地が生じた場合(埋め立て等による)、土地の所有者は、1カ月以内に表題登記を申請しなければなりません(義務)。また、土地が滅失(公有水面下になるなど)したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失があった日から1カ月以内に、滅失の登記を申請しなければなりません(義務)。

土地の分筆登記

  • 土地の分筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができません。

【補足】

  1. 分筆登記とは、一筆の土地を二筆以上に分ける登記のことです。

  2. 土地の分筆登記をするときは、例えば、土地の一部を分割したい場合、土地の一部分だけ地目の変更があった場合、共有不動産を分割して単独名義にしたい場合などです。

  • 土地が共有の場合、その土地の分筆登記については、原則、共有者全員で申請する必要があります。ただし、土地の一部分だけ地目の変更があった場合には、共有者全員で申請する必要がありません。
  • 分筆前の土地の地積は、登記簿上の地積と一致させる必要があります。地積が一致していない場合、申請が却下されます。なお、この2つの地積の差が誤差の限度を超える場合には、地積の更正の登記の申請をしてから、土地の分筆の登記をしていきます。
  • 例えば、抵当権が設定されている甲土地を甲土地と乙土地に分筆する場合、基本的に、抵当権は、甲土地にも乙土地にも存続することになります。よって、抵当権が設定されている土地の分筆の登記を申請する場合、抵当権者や利害関係人の承諾は、不要となります。ただし、乙土地について、抵当権が消滅する場合は、抵当権者や利害関係人の承諾が必要となります
  • 抵当権の登記がある土地の分筆登記の申請をする場合、分筆後の数筆の土地に抵当権が存続するときは、共同担保目録を添付する必要がある場合とない場合とがあります。現在は、登記官が、共同担保目録を作成しているので、その添付が不要となります。ただし、不動産登記法附則第3条の指定を受けていない登記所(共担未指定登記所)においての申請に限り、添付が必要となります。

【補足】

同一の債権を担保するために複数の不動産に抵当権などが設定されていることを共同担保といいます。そして、担保に供されている不動産の一覧表みたいなものを、共同担保目録といいます。

  • 地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請し、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、添付情報としてその地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又はその地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報及び地役権図面を提供する必要があります。

【補足】

地役権の範囲等を明記した図面のことを地役権図面といいます。

土地の合筆登記

土地の合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができません。

【補足】

  1. 土地の合筆登記とは、複数の土地の登記を1つにまとめる登記のことです。
  2. 共有の場合、共有者全員で申請する必要があります。

下記の土地の合筆の登記は、申請することができません。

  1. 相互に接続していない土地の合筆の登記
  2. 地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記
  3. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記
  4. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記
  5. 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記
  6. 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地の合筆の登記

【補足】

上記6の例外として、承役地の登記がある土地を合筆しようとする場合や抵当権設定登記の登記原因やその日付及び登記の目的、受付番号が同一である土地の合筆の場合には、申請することができます。

所有権の登記がある土地の合筆の登記申請には、その合筆前の土地のうち、いずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供する必要があります。

建物の表示に関する登記

建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければなりません。

例えば、容易に運搬することできる切符売場・入場券売場などは、建物の登記の対象となりません。なお、地下駐車場、地下停車場は、建物として登記の対象となります。

 

表題登記

新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1カ月以内に、表題登記を申請しなければなりません。

【補足】

表題登記は、「しなければならない」のであり「できる」ではありません。よって、1カ月以内に申請しないと、10万円以下の過料に処せられます。

建物の合体登記

数個の建物が、増築工事等の物理的な変更を加えることにより、構造上1個の建物にすることを建物の合体といいます。

建物の合体により1個の建物となった場合、原則、その合体の日から1カ月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消を申請する必要があります。

【補足】

  1. 未登記の建物と所有権の登記のある建物を合体することや、表題登記のみされた建物と所有権の登記のある建物を合体することもできます。その他のパターンもあります。
  2. 合体する前の登記名義人が同一である所有権の登記がある建物の合体の登記申請の場合、その合体に係る建物のうちいずれか1個の建物の所有権の登記名義人の登記識別情報を添付すればいいことになっています。

建物の合併登記

物理的な変更を何ら加えることなく、それぞれ別の建物として登記されている2個以上の建物について、登記記録上、1個の建物とする登記のことを建物の合併登記といいます。

合併によって、その複数の建物のうち1棟の建物を主たる建物として、その他の建物を附属建物として、これらを1個の建物として登記します。

【補足】

  1. 上記は、附属合併について、記載しています。

  2. 合併登記は、所有者の意思に基づくものなので、申請義務はありません。

下記の建物の合併の登記は、申請することができません。

  1. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる建物の合併の登記
  2. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする建物の合併の登記
  3. 所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物との建物の合併の登記
  4. 共用部分である旨の登記がある建物の合併の登記
  5. 所有権以外の権利に関する登記がある建物の合併の登記

【補足】

上記5の例外として、抵当権設定登記の登記原因やその日付及び登記の目的、受付番号が同一である場合、申請することができます。

 

所有権の登記がある建物の合併の登記申請の場合、その合併に係る建物のうちいずれか1個の建物の所有権の登記名義人の登記識別情報を添付すればいいことになっています。

建物の滅失登記

建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から1カ月以内に、その建物の滅失の登記を申請しなければなりません。

 

権利に関する登記

所有権保存登記(区分建物を除く)

表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人・所有権を有することが確定判決によって確認された者・収用によって所有権を取得した者は、所有権保存登記の申請をすることができます。

【補足】

  1. 所有権保存登記は、権利に関する登記の第一歩となります。所有権保存登記をすることにより、所有権移転登記や抵当権の設定登記などをすることができます。なお、所有権保存登記は、任意であり、義務ではありません。
  2. 上記以外の者でも保存登記をすることができる場合があります。例えば、所有権保存登記のされていない建物を購入した者は、自己名義の所有権移転登記をすることができません。なぜなら、権利に関する登記の第一歩が、所有権保存登記だからです。この場合、買主が、自己名義の登記をするために、売主へ「所有権保存登記をしてくれ」と言ってもしてくれないときは、買主は、売主に代位して、売主名義の所有権保存登記をすることができます
  3. 共有の場合、共有者の1人は、共有者全員のために限り、所有権保存登記を申請することができます。よって、自己の持分のみの所有権保存登記はすることができません。
  4. 所有権保存登記の申請には、登記原因証明情報は不要です。
  5. 相続人その他の一般承継人が所有権保存登記の申請をする場合、承継を証する情報を提供する必要があります。また、被相続人名義でも相続人名義でも、所有権保存登記の申請をすることができます。

所有権保存登記の抹消は、所有権の移転の登記がない場合に限り、所有権の登記名義人が、単独で、申請することができます。

なお、申請の際、申請情報と併せて所有権保存登記を受けた際の登記識別情報を提供する必要があります。

 

権利の変更・更正・抹消の登記

  • 権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者がいれば、その第三者の承諾がある場合及びその第三者がいない場合に限り、付記登記によってすることができます。
  • 登記官は、権利に関する登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を登記権利者及び登記義務者(登記権利者及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人)に通知する必要があります。ただし、登記権利者、登記義務者又は登記名義人がそれぞれ2人以上いるときは、その1人に対し通知すればいいことになっています。
  • 権利に関する登記の錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、その登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得ることによって、登記官は、職権でその登記の更正をする必要があります。ただし、登記上の利害関係を有する第三者がいるときには、その第三者の承諾を得る必要があります
  • 共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、その権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければなりません。

【補足】

ある不動産について、共有名義で所有権保存登記又は所有権移転登記をした後に、その共有者間で、その不動産について、分割禁止特約を定めた場合、所有権の変更登記として申請することができます。

  • 権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、その権利がその死亡又は解散によって消滅したときは、登記権利者は、単独で、その権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができます。

【補足】

例えば、地上権者が死亡したら、地上権は消滅する旨の登記がなされている場合、地上権者が死亡したときは、地上権は消滅することになり、単独申請をすることができます。

相続登記

共同相続登記

遺言もない状態で、不動産の所有者が死亡した場合、遺産分割が行われるまで、共同相続人が法定相続分の割合によってその不動産を共有することになります。これを共同相続といいます。

この共同相続の登記は、その共同相続人全員が共同で申請することができます

しかし、共同で申請することに限定されず、共同相続人の1人が、共同相続人全員のために申請することもできます。なお、その1人が、自己の持分のみを申請することはできません。

 

遺産分割による相続登記

  1. 共同相続登記がされていて、遺産分割協議が成立した場合、その遺産分割により不動産を取得することになった相続人(登記権利者となります)とその遺産分割により持分が減少することになった他の相続人(登記義務者となります)が共同で、遺産分割を原因とする持分移転登記の申請をすることができます
  2. 共同相続登記がされていなくて、遺産分割協議が成立した場合、その遺産分割により不動産を取得した者が、単独で、相続を登記原因とする所有権移転登記の申請をすることができます

遺言と相続登記

  1. 「Aに不動産を相続させる」旨の遺言があった場合、その不動産を取得した相続人(A)は、単独で、相続を登記原因とする所有権移転登記の申請をすることができます
  2. 「Aに不動産を遺贈させる」旨の遺言があった場合、受遺者(登記権利者=A)と相続人や遺言執行者(登記義務者)が共同で、遺贈を登記原因とする所有権移転登記の申請をすることができます

【補足】

「相続させる」と表記されている場合、通常、相続人に対して、財産を承継させようとするときです。

地役権の登記

要役地及び承役地双方の甲区に所有権の登記がない限り、地役権の設定登記をすることができません。

【補足】

所有権以外の権利である地役権登記については、要役地及び承役地の双方の乙区欄に記載されます。乙区欄に記載するためには、甲区に所有権の登記をしておく必要があります。

信託の登記

信託の登記の申請は、その信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければなりません。

【補足】

  1. 信託とは、ある人(委託者)が、自分が所有している不動産などの財産を信頼できる他の人に引き渡し、受託者がその財産を運用して、その運用によって得た利益をある人(受益者)に与えていくために、委任者の財産を管理・処分していくことです。
  2. 不動産が信託されるとその不動産の所有権が、委託者から受託者に移転されることになり、第三者に対抗するために、信託設定を登記原因として所有権移転登記をしていきます。また、所有権は、受託者に移転されることになりますが、その不動産は、固有の財産ではなく、信託財産であることを第三者に公示するために登記をしていくことになります。これを信託の登記といいます。なお、所有権移転登記と信託の登記を1つの申請情報で、申請する必要があります。

信託の登記は、受託者が単独で申請することができます。なお、受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができます。

 

仮登記

仮登記とは

  1. 既に登記をすべき権利変動が生じているが、登記申請に必要な情報(登記識別情報や第三者の許可を証する情報など)を提供することができない場合に、仮登記をすることができます。これを1号仮登記といいます。
  2. まだ、登記をすべき権利変動は発生していないが、現時点で、将来、権利変動が発生するための請求権を有し、その請求権を保全するために仮登記をすることができます。これを2号仮登記といいます。

【補足】

「登記をすべき権利変動は発生していないが、現時点で、将来、権利変動が発生するための請求権を有し」とは、例えば、不動産の売買予約が成立した時点で、買主は、所有権を取得するのではなく、将来、売主に対して予約完結権を行使できる権利を有することになります。

その他にも、農地の売買契約を締結したが、まだ、農地法5条の都道府県知事等の許可を受けていないときにおいても、仮登記をすることができます

仮登記による本登記の順位

仮登記に基づいて本登記をした場合、その本登記の順位は、その仮登記の順位によることになります。また、登記官は、仮登記に基づいて本登記をするときは、仮登記の順位番号と同一の順位番号を用いる必要があります。

【補足】

  1. 仮登記には、仮登記後に行われる本登記のために順位を保全しておく効力を有しています。例えば、Aの不動産について、AからBへ所有権移転の仮登記をしたとします。その後、Aは、Cに不動産を売却し、AからCに所有権移転登記をしました。その後、Bが、仮登記に基づく本登記をした場合、その本登記の順位は仮登記の順位によることになるので、先に登記をしているBが、Cよりも優先されます。
  2. 上記のように、Aの不動産について、Bへの所有権移転の仮登記をした後に、Cへの所有権移転登記をすることができます。

仮登記の申請

仮登記の申請は、仮登記義務者と仮登記権利者の共同申請が原則です。しかし、以下の場合には、単独で申請することができます。

  1. 仮登記義務者の承諾がある場合、仮登記権利者は、仮登記義務者の承諾を証する情報を提供して、単独で、申請することができます。
  2. 仮登記義務者が共同申請や上記1の単独申請に協力しない場合、仮登記権利者は、裁判所の仮登記を命じる処分の決定書正本を提供して、単独で、申請することができます。

【補足】

共同申請・単独申請の場合、登記識別情報は、不要です

仮登記に基づく本登記

所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がいる場合、その第三者の承諾を得てその第三者の承諾を証するその第三者が作成した情報又はその第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供して、申請することができます。

なお、登記官は、所有権に関する仮登記に基づく本登記の申請に基づいて本登記の登記をするときは、職権で、第三者の権利に関する登記を抹消する必要があります。

【補足】

例えば、Aの不動産について、AからBへ所有権移転の仮登記をしたとします。その後、Aは、Cに不動産を売却し、AからCに所有権移転登記をしました。

その後、Bが本登記をする場合、Cが利害関係人となります。この場合、Cの承諾を証する情報又はCに対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供する必要があります。

そして、Bが、仮登記に基づく本登記をした場合、登記官は、職権で、Cに対する所有権移転登記を抹消します。

 

所有権以外の権利に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がいる場合においても、その第三者の承諾を得ることなく、申請することができます。

【補足】

登記官は、権利部の相当区(甲区又は乙区)に仮登記をしたときは、その次に、その仮登記の順位番号と同一の順位番号により本登記をすることができる余白を設ける必要があります。

例えば、所有権に関する仮登記は、権利部の甲区に記録されることになり、その次に余白が設けられており、その余白部分に仮登記に基づく本登記をしていくことになり、仮登記の順位が、本登記の順位となっていきます。

仮登記の抹消

  1. 仮登記の抹消の登記申請は、原則、共同申請となります。例外として、下記2の単独申請が認められています。
  2. 仮登記名義人は、登記識別情報を提供して、単独申請をすることができます。また、仮登記名義人の承諾がある場合、登記上の利害関係人は、仮登記名義人の承諾を証する情報又はその登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供して、単独申請をすることができます。

区分建物の登記

分譲マンションやビルなどを区分所有建物といいます。マンションには、そのマンション全体(1棟の建物)、専有部分(区分所有権の目的たる建物の部分のことで、例えば、101号室・102号室など)、規約共用部分(専有部分となりえるもので、規約により共用部分としたもので、例えば、管理人室、集会室など)、マンションの敷地があります。

 

区分建物の表題登記

区分建物が属する一棟の建物が新築された場合、その新築後、1カ月以内に、原始取得者は、その区分建物についての表題登記の申請とその新築された一棟の建物についての表題登記の申請を同時にしなければならない。

【補足】

  1. 区分建物が属する一棟の建物とは、分譲マンションなどのことで、区分建物とは、専有部分などのことです。つまり、マンション自体の表題登記と、101号室・102号室・103号室・・・の専有部分の表題登記を一括して申請します。各専有部分も1つの建物として登記をする必要があるということです。
  2. 原始取得者とは、分譲業者などのことです。よって、表題登記の申請は、マンションを購入した者が、するのではありません。

区分建物の床面積

区分建物(専有部分)の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出されます。

 

規約共用部分の登記

規約共用部分の登記は、区分建物(専有部分)の表題部にされます。

【補足】

占有部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができます。この場合、その旨の登記をしなければ、共用部分であることを第三者に主張することができません。

なお、法定共用部分(階段、廊下など)については、明らかに共用部分と分かるので、登記は、されません

敷地権の登記

1棟の建物の表題部に敷地権の目的たる土地の表示の登記をし、敷地の所在地、地番などが記録されることになり、各専有部分の表題部に敷地権の表示の登記をし、敷地利用権の種類(所有権や地上権など)が記録されます。

この登記をする場合、登記官は、職権で、甲区(所有権)又は乙区(地上権、賃借権)に敷地権である旨の登記がされることになります。

【補足】

敷地上の専有部分を所有するために、敷地を利用する権利というものがあります。これを敷地利用権といいます。

敷地利用権には、所有権・賃借権・地上権・使用借権があります。この敷地利用権は、規約で別段の定めがない限り、専有部分と分離して処分することができません

専有部分と分離して処分することができない敷地利用権は登記されることにより、敷地権となります。

よって、敷地利用権でも、登記をすることができない使用借権は、敷地権ではありません。「専有部分と分離して処分することができない」とは、専有部分のみを譲渡することができないということです。

敷地権である旨の登記が行われると、専有部分と敷地利用権を分離処分することができないことが明らかになります。

それにより、原則、専有部分の所有権だけ又は敷地権だけの移転登記や区分建物のみの抵当権の設定登記はすることができません

また、専有部分の所有権を譲渡し、所有権の移転登記をする場合、敷地権も専有部分と同時に移転する登記をしたのと同じ効力を有することになります。

【補足】

上記の例外として、敷地権が生じる前の登記原因による所有権の仮登記や抵当権の登記はすることができます。

区分建物の所有権保存登記

区分建物については、表題部所有者(分譲業者など)から所有権を取得した者についても、直接自己名義の所有権保存登記の申請をすることができます。この場合において、その建物が敷地権付き区分建物であるときは、その敷地権の登記名義人の承諾を得る必要があります

 

テキストを読み終えた後は、一問一答を解きましょう。

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